本文に移動

[インタビュー]「朴大統領批判ビラは私たちがばら撒いた」

登録:2015-03-12 01:27 修正:2015-03-12 06:41
 「民主主義を念願する人々」初のインタビュー
 「私たちは小市民... SNSなどを通じて知り合った」
 「昔ながらの抵抗方式、政権が過去に逆戻りしたせい」
 「朴槿恵政権のあらゆる異常に対する批判メッセージ伝えたい」
2月26日昼、ソウル江南駅交差点で朴槿恵政府を批判するビラがまかれている。 キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領を批判するビラが、昨年末からソウルと釜山(プサン)、大邱(テグ)、光州(クァンジュ)など全国で数百、数千枚ずつばら撒かれている。先月25〜28日には、4日連大統領府近くのバス停、新村(シンチョン)、明洞(ミョンドン)、江南(カンナム)などでビラが撒かれた。ビラは、朴大統領の大統領選挙公約破棄と国家情報院の大統領選挙介入などに対する批判を主な内容としている。

 ビラ撒きの主体は、「民主主義を念願する市民」であるが、人々の往来が頻繁な場所の高層ビルでビラをばら撒いた後、跡形もなく消えた。彼らの正体はまだつかめない。監視カメラの映像にはマスクと厚い服で顔や体を覆った人たちが屋上に上がる姿だけが写っている。

 警察は、彼らを建造物侵入と名誉毀損などの疑いで逮捕しようとしているが、まだ身元すら把握できていない。

 彼らは一体誰なのか、なぜビラをばら撒いているのか、これからも引き続きビラをばら撒いていくのかなどをめぐり、SNSでは様々な意見が飛び交っている。

 ハンギョレは、「民主主義を念願する人々」の会員の一人をインタビューした。身元が知られる可能性もあるので、インタビューはいくつかの段階を経て、モバイルメッセンジャーを通じて行われた。

 - 「朴槿恵大統領批判ビラ」を相次いでばら撒いて話題になっている。あなたたちは何者なのか?

 =特定の団体に集まっている人たちではない。新たに団体を作ったわけでもない。ビラまきを通じて継続的なメッセージを伝えたくて、一時的に名義を「民主主義を念願する市民」にした。このようなことに参加した人たちは小市民だ。たまに集会に参加して、SNSを介して知り合った何人かが一緒に企画したものだ。

 - 組織や体系を備えている団体なのか?

 =組織や体系はない。ただし、その時その時ごとに誰かはコピーをして、誰かはどこかに行ってばら撒いて、という風に分業はする。このことに実質的に関わった人たちは非常に少数だ。

 - ビラをばら撒く理由は?

 =朴槿恵政権が発足してから行われたあらゆる異常を批判するメッセージを国民に投げかけたいと思った。

 選挙不正は政権の正当性を揺るがすこともできる問題だ。これを隠蔽する黒い権力が民主主義を破壊している。批判勢力に対する圧倒的な弾圧や従北攻勢は権威主義以上のものだと思った。不通と独善、恣意的な法の適用により、民主主義も枯死した。経済民主化公約の大々的後退、親財閥・反庶民政策も問題になると思う。セウォル号事態への対応や、大統領の会話レベル、政策に対する理解を見ると、あまりにも能力がない政権だと思った。このような話をすると従北呼ばわりされる世相についても指摘したかった。

 - 最近では、インターネットやSNSなど、人に意見を効果的に伝えられる手段が多いが、なぜ昔の方式であるビラを選んだのか

 =数万人が集まって集会を開いても彼らのメッセージがうまく伝わらない。世論を作る責任がある報道機関が渋滞になるから家に帰えろというほどだ。短いが、鮮明なメッセージでも正確に伝えたかった。政権が過去のような権威主義に逆戻りしているから、抵抗方式も80年代風にするのも一種の風刺だと思った。だからビラ撒きなどの方法を考えるようになった。以前はどこか屋上でビラをばら撒いてスローガンを叫んだことで捕まったり、そんな風だったそうではないか?このような方法なら、メディアも注目すると思った。

 ビラはわずか数千枚だ。 SNSで伝えられる人の数よりもはるかに少ない。しかし、メディアがこれを取り上げてくれればSNSよりもはるかに大きな反響があると思った。実際にもポータルのメインだけでなく、地上波でも取り上げられた。成果があると思う。

 - ビラをばら撒く度に内容が変わる。チラシの内容は、どのように決めるのか?

 =最も旬な話題で、市民が共感できる内容を見つけるために努力している。それとともに、現政権に対する最も批判的な内容が含まれなければならない。過度の論理飛躍や低俗な風刺を避けるために努めるのも、私たちにとっては大切だ。事実に基づいて風刺しようと心掛けている。

 - 少なければは数百枚、多ければ数千枚をばら撒いているが、印刷はどうしているのか?

 =ハンギョレ新聞社で数万枚刷ってもらえないか?(笑)コピーでもできるし、インターネット注文でも可能だ。数千枚といってもサイズが小さいので、大したことではない。

 - ビラを見た市民の反応を見たことがあるのか?市民はどのような反応を見せるのか?

 =現場の市民の反応を調べたことはない。ただし、インターネット反応を見ると、非常に友好的であるようだ。そんな風に思っている方だけが文を残してはいるのかもしれないが…。実際に根拠のないことを言っているわけでもないので、大きく非難されることはないと思う。もちろん、実際に事実自体を隠蔽したい一部の人たちには悪口をいわれるかもしれない。セヌリ党の敏感な反応を見ればそのようだ。

27日昼、ソウル明洞のユネスコ建物屋上から「民主主義を念願する市民」名義で朴槿恵政権糾弾汎国民大会を知らせる数百枚のビラが散布されている。 キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 - 警察が建造物侵入、軽犯罪、大統領侮辱罪などの疑いを掲げて、捜査に乗り出したという。大邱や釜山では、ビラを撒いた人たちの家を家宅捜索してバイクの違法改造を問題視した。警察の対応についてどう思うのか?

 =ビラを数千枚ばら撒いたのがゴミ無断投棄だと?公的な目的が大きい。容疑を適用できないと思う。それはこっそり捨てようとしたものではないじゃないか?例えば、ゴミ袋を節約しようとして捨てたわけではないのだ。政権の顔色だけうかがっている警察が情けないだけだ。建造物侵入にも該当しない。すべての場所が部外者にオープンされたところだ。ドアを無理やりこじ開けて入ったりしたところはない。我が家にも家宅捜索が来れば、社会科学の書籍のことで従北勢力云々するかもしれない。生涯の行跡を全部調べ上げて出てくるものを組み立て、従北組織とすることもできそうだ。 「公権力が政権の侍女になった」という表現ほど、このような敏感反応をよく表すことはできない。

 - 一部では「国家元首侮辱罪」を復活しなければならないという主張もある。もし国家元首侮辱罪が復活されたら、ビラ撒きもそれに当たると思うか。

 =国家元首侮辱罪?「最高尊厳」は見ることも、言及することも、できないというのか?あまりにださく、幼稚な発想だ。 まさに70年代の主役たちが集まって出した答えだ。印刷、出版物すべて検閲し、国全体が巨大な刑務所になるだろう。ビラまきを止めようと法まで作るのなら、移民に行くしかない。話の通じる人たちと品のある議論がしたいだけだ。

 - 国家人権委員会が、脱北者団体が北朝鮮にビラを散布することは表現の自由というのに対し、警察が朴槿恵大統領批判ビラ散布を捜査することには何の意見表明をしていない。この点についてどのように考えるのか。

 =国家人権委?既にその機能を喪失して久しいではなかったか?政権の顔色をうかがうのはそこも同じだ。戦争を挑発する対北朝鮮ビラは表現の自由に該当すると保護し、自国政府を批判する市民の口を塞ぐ行為に対しては沈黙するのは問題がある。

 対北朝鮮ビラ散布が休戦線帯に緊張を高めているという話を知っている。南北関係がこのように悪いときには、小さな挑発も局地戦のようになる可能性があると思う。この問題こそ、表現の自由次元ではなく、国民の安全のために防がなければならない。脱北団体は、まるで自分たちがシャルリになったかのように、表現の自由について語るが、西側のメディアが特定の宗教指導者に対して、過度に侮辱的な表現をすることも問題だと思う。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領と金正日が同性愛をしているかのように描写するビラを見ると、顔が熱くなる。北朝鮮の人々がそのようなもの見たら、何を思うのだろうか?緊張を高めること自体が目的であるようだ。

 私たちにも表現の自由がある。これを保障されなければならないと思っている。しかし、朴槿恵大統領を性的に卑下したり、過度の推測と飛躍を確定的に言う風にはしたくはない。ビラに記事を引用するのも、知られている事実を中心にメッセージを伝えようとするのだ。公的な批判にまで口を塞ごうとすることこそ、表現の自由を損なうことである。

 - 身元を公開してビラをばら撒く考えはないのか。

 =(短く)ない。

キム・ミョンジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.11 19:26

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/681824.html?_fr=mt1  訳H.J

関連記事