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「SNS監視」アプリで生徒の自殺予防…付焼刃の教育部対策に批判

登録:2015-03-14 01:12 修正:2015-03-14 07:36
 「自殺」関連の言葉が出たら、親に知らせる
 政府の対策、人権侵害・実効性が問題に
 情緒検査も時期早めただけで
 心理療法支援対策なし
自殺学生の机の上に白い菊の花束が置かれている。 資料写真//ハンギョレ新聞社

 小中高校生の自殺を減らすため、教育部が生徒のスマートフォンのカカオトークといったソーシャル・ネットワーク(SNS)に自殺関連の言表が示されたら、その生徒の親に知らせるサービスを提供する対策を立てた。人権侵害の恐れがあるだけでなく、実効性が疑われるその場しのぎの対策という批判が強まっている。

 ファン・ウヨ副首相兼教育部長官は13日、政府ソウル庁舎でムン・ヒョンピョ保健福祉部長官、キム・サンリュル大統領府教育文化首席などが参加した社会関係長官会議に学生自殺予防対策案を提出したが、案件としての上程は見送った。生徒の自殺は、芸能人の自殺が相次いだ2008年137人、2009年202人、昨年118人など、毎年100人を超し、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最悪を記録してきた。今年も1月3人、2月5人、3月も12日までの8人の学生が自ら命を絶った。

 政府対策の骨子は、学生のスマートフォンでの自殺の兆候を親に知らせるアプリケーション(アプリ)の提供、学生の情緒・行動特性検査の早期実施、学校やマンションなどの屋上出入口の自動開閉装置の設置などだ。

 まず、「親に対する自殺の兆候の通知サービス」は日常的な“リアルタイム監視”であり、生徒のプライバシーを統制する人権侵害との批判が出ている。また生徒がアプリの設置を拒否し、特定の単語の使用を避けることも可能なので実効性に欠けるという指摘が多い。ムン・ヨンリン前ソウル市教育監(教育委員会委員長に相当)在職当時に試験運営した、似たようなアプリも効果がほとんどなかったとの評価が多い。マンションの屋上への出入り口を遮断する案は、火災などの緊急事態対策が別に用意されなければならない。

 学生情緒・行動特性検査は、時期を5月から4月に前倒しすると言っただけで、検査後の心理療法を無料で支援する対策はまだない。小学校1・4年生、中学校1年生、高校1年生の200万人を対象に検査した結果、相談センターへの依頼などが必要な「優先管理群」の学生は、2013年5万7200人(2.7%)、2014年5万4600人(2.7%)など11万1800人に達する。

 全国教職員労働組合は、「自殺の主要原因である家庭の不和、成績悲観などに対応するには、家庭経済の破綻時に備える社会安全網の構築、入試競争教育の解消に力を入れなければならない」と指摘した。

 文部科学省は、一歩遅れて釈明資料を出して 「このような対策案を社会関係長官会議に提出したが、案件として議論されなかった」と明らかにした。

イ・スボム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.13 19:18

https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/682172.html  訳H.J

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