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韓国政権交代「20年周期説」再演なるか

登録:2015-02-18 01:57 修正:2015-02-18 21:23
旧正月連休に見る政局天気図
2017年の大統領選挙を睨み動き出した与野党。左は文在寅率いる野党、右は金武星率いる与党。キム・ヨンフン記者//ハンギョレ新聞社

 任期に伴う権力の循環サイクルがある。任期5年の大統領は当選直後から約1年間が最も強力だ。 2年目に入ると、失望する人が少しずつ現れ、3年目には支持率が下落し始める。 4年目にはレームダックが始まり、5年目には植物政権となる。

 任期4年の国会議員は3年目くらいになると、すべての活動の焦点を自分の再選に合わせる。再選のためには政権の行方も目に入らない。公認を受けられなかった人たちが集団離党を決行する時期も総選挙を控えてからだ。

 5と4の最小公倍数は20だ。したがって「大統領選挙と総選挙のサイクル」には20年ごとに同じモデルが出現する。次の総選挙は2016年4月に、大統領選挙は2017年12月にある。 20年前の1996年総選挙と1997年大統領選挙の時と間隔が同じだ。来年の総選挙と再来年の大統領選挙について見通しを立てるためには、20年前に何が起こったのかを振り返ってみる必要がある。

 ちょうど20年前の1996年
 YSに敗れて引退したDJ復帰
 野党分裂の中総選挙行われる
 YS政権没落にもかかわらず、総選挙で敗北
 ところが大統領選挙では奇跡的に勝利

 金大中(キム・デジュン、DJ)元大統領は、1992年12月の大統領選挙で金泳三(キム・ヨンサム、YS)元大統領に敗北した後、政界を引退した。そして20年前の1995年6・27地方選挙への支援をきっかけに、7月18日、政界復帰を宣言し、新政治国民会議を結成した。

 1996年4・11総選挙は、野党が新政治国民会議、統合民主党、自由民主連合(自民連)に分裂した中で行われた。選挙結果は、新韓国党139、国民会議の79、自民連50、民主党15議席だった。金泳三政権が墜落する状況だったにもかかわらず、野党の分裂で政権与党に漁夫の利を与えてしまったのである。金大中元大統領は責任論に苦しめられた。 DJP(金大中・金鍾泌(キム・ジョンピル、JP))連合を推進したが状況の打開は容易でなかった。

 ユ・シミン元保健福祉部長官が「第3の候補でないと政権交代できない」と主張をするために、『97米大統領選挙のゲームの法則』という本を出したのは、1997年4月のことだった。 1997年7月新韓国党の大統領選挙候補予備選挙でイ・フェチャン候補が選出された直後の世論調査で、仮想対決は「イ・フェチャン47%対野党単一候補金大中33%」だった。政党支持率は新韓国党31%、国民会議の23%、自民連8%だった。野党政権の可能性は見当たらなかった。

 しかし、5カ月後、1997年12月18日に行われた大統領選挙の勝者は金大中候補だった。イ・フェチャン候補の息子の兵役疑惑、通貨危機、DJP連合の成功、イ・インジェ候補の新韓国党離党と大統領選挙への出馬など、いくつかの異変が奇跡を演出した。

 最近、野党の一部から「20年周期説」を言う人がいる。 1997年、金大中元大統領が政権を握った時同様、民主革新勢力を代表する野党候補が保守既得権勢力を代表する与党候補を破って大統領選挙で勝利するという仮説だ。

 20年前と同じ条件がいくつかある。第一に、大統領選挙で敗北した野党候補が復帰した。第二に、経済難が非常に深刻だ。第三に、10年の間に執権した保守既得権勢力に対する拒否感が広がっている。第四に、TK(大邱・慶尚北道)とPK(釜山·蔚山・慶尚南道)が分裂の兆しを見せる。

 相違点もある。第一に、野党代表の政治力が不足している。第二に、湖南(ホナム)の凝集力が落ちている。第三に、忠清道圏で与党が優勢だ。第四に、与党に有力候補がなく、世代交代が可能だ。 

 2017年、新政治民主連合による政権交代が可能だろうか?この質問への答えの手がかりは、文在寅(ムン・ジェイン)代表から見つけるしかない。彼が今、新政治連合の代表を務めているからだ。新政治連合議員数人に訊いてみた。肯定と否定に分かれたが、いずれの場合も文在寅代表に「野心」と「経験」が不足しているという物足りなさでは意見の一致を見た。

 それから20年後の2015年
 戻ってきた文在寅
 経済難・10年執権への抵抗は類似
 野党候補に政治力不足
 忠清で与党優勢などの違いも

 文在寅代表は党大会直前「危機の野党代表を務めるのは顕職ではなく、十字架だと思う。私のすべてを投げ打つ覚悟ができている」との声明を出した。また、「党代表になれなかったとしても、党を生き返らせることができなかったとしても、総選挙を勝利に導くことができなかったとしても、その後に自分の役割はないもの」と述べた。文在寅代表の認識には問題がある。議員たちは次の二点を指摘した。

 第一に、政治家は宗教人ではない。有権者は政治家の欲と執念の信頼を送る。大会当日の演説で、文在寅代表は「私たちの党を総選挙勝利に導く力は誰なのか」をはじめ、12個の質問を投げかけ、「文在寅」という連呼を引き出した。代議員は文在寅代表の「私でなければならない」というメッセージに歓呼したのである。なのに「十字架」や「すべてを投げ打つ覚悟」云々するのは正しくないというのだ。

 第二に、総選挙の勝利という目標の設定に問題がある。総選挙の勝利は、国会議員の希望だ。野党支持者は、総選挙ではなく、大統領選挙での勝利を渇望する。したがって、文在寅代表は政権交替を目標にしなければならない。それに総選挙での勝利は不可能な目標だ。勝者一人占めの小選挙区制と嶺南(ヨンナム)絶対優位の選挙地形のためだ。湖南・忠清・江原・済州の議席をすべて合わせると、嶺南の議席と同じだ。

 議員たちは、文在寅代表が「20年周期説」を完成させるには、まず自分が大統領がなろうすると覚悟を決めなければならないと口をそろえた。政治家の推進力と知恵は、欲から出てくるというのである。実際、大統領選挙は国会議員選挙とは異なり、候補要因と終盤の集中力が勝負を決める。 1997年、2002年、2012年の大統領選挙がそうだった。

 もちろん、文在寅代表だけが大統領になれるわけではない。野党は、パク・ウォンスン ソウル市長、アン・ヒジョン忠清南道知事、アン・チョルス、チョン・セギュン、キム・ブギョム、チュ・ミエ、パク・ヨンソンなど、複数の予備ランナーがいる。それぞれ独自のユニークな方法で、大統領選挙街道に飛び込む準備をしている。

 他の予備ランナーの中ではパク・ウォンスン ソウル市長が支持率で最もリードしている。しかし、いくつかの限界を越えなければならない。第一に、大統領選挙不出馬の約束、第二に、政党政治経験の欠如、第三に、文在寅代表同様、「野心」と「経験」の不足だ。

 誰が出るにしても、新政治民主連合が2017年の政権交替を成し遂げするには、今から新政治民主連合を建て直すつもりで革新しなければならない。その課題はやはり文在寅代表に任されている。可能だろうか?

 「20年周期説」について、与党ではどのように考えているのか?政権を再び奪われ兼ねない状況に対して危機感を持っているのか?どのように防御しするつもりなのか?

 嶺南ではなく、首都圏の議員の方がはるかに敏感だ。初当選の議員2人に訊いてみた。京畿道城南・盆唐の甲選挙区のイ・ジョンフン議員は労働経済学を専攻した学者だ。 中央日報出身の比例代表、イ・サンイル議員は京畿道龍仁乙の党協委員長を務めている。改革的な保守志向の二人は、現在の状況が与党の政治的危機であることを認めた。特に経済難を克服しなければ、2017年の大統領選挙はもちろんのこと、2016年の総選挙でも敗北する危険性があると予想した。しかし、朴槿恵(パク・クネ)大統領が今でも覚醒してナム・ギョンピル京畿道知事、ウォン・ヒリョン済州道知事などの若い政治家たちを前面に出して、野党と真っ向勝負を繰り広げると、いくらでも勝算があると予想した。二人の話を要約するとこうだ。

 「経済が最大の問題だ。来年が心配だ。家計負債は深刻な水準なのに、政府の態度は安易だ。危険だ。 2017年の時代精神は”持続可能な共同体”になるだろう。時代精神に最もふさわしい人物が大統領になるだろう。二極化と少子高齢化が最大の争点だ。経済成長にもニューパラダイムが必要だが、普遍的福祉を掲げる革新よりは保守の方が有利だろう。ニューパラダイムの提示に成功すると、20〜30代の年齢層でより多くの支持を得られる」

 「セヌリ党には”若い刷新派グループ”が存在する。ナム・ギョンピル京畿道知事、ウォン・ヒリョン済州道知事がいる。党内基盤は弱いが、彼らが互いに競争しながら連帯すると、相乗効果を得ることができる。今は与党の大統領候補が野党に比べて弱く見えるが、彼らのの若い刷新派グループが出馬すれば、2017年の大統領選挙にも勝算がある。大邱・慶北と釜山・蔚山・慶南がそれぞれ違う選択肢を選ぶ状況は脅威となる。未然に防止しなければならない」

 「2012年の総選挙は、朴槿恵大統領が主導した。ところが、2016年の総選挙を導くことができる目立つ人物がいない。キム・ファンシク、李完九(イ・ワング)などの良いカードが壊れてしまった。幸いなことに、国民はまだ野党の授権能力を不信する。朴槿恵大統領は、まだブランドパワーを持っている。度肝を抜くような破格的な姿で国民をいくらでも感動させることができる。政治は芸術だ。まだ間に合う。金武星(キム・ムソン)代表とユ・スンミン院内代表の頑張りに期待している」

ソン・ハンヨン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.02.17 19:42

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/678920.html  訳H.J

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