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安価で良質な“開城ブランド”だけを売ります

登録:2015-03-16 21:49 修正:2015-03-17 07:54
昌原に「開城工団商会」1号店オープン
2月末、慶尚南道昌原にオープンした全国初の開城工業団地生産製品専用売場である「韓国商社」売場。来月末の開城工業団地商会スタートに合わせて名前を変えて正式に開店する予定だ。昌原/チェ・サンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 先月末、慶尚南道昌原(チャンウォン)にオープンした全国初の開城工業団地製品専用売場である「韓国商社」売場。来月末、開城工団商会の発足に合わせ、名前を変えて正式に開店する予定だ。

 最近、開城(ケソン)工業団地で賃金引き上げをめぐる南北間の対立が続いている。 北側は先月24日、開城工団で働く北側労働者の賃金を70.35ドルから74ドルに引き上げると一方的に通知してきた。 韓国政府は、これに応じた開城工団入居企業は制裁する方針を明らかにした。 賃金引き上げをめぐって南北対立が本格化し、開城工業団地入居企業家たちのため息は深まる一方だ。

 朴槿恵(パク・クネ)政権発足直後に南北関係が冷え込み、2013年4月には北側の労働者が出勤せず、工団は同年9月中旬まで稼動を止めた。 入居企業の集まりである開城工団企業協会は「2013年の開城工団稼動中止事態で入居企業は途方もない打撃を受けた。 今はかなり回復したものの、いまだに2013年以前の状況を完全には克服できていない状態だ」という。

入居企業約30社が自助努力で
協同組合を設立し、直販売店を開設
衣類・履物・食品など約30種を販売
全国5、6カ所の売場・オンライン販売も準備
「北の労働者は大半が経験10年の熟練工
大手企業のブランドつければ値段は3~4倍に上がるだろう」

 南北関係悪化の直撃を受けた開城工団入居企業が、独自に完成品の韓国内販路の開拓に乗り出した。 開城工団企業協会は、開城工業団地の完成品韓国内販売のための「開城工団商会」を立ち上げることを決め、最近「開城工団商会協同組合」を設立した。 開城工業団地では現在124の韓国企業が工場を運営しているが、このうち約30社が協同組合に先ず参加することにした。開城工団商会はこの約30社の共同販売場の役割を果たす。

 開城工業団地で生産した製品の韓国国内初の専用売店である「韓国商社」が先月末、慶尚南道昌原(チャンウォン)市 馬山合浦(マサンハッポ)区の大宇(テウ)デパートの向かい側にオープンした。 15日、昌原市の韓国商社売場に入ってみると、広さ360平方メートルの売場に商品が種類別に陳列されており、天井には大型スーパーのように女性衣類、男性衣類、ふとん、登山服などの商品の種類を示す案内板がかかっていた。

 こちらには15社の衣類、履物、寝具、食器、食品など、自社ブランドの完成品約30種が陳列されている。 ブランド名は大半が耳慣れないものだった。 開城工団入居企業が自社ブランドの完成品を大型売場で販売するのは事実上初めてのことだからだ。

 韓国商社は、女性衣類と食料品の価格競争力が特に優れていると説明した。 女性衣類のうち最も高価なものは(株)55&66ドットコムがビリーウィリーというブランドで作った女性用フォーマルコートで9万9000ウォン(約1万900円)だ。 300ミリリットルのごま油2瓶とエゴマ油1瓶で構成された韓国料理油セットは1万5000ウォン(約1650円)。

 しかし、開城工団製品の専用売場はまだ広く一般に知られていないため、売場は閑散としていた。 韓国商社のソン・ソンギ理事は「製品価格が中国産と同程度に安いため、顧客に安物と思われる時が一番もどかしい。 これらの製品は大企業のブランドをつけてデパートに並べられれば、値段は少なくとも3~4倍に跳ね上がるだろう。 製品の質は本当に最高レベルだ」と語った。

  開城工業団地の北側労働者はほとんどが10年近い経歴をもつ熟練工で、生産された製品の質は外国ブランド品にも引けを取らないということだ。 ソン理事は「今のところはまだ自社ブランドで生産している完成品が多くないため、陳列商品の品数をそろえることは難しい状況だ。 しかし、正式開店時には納品会社が30社程度に増え、製品の種類も今の2倍以上に増えるだろう」と話した。

 開城工団商会は参加企業の自社ブランドで生産された完成品のみを販売する予定だが、いまのところ約30社が自社ブランド製品を生産している。 開城工業団地に入居した124社のうち、完成品の国内販売に参加するのが30社だけなのは、大半の企業が大手企業の注文を受け、大手企業のブランドで製品を生産するOEM方式で運営しているためだ。開城工団商会協同組合は来月末から5月初めにかけて、ソウルに開城工団商会の本店を開設し、大都市を中心に全国5、6カ所に代理店を出す計画だ。 最初の代理店である昌原韓国商社は、開城工団商会の発足に合わせて名前を変え、正式に開店する予定だ。 オンラインショッピングモールも準備している。

 2004年12月に開城工団で初めて製品を生産して以来、最近の専用売場開設までの10年間、開城工団入居企業が自助努力を怠ってきたわけではない。 バザー・展示販売などの広報活動も積極的に展開してきた。しかし、入居企業らはOEM方式に絶対的に依存し、納品を受けた大手企業は原産地を「メード・イン・コリア」と表示して、国産である点を強調して販売してきた。 開城工業団地の生産品は、韓国の投資持分と韓国産直接材料費の割合が60%以上であれば韓国産とみなされ、「メード・イン・コリア」「韓国産」などと原産地を国産として表示できる。 実際、昌原の韓国商社の売場でも、全ての製品の原産地は「メード・イン・コリア」または「大韓民国」と表示されており、開城工業団地の生産品であることを明らかにしていなかった。 ごま油、サツマイモ澱粉などの食料品に限って製造元の所在地が「開城市鳳東里(ブンドンニ)開城工業地区」と書かれていた。

 開城工団入居企業の年間生産額が4億7000万ドルに迫り、生産品の大半が繊維・食品などの消費財だ。しかしデパートや大型マートなどどこに行っても、開城工業団地で作ったと明記した製品は目にできない。今回ようやく開城工団生産品の専用売場ができたものの、開城工業団地の生産品であることを明らかにしていないため、開城工団に対する国民の関心と愛情を引き出して開城工業団地を定着させることに寄与できなかったわけだ。

 開城工団企業協会は、南北が力を合わせて開城工業団地で製品を作り始めて10年目にしてやっと「この製品は開城で作りました」と堂々と明らかにした「開城工団商会」の発足に、大きな期待をかけている。 しっかりした内需を確保すれば、朝米や南北関係など、企業の立場ではどうにもできない外部状況の変化から打撃を受けることが少なくなり、またOEM方式から脱して独自ブランドを育成できるからだ。

 開城工団企業協会のキム・ソジン常務は「開城工団商会を訪れるお客さんたちは、服を1着買っても『南北経済協力に役に立て、さらには統一に寄与できる』という満足感を感じることができるだろう。 開城工団商会協同組合は、開城工団商会で高品質の製品を安定的に販売し、国内の消費者の信頼を獲得した上で、外国への進出にも組織的かつ体系的に推進する計画だ」と語った。

昌原/文・写真 チェ・サンウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/682317.html 韓国語原文入力:2015/03/15 19:45
訳A.K(3037字)

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