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[朴槿恵政権の2年]大統領に耳を傾けさせる対北戦略家の不在

登録:2015-02-27 01:08 修正:2015-02-27 15:22
朴大統領の公約点検 //ハンギョレ新聞社

 朴槿恵政権(パク·クネ)大統領の就任以来、過去2年間の対北朝鮮政策は李明博(イ・ミョンバク)政権時代の南北対決構図から一歩も進まなかった。根本的な原因は、朴大統領の柔軟性不足のせいだが、朴大統領の考えを変えられるほどの重要人物(キーマン)がおらず、コントロールタワーに当たる大統領府組織自体もねじれているからだという指摘が多い。

 まず、朴大統領の耳を傾けさせ、政策転換を説得できる統一外交分野の要となる戦略家がいないという点が大きな問題として挙げられる。朴大統領自身が「キーマン」という冗談が出るほどだ。金大中(キム・テジュン)政権時代のイム·ドンウォン元統一部長官、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代のイ·ジョンソク元統一部長官のように、大統領の心を動かせる「力のある」戦略家がいないから、誤った方向に進んでもこれを止められる雰囲気にはならないということだ。政策の方向は違ったが、李明博政権時代にもキム・テヒョ前対外戦略企画官が似たような役割を果たした。

 金大中政権のイム·ドンウォン、盧武鉉政権のイ·ジョンソクのような
 力のある「船頭」の不在で右往左往

 大統領府の外交安保首席が統一準備委員会の業務
 国家安保室が北朝鮮と交渉、“矛盾”
 統一部、大統領府の意思決定過程から排除
 ”対北強硬”軍·公安出身が主導

統一外交分野大統領選挙公約 //ハンギョレ新聞社

 このような現象は、統一外交分野で朴大統領の家庭教師であり、対北朝鮮交渉派であったチェ・デソク梨花女子大学教授が業務引継ぎ委員会時期、釈然としない理由で退いた時からすでに予告されたものだった。朴槿恵政権が発足し、統一外交安保ラインは韓米同盟派で北朝鮮強硬派であるナム・ジェジュン当時国家情報院長と、同じく軍出身のキム·ジャンス当時国家安全保障室長が主導する形になった。リュ・ギルジェ統一部長官も私的な席で、このような構図に対する息苦しさを吐露したと伝えられる。さらに、公安検事出身のキム・ギチュン秘書室長が、昨年4月に「国家安全保障会議(NSC)運営等に関する規定」まで改正し、国家安全保障会議に出席してから、大統領府の影響力はさらに強まった様子だ。昨年7月に戦略家でハト派として知られるイ・ビョンギ元駐日大使が国政院長に就任したが、この壁を越えられなかった。匿名を要求した統一外交消息筋は「イ・ビョンギ院長が就任後、意欲的に南北関係を改善しようとした」とし「しかし、速度調節を求めるキム・ギチュン実長との軋轢がかなり大きかったと聞いている」と伝えた。

国防分野大統領選挙公約 //ハンギョレ新聞社

 大統領府の組織自体が外交安保分野のコントロールタワーとしての役割を果たせないことも問題点として挙げられる。朴槿恵政権は発足当時、外交安保首席室と国家安保室という二元構造になっている問題点を解消するために、1年後に国家安保室傘下に国家安全保障会議事務局を設けた。組織改編により、チュ・チョルギ外交安保首席が形式的には国家安保室の第2次長を兼任するようにした。しかし、結果的に外交安保首席は大統領秘書室長と国家安全保障室長という二人の「上司」の下で働くことになり、業務の統合性も達成できていないとの評価が多い。チャン・ヨンソク ソウル大学統一平和研究院先任研究員は、「外交安保首席室側では、南北関係の最大の障害になってしまった統一準備委員会の業務をしているのに対し、国家安保室1次長が北朝鮮との交渉に出る矛盾した状況が演出されている」と批判した。

 また、南北対話と対北朝鮮問題について専門的な助言をすべき統一秘書官は、戦略を担当する国家安保室1次長傘下にいるのではなく、首脳会談などの外交日程中心の業務を扱う外交安保首席の下で働いている。自分の役割を果たすのが難しい構造なのだ。

 統一部は、大統領府中心の意思決定過程で徹底的に排除された。統一部長官が主に担当していた国家安全保障会議常任委員長にはキム·ジャンス やキム·クァンジンなど軍出身の国家安全保障室長が務めている。やはり統一部1級官僚が主に担っていた統一秘書官は、統一部長官に内定した朴大統領選挙陣営出身のホン・ヨンピョ漢陽大学教授が務めた。外交安保首席室と国家安保室をあわせて、統一部から派遣された高位官僚は局長級(2級)1人に過ぎない。統一部内部からで「長官は上で塞がれ、職員たちは下から防がれる」という不満の声が出るのも無理はない。

イ・ヨンイン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.02.26 20:22

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/679961.html  訳H.J

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