「朴槿恵(パク・クネ)大統領が就任してからもう2年が経ったじゃないですか。大統領選挙の時にした約束をこれまで守れなかったら、残りの3年間どうしていくのか国民に説明しなければならないのに、全くその様子がありません」
キム・ビョングク氏(78)が朴槿恵政権の2年を評価するキーワードは「守らなかった約束」だ。次上位階層であるキム氏は、2年前まで朴大統領に大きく期待していた。朴大統領の高齢者向け公約である「老人雇用手当2倍引き上げ」に惹かれた。政府は各地域の学校、病院、老人会などでボランティア活動をする高齢者を対象に、1年で最大9カ月間、一月あたり20万ウォン(1円=約9ウォン)ずつ手当を支給しているが、2012年大統領選挙の当時、朴大統領は2014年からその手当を最大40万ウォンに引き上げると約束した。しかし、現在まで高齢者の雇用手当引き上げの動きはない。キム氏は24日、「朴大統領が就任すれば基礎年金が10万ウォンから20万ウォンに、雇用手当も20万ウォンから40万ウォンに上がり、苦しい家計にも少し余裕ができると思っていたのに、たばこの値段だけ2倍近くになった」と苦笑した。基礎年金が10万ウォン引き上げげられても、たばこの値上げ分を除いたら、あまり残らない。
「守らなかった約束」は朴槿恵政権が主要成果として挙げる基礎年金にもある。朴大統領は、大統領選挙の時、「すべての高齢者に月20万ウォンの基礎年金を支給する」と公約した。政府とセヌリ党は昨年の6・4地方選挙を控えて基礎年金法を通過させ、これを現実化した。ところが、その内容は大統領選挙公約と全く違った。実施過程で「すべての高齢者」は「所得下位70%の高齢者」に、「月20万ウォン」は「国民年金加入期間に応じて、月10万〜20万ウォン支給」にそれぞれ変わった。 「基礎年金における死角地帯の発生」問題も浮き彫りになった。基礎年金は、所得下位70%の高齢者を対象に支給されるが、最も経済的に困難な基礎生活需給の高齢者は、事実上その恩恵を受けられない。政府が支給する基礎年金が「所得」に含まれるせいで、基礎生活保障制度に伴う生計給与が基礎年金分だけ削られてしまう。「(基礎受給老人にとって)あげたふりして取る基礎年金」と言われる理由だ。
貧困高齢者のための基礎年金連帯のイ・サンホ事務局長は「基礎年金制度を導入して高齢者のための公的年金の枠組みを作ったのは望ましいことだが、度重なる制度の後退で、所得上位30%はもちろん、134万人の基礎生活受給者のうち、基礎年金対象者の39万人を排除する結果となった」と指摘した。
朴大統領の当選に多大な貢献をしたと評価される福祉公約のうち、大統領選挙後に変更ないし廃棄された事例はこれだけではない。がん、心血管、脳血管、希少難治性疾患のような「4大重症疾患」に国民健康保険(健康保険)を100%適用すると言った公約も内容が縮小された。保健福祉部が3日に発表した「健康保険中期保障強化計画」によると、4大重症疾患の健康保険保障率は朴槿恵政権の任期が終わる2018年になっても80%半ばにとどまる見込みだ。病院が診療費に100万ウォンを請求すれば、このうち80万ウォンは健康保険の財政で負担するという意味だ。「任期内100%保証」を約束にはるかに及ばない。
健康保険の保障性の拡大は、“金”ではなく“選択”の問題だ。キム・ジョンミョン「私が作る福祉国家」の健康保険チーム長は、「健康保険の黒字が13兆ウォンも溜まっているのに、朴槿恵政権は4大重症疾患以外に患者たちにとって意味のある保障拡大政策を出していない」と指摘した。ウ・ソッキュン保健医療団体連合政策委員長は「4大重症疾患以外の疾患は、健康保険の保証割合が60%台前半だ。健康保険財政が過去最大の黒字を記録したのは医療費が心配で具合が悪くても病院に行かない患者が増えたため」と批判した。
健康保険の保障性の拡大に加え、現政府が国政課題として進めてきた健康保険料(以下健保料)の賦課体系改編の過程で、政府が見せた右往左往動きも不信を増幅させる。現行健保料請求システムは、地域の加入者や職場の退職者などに対する保険料賦課方式が職場加入者と異なり、公平性が問題になってきた。政府はこの問題の解決のため、2013年7月福祉部に「健康保険料賦課体系の改善企画団」を設け制度の改善を進めてきた。しかし、年末調整をめぐり波紋を続くと、先月末、一朝にしてこれを白紙化すると発表した。賦課体系改編に伴って保険料が引き上げられる高所得者45万人の反発を意識した選択だった。政府は非難世論が殺到すると、最終的には政府・与党協議を経て再推進すると一歩引いた。しかし、この過程でもたらされた政策混線についてはいまだ誰も責任を取っていない。
韓国語原文入力: 2015.02.24 20:36