本文に移動

「サード」配備めぐり韓米が中国と対立

登録:2015-03-17 23:36 修正:2015-03-18 13:44
 国防部、中国に向け「周辺国に影響力行使しようとしてはいけない」
 米次官補「まだ配置前のシステム、第3国が強く反対するのは不思議」
 中国外交部「慎重に決定して欲しい」と重ねて懸念表明
キム・クァンジン国家安全保障室長(左)とチュ・チョルギ外交安保首席が17日午前、大統領府で開かれた閣議の前に、話を交わしている。イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国と米国が17日、ほぼ同時に、ほぼ同じ強度で「サード(THAAD/高高度防衛ミサイル)の韓国配置」に対する中国の問題提起に反論した。サード問題をめぐる米中2大国による「ソウル外交戦」で、韓国がまず同盟国である米国側の援護射撃に出たわけだ。これに対して中国が再反論に出るなど、サードをめぐる韓国と周辺国との外交摩擦が顕在化している。

サード(THAAD)に関連した米国当局者の主な発言。//ハンギョレ新聞社

 訪韓したダニエル・ラッセル米国務省東アジア太平洋担当次官補はこの日、サードの韓国配置問題と関連した、中国の懸念表明について「まだ配置されておらず、理論的な問題である安全保障システムについて第3国(中国)が強く(反対の)声を上げることを不思議に思っている」と述べた。前日、劉建超(リュ・ジェンチャオ)中国外交部部長助理(次官補)が「中国の関心と懸念を重視してくれることを望む」と公開的に懸念を示したことに対する反論とみられる。ラッセル次官補はソウル外交部庁舎でチョ・テヨン外交部次官を表敬訪問した後、午前10時52分頃、記者たちと会って発言した。さらに彼は「韓米両国は、北朝鮮の弾道ミサイルプログラムによる重大な脅威に直面しており、私たち(米国)軍当局には韓国と韓国の市民、米国を保護するためのシステムを検討する責務がある」と明らかにし、サードの韓国の配置の必要性を迂回的に提示した。

 彼はまた、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に韓国が参加する問題についても「銀行支配構造と透明性」を強調した後、銀行運営過程を見守る必要がある趣旨の言及をし、韓国が3月末の期限内に創立メンバーとして加盟することに否定的な認識を示した。

サード(THAAD)に関連した韓国当局者の主な発言。//ハンギョレ新聞社

 ほぼ同じ時間の午前10時30分頃、キム・ミンソク国防部報道官はソウル国防部庁舎で開かれた定例ブリーフィングで、「周辺国が在韓米軍のサード配置について自国の立場を持つのは構わない。しかし、私たち(韓国)の国防安全保障政策について影響力を行使しようとしてはならない」と述べた。 「周辺国」と表現したが、事実上の劉部長助理の発言を狙ったもので、ラッセル次官補よりも明確に不満を示した。キム報道官は、「在韓米軍のサード配置に関連する問題は、漸増する北朝鮮の核とミサイルの脅威に対する抑制策と対応策の観点から始まった事案」だとし「国防部は、もし、在韓米軍のサード配置について、米国政府が決定して協議を要請してくる場合、軍事的な効用と国家安全保障上の利益を考慮し、私たち(韓国)の主導で判断して決定する計画だ」と付け加えた。

 国防部当局者は「キム報道官の発言が外交部など他の省庁と調整された政府の立場なのか」という質問に「そう受け取ってもらって構わない」と答えた。しかし、外交部当局者は「(部署間の)意見調整はなかった」とし、これを否定した。彼は韓国と米国の発言が類似しているという指摘にも「サードは韓米間の議題として議論されなかった」と述べた。

サード(THAAD)に関連した中国当局者の主な発言。//ハンギョレ新聞社

 「第3者は口を挟むな」という韓米のメッセージに対し、中国は「一国が自国の安全を図るには、必ず他国の安全に対する懸念と地域の平和安定度を考慮すべきだ」と再反論した。洪磊(ホン・レイ)外交部報道官はこの日の定例ブリーフィングで、キム報道官の発言と関連して「私たちは、関係国(韓国と米国)が関連の決定を慎重に行ってくれることを望む」と重ねて懸念を表明した。

 ムン・ジョンイン延世大学教授は「大統領府は2大国の板挟みになっており、サードの争点化を望んではいないが、国防部などが言うことを聴かない様子」だとし「調整役を任されている大統領府国家安全保障会議(NSC)が本来の役割を果たせず、不必要な外交混乱を招いており、心配だ」と指摘した。

ソン・ウォンジェ記者、北京/ソン・ヨンチョル特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.17 21:58

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/682752.html  訳H.J

関連記事