本文に移動

韓電の出す地域発展基金、住民たちの紛糾の種(1/2)

登録:2015-03-11 20:45 修正:2015-03-15 09:01
問題多い地域発展基金
4日、全羅南道海南郡門内面鶴洞里で住民が花源~珍島間の送電線工事で村内に建てられた双子送電塔の前で越冬白菜を収穫している。 海南/アン・グァンオク記者//ハンギョレ新聞社

 4日午前11時、全羅南道海南(ヘナム)郡 門内(ムンネ)面 鶴洞(ハクトン)里。5人の住民が送電塔から30メートル離れた畑で越冬白菜を収穫していた。送電塔には「感電事故の危険があるため5メートル以上の安全距離を維持すること」という警告文がはためいていた。 昨年11月、既存の送電線路に一本追加され、村の入口にあるこの送電塔は双子になった。 白菜畑からは、この双子の鉄塔をはじめ16本の送電塔が見える。 尾根に隠れて上部だけが見えるものまで入れれば25本を超える。 この村の住民は昨年3月、韓国電力から「海南の9つの村のうち、残っているのは鶴洞里だけだ」と圧迫され、地域発展基金1億3000万ウォン(1円=9ウォン)を受け取って送電塔反対意思を放棄した。

 同日午後4時、同様な送電線が通る珍島(チンド)郡 郡内(クンネ)面 徳柄(トクピョン)里の村会館では、5人の住民が焼酎を飲んでいた。 前の日に妥結した韓電との交渉過程が話題に上がった。

 住民たちは、地域発展基金3億8000万ウォンを受け取って2年にわたる交渉を締めくくった。 交渉が長引いて基金が多少上乗せされたが、彼らは「これからが心配だ」と言った。 珍島の15の村のうち5つの村が団結して韓電からの支援を増やさせはしたものの、当初の目標は実現できなかったからだ。 住民たちはこれまで、町から200メートル離れた送電線路を地下に埋めるか、路線を変えることを要求してきたのだった。

 これらの村は、韓電が施行中の154kV(キロボルト)の花源(ファウォン)~珍島間の送電線路が通過する地域だ。この事業は1990年代半ばに設置された海南門内面~珍島郡郡内面の14.5キロ区間の2線路を4線路に増やす工事だ。地域に電力を安定的に供給し、済州島行きの海底送電線路の迂回網を構築するためのものだ。 今年10月までに24の村に送電塔37本を建てて、送電線路を設置する予定だ。 この工事には関連法律に基き、線路工事費160億ウォンと土地補償費9億ウォンがかかる。 この法定費用の他に、苦情を解消するための特殊補償費(地域発展基金)が別に策定された。

 住民たちの話を総合すると、韓電がこの工事のために24の村に渡した地域発展基金はおよそ30億ウォンに上る。 公式的な土地補償費9億ウォンより“裏金”として渡す特殊補償費の方が3倍以上かかっているわけだ。 地域発展基金は地域と時期によって明確な差が見られる。海南の9つの村は、村当り5000万~1億3000万ウォンで判を押した。 韓電は、少な過ぎると言ったある村には、青年会・老人会の観光費として2000万ウォン、敬老会館の電気製品購入費に1500万ウォン、計3500万ウォンを上乗せした。今年の旧正月前には60キロ(100斤)の豚を一頭ずつ、海南の村々に送った。

 交渉がなかなか進まなかった珍島の15の村は、5000万~3億8000万ウォンを受け取った。 このうち送電線路から近い4つの村は、海南側より相対的に高い2億5000万ウォン以上で合意した。 ある村は3億ウォン台半ばを巡ってまだ駆け引きをしている。 そのため珍島側は竣工7カ月前なのに、工事は全く始められていない。

 海南鶴洞里のチョン・ムウン氏(63)は「2億5000万ウォン以上もらった珍島の村とうちの村と、どっちが送電線路に近いか距離を測ってみようという話も出た。 悔しくても70、80代の老人ばかりだから、どうしようもない」とため息をついた。 珍島徳柄里の里長チョン・デソン氏(57)は「反対する時はそうではなかったが、交渉に入ったら、金を出す韓電側は“甲”、少しでも多く取ろうとする私たちは“乙”(訳注:“甲(カプ)”は社会的強者を、“乙(ウル)”は社会的弱者を指す)になってしまった。 資金と情報・人脈を掌握した韓電に太刀打ちするすべがなかった」と語る。

海南・珍島・群山/アン・グァンオク、パク・イムグン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/681365.html 韓国語原文入力:2015/03/09 11:45
訳A.K(1906字)

関連記事