「朴槿恵(パク・クネ)政権の外交・安保の実力が明らかになった」
米国と中国の高位外交当局者が相次いで訪ねてサード(THAAD・高高度防衛ミサイル)など敏感な懸案をめぐり厳しい言葉を投げかけ、韓国政府がこれを収拾する過程で、朴槿恵政権の外交・安保政策のレベルと本音がそのまま明らかになったという評価が出てくる。
専門家の間では、まず、政府がサードとアジアインフラ投資銀行(AIIB)問題に対して二重的な態度を見せながら、米中間の利害関係の衝突においてバランスを失い、米国寄りの態度をあらわにしたという指摘が出ている。政府は、サードの問題と関連した中国の反発については「周辺国の政策に影響力を行使しようとしてはいけない」と、「第3者は口を挟むな」という強硬な態度を取った。同一線上で比較するのは難しいが、中国が推進するアジアインフラ投資銀行については、やはり第3者である米国との事前協議の必要性を強調するなど、正反対の論理を展開して対比を成している。米国偏向に捉えられて中国の反発を買う可能性もある態度だ。
戦時作戦権移管を無期限先送りしておいて
中国に「サード」軍事主権を強調
AIIBについては米国との協議を強弁
政府の態度が「3 NO」(要請も、協議も、決定もなかった)を強調して「戦略的あいまいさ」だけ繰り返していたことから、急に変わった過程も釈然としないという評価だ。ムン・ジョンイン延世大学教授は、「中国が昨年から朝鮮半島へのサード配置に反発している状況で、あいまいさだけでこの状況から逃れようとしたのは敗着」だと述べた。政府は、あいまいさを掲げていたが、中国が政府の予想を超える強い反対を表明し、国内保守層の世論も悪化すると、突然国防部を前面に出して反発する姿を見せた。その結果、外交的な「協議」事案を「摩擦」事案に増幅させたのである。
ク・カブ北韓大学院大教授は「サードと関連した世論が二分し、各省庁が異なる利害関係を示す状況なので、大統領府が明らかにした3NOの立場を維持するためには、国内の状況を調整できる能力が必要だ」と述べた。中国が脅威を感じていると思われるレーダーについて「朝鮮半島用」であることを示す科学的・技術的な究明が最優先されるなど、落ち着いた取組と説明が先行されるべきだという指摘もある。
わずか5カ月前の昨年10月に「準備不十分」を理由に戦時作戦統制権移管を事実上無期限延期した政府が突然、軍事主権論を掲げたのも、中国を説得するには不十分だという評価が出てくる。チョン・セヒョン元統一部長官は、「作戦権は米国に任せておいて主権論の話をすると、誰が信じるだろうか。用語の概念さえ把握できていない」と指摘した。中国はこれ見よがしに「他の国の安全に対する懸念と地域の平和安定度を考慮するべきだ」(17日、外交部報道官)と反論した。
マーク・リッパート大使襲撃事件以降、「公安攻勢」が懸念される中で、複数の与党議員を中心にサードの朝鮮半島配備が議題化され、「議員総会を通じた決定」などポピュリズム的政策決定方式が台頭した過程を、省察的に振り返らなければならないという声もある。チョン・セヒョン元長官は「外交・安保政策は、国民世論を相手との交渉手段とする場合が多いが、世論を口実に政策決定をすると大変なことになる」と述べた。
韓国語原文入力: 2015.03.18 20:13