韓国と中国の自由貿易協定(FTA)妥結により両国間の経済関係は一層密接になったが、戦時作戦統制権(戦作権)移管の再延期などを通して韓国安保の米国依存度はより一層高まり、“安保は米国、経済は中国”という両極化現象が一層固定化されかねないと憂慮されている。
1992年の韓中修交以後の両国関係は、経済交流は熱いが政治協力は冷たい、いわゆる“政冷経熱”が基本基調だった。現実に20年以上にわたり両国関係の発展を実質的にけん引してきたのは経済交流だった。韓国は中国が1位の貿易相手国で、中国は韓国が3位の貿易相手国だ。 昨年の韓中貿易額(2289億ドル)は、韓米(1035億ドル)、韓日(946億ドル)貿易規模を合わせたより多い水準に達した。
しかし、政治・安保分野ではこれといった協力を成し遂げられなかった。 昨年6月、朴槿恵(パク・クネ)大統領の訪中当時に両国首脳が合意した「外交安保高位戦略対話」チャンネルが代表的だ。当時両国は「韓国の大統領府国家安保室長と中国の外交担当国務委員間の対話体制を構築する」ことに合意したが、今までこの会議体制は昨年11月に楊潔チ国務委員訪韓時に僅か一回開かれただけだ。
中国が主導する安保協議体に対しても韓国は冷たかった。今年5月、習近平主席の就任後に中国が初めて主催した多者会議であった「アジア交流および信頼構築会議」(CICA)首脳会議当時、中国は朴大統領を招請したが、韓国はリュ・キルチェ統一部長官を送った。 外交部長官でもない統一部長官が国際多者会議に参加するのは異例だ。
これとは対照的に韓国は先月、韓米安保協議会議(SCM)で戦作権移管を事実上無期延期するなど、米国との政治・安保分野協力を一層強化している。中国を狙った高々度ミサイル防衛システム(THAAD・サード)を朝鮮半島に設置・運営する計画という発言も米国側から繰り返し出ている。 中国はサードの朝鮮半島配置の動きに対して韓中関係も危うくしかねないという警告を公にしている。
このように、経済は中国、安保は米国に依存する“二股”戦略は、近い将来限界を露出せざるをえないという指摘が出ている。 キム・ハングォン峨山(アサン)政策研究院地域研究センター長は「サードは安保問題だが中国が反対し韓国が困った立場になったし、中国主導のアジア開発インフラ銀行(AIIB)は経済問題だが米国が不満を表し韓国が立場を留保している」として、「米中の戦略的競争が高まり、韓国が以前のように経済と安保を分離して二つの強大国に接するのは難しくなった」と話した。
これに伴い、軍事・安保分野では中国に重さを加え、経済分野ではASEAN国家などに貿易の幅を広げるなど“均衡および多角化”の戦略が必要だという声が出ている。キム・ジュンヒョン韓東大学教授は、安保問題と関連して「他の国々の関心を集めて、韓国が主導できる南北問題を中心に中国との軍事安保協議を企画することも可能だろう」と話した。