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[駐韓米国大使襲撃] 凶器となった“過激な民族主義”

登録:2015-03-05 22:22 修正:2015-03-06 14:11
リッパート大使、右頬切られ左手刺される...命に別状なし
マーク・リパート駐韓米大使が5日午前、ソウルの世宗文化会館で開かれた民族和解協力汎国民協議会主催の招請講演に参加し、暴漢の攻撃を受け血を流して行事場所を抜け出している。//ハンギョレ新聞社

逮捕されたキム・ギジョン氏「韓米合同軍事訓練反対...一人で犯行準備」

 マーク・リッパート駐韓米国大使が5日、韓米合同軍事訓練反対などを主張するキム・ギジョン「ウリマダン(私たちの広場)独島を守る会」代表(55)に凶器で襲われ、顔面と左腕に重傷を負った。リッパート大使の命に別状はないが、米国を代表する最高位の外交官への攻撃という点で、韓米関係はもちろん、犯行動機の調査などでかなりの波紋が予想される。

リッパート大使の負傷状況。//ハンギョレ新聞社

 リッパート大使は朝7時40分頃、民族和解協力汎国民協議会(民和協、議長ホン・サドク)が、ソウル鍾路(チョンノ)区世宗路の世宗文化会館世宗ホールで開いた朝食講演会に参加し、講演を控えて食事をしていたところ、25センチの長さの果物ナイフも持ったキム氏に襲われた。キム氏は、リッパート大使の後ろのテーブルにから突然飛びかかって大使を押し倒してから、上半身に馬乗りになった状態で凶器を振り回した。リッパート大使は右頬を11センチ切られ、左腕に3センチの大きさの貫通傷を負い、近くの江北サムスン病院に運ばれ応急処置を受けた後、新村セブランス病院に移送され、2時間30分間の手術を受けた。セブランス病院側は「顔を約80針縫い、破損した左手の神経や筋を縫合した。幸いなことに(凶器が)頸動脈を外ずれており、命に別状はない。機能的な異常もないだろう」と明らかにした。

 現場で警察に逮捕されたキム氏は、独島守護運動などを行ってきた文化団体ウリマダン独島を守る会の代表だ。キム氏はこの日、講演会には招かれなかったが、先月16日から民和協が公示した講演会のニュースを聞いて犯行を計画したものと見られる。キム氏の正確な犯行動機は警察が捜査中だが、彼はこの日の襲撃現場に持って行ったビラや検挙後の発言、過去の行跡などから、“過激な民族主義者”の突出的な犯行との見方が多い。

 キム氏は、講演場に持って入ったビラで、「南北対話に立ちはだかる戦争訓練中断しろ!」「韓国に戦時作戦統制権の返還せよ!」「日本の集団的自衛権の主張には、ひたすら沈黙する」「光復70周年を迎え、軍事主権のない私たち(韓国)の境遇が悲痛なだけだ」などと主張した。彼は警察に逮捕された後、犯行の動機を尋ねる取材陣に「戦争訓練のせいで離散家族が再会できないのではありませんか。キーリゾルブ訓練反対します。戦争訓練、中止しなければなりません。過去のチームスピリットと同じように戦争訓練、中止しましょう」と何度も叫んだ。 「なぜ暴力を振るったのか」という質問には、「戦争に反対だから。戦争よりも大きな力がどこにあるのか」と答えた。いつから計画したのか、共犯者がいたのかを尋ねる質問には「十日前からだった。一緒にやると大変なことになる」と単独犯行を主張した。

 キム氏は、過去にも公開席上で「日本の天皇を殺さなければならない」、「地球上で米国は消えなければならない」など過激な発言と突出的な行動を頻繁に行っており、「独立運動家」を自称するなど、自己誇示傾向が強かったと周辺の人々は伝えている。キム氏は、2010年7月に「日韓共同繁栄」をテーマに特別講演を行った重家俊範駐韓日本大使に独島を象徴する長さ10センチと7センチのコンクリート片を投げ、懲役2年執行猶予3年を宣告されたことがある。

 警察はキム氏に殺人未遂と傷害(凶器所持)、外国使節暴行などの容疑を適用して拘束令状を申請することにした。警察は、キム氏を継続調査する一方、キム氏の家やオフィスの押収捜索令状、キム氏の電話の送・発信履歴を把握するための傍受令状をもとに、犯行動機と背後も捜査する方針をと明らかにした。

パク・ギヨン、イ・ジェウク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.05 19:58

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/681060.html?_fr=mt1r  訳H.J

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