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トランプ政権100日、敵は弾劾より市場【コラム】

登録:2025-04-28 02:32 修正:2025-04-28 06:39
//ハンギョレ新聞社

 今月29日、米国のドナルド・トランプ大統領が就任100日を迎える。関税戦争、移民の追放、大学の飼いならし、連邦政府の構造調整など、彼が就任後に推進した諸政策は、内外で激しい反発を引き起こしている。

 トランプ大統領に対する批判が高まっていることで、早くも彼の「弾劾」が取り沙汰されている。今月19日には、米国全域でトランプ大統領を批判する約700のデモが行われた。その日、サンフランシスコのオーシャンビーチでは、数百人の市民が砂浜に「弾劾せよ、そして罷免せよ」という人文字を作った。政界からも弾劾を主張する声があがっている。民主党は、党レベルでは推進していないが、同党のアル・グリーン下院議員(テキサス)、シュリ・サネダル下院議員(ミシガン)、ジョン・オソフ上院議員(ジョージア)ら、複数の議員がトランプを弾劾すべきだと公言している。

 米国の大統領弾劾手続きは、「下院への弾劾訴追案提出→下院議員の過半数の賛成で訴追案可決→上院議員の3分の2(67人)以上の賛成で罷免」の順に進む。しかし現在、上院と下院はいずれも共和党の議員の方が民主党より多い。したがって、当面はトランプ大統領の弾劾はほぼ不可能だというのが衆論だ。トランプも国民や政界の批判にびくともしない。

 トランプを戸惑わせていることは別にある。ウォール・ストリート・ジャーナルは今月23日、「トランプが敵に遭遇した、市場という名の」との見出しをつけた記事で、「(トランプの)措置はデモ、訴訟、支持率の下落、政治的反対に直面しているが、今までトランプが確実に引き下がった唯一のケースは、ウォール街が圧力をかけた時だった」と報道した。

 今月2日に57カ国に対する相互関税を発表して以降、株が暴落し、米国債の投げ売りが起きたことに対し、トランプ大統領は9日、相互関税の実施からわずか13時間後に、中国以外の国に対する相互関税を90日猶予することを発表した。その後、米-中関税対立が激化するとともに、トランプ大統領がFRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長に辞任を圧るような発言をおこなったことで、またも株、国債、ドルの価値がすべて暴落する「セル・アメリカ」現象が起きた。これに対しトランプ大統領は22日、中国に対する関税を下げると表明するとともに、パウエルに対しても「解雇するつもりはまったくない」と態度を変えた。

 彼の元政治顧問は「トランプは市場を、すべてがうまくいっているかを測る指標と考えている」と語った。結局のところ、当面、トランプを止めることができるのは弾劾よりも市場であるわけだ。

アン・ソンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1194504.html韓国語原文入力:2025-04-27 15:07
訳D.K

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