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教育部の学長任命拒否で国立大学で前例のない訴訟戦

登録:2015-02-12 22:32 修正:2015-02-13 06:50
「政府批判人物外しは違憲的なやり方」
昨年6月26日に実施された慶北大学第18代学長任用候補者選挙。 慶北大は1位、2位となった候補について任命提請を要求したが、教育部が明確な理由もなく拒否し、慶北大としては前例のない学長不在事態が続いている。//ハンギョレ新聞社

研究業績・身上などこれといった理由もなく拒否
公州大学・放送大学等の推薦候補たち
「大統領府が時局宣言参加有無などを根掘り葉掘り」

 教育部の釈然としない学長任命拒否により、依然として学長空白事態を続けている国立大学は、公州大、韓国放送通信大、慶北大の3カ所だ。 放送大は5カ月目、公州大は12カ月目、慶北大は6カ月目になる。 これら3大学の第1順位候補者たちは、大学の市場化政策や学長直選制廃止に反対したり、国家保安法廃止の声明に名前をあげたことがあると言われている。 現政権と“コード”が異なる人物だという点で、野党と学界では「大統領府の圧力説」が提起されてきた。

 教育部は8日にも、これら学長候補が「不適格だ」と言うだけで、具体的な拒否事由は言えないという態度に固執した。 教育公務員人事委員会(委員長は教育部次官)で「犯罪・懲戒関係、財産、兵役、品行等を総合的に審議」した結果「不適格」と決定したとだけ説明した。 人事委員の多くは教育部の室長・局長たちだ。 学長候補たちは“名誉毀損”に遭ったという反応だ。 ある候補は「眠れなかった。過去の行跡を綿密に点検する自己検閲でもしろというのか」と激昂した反応を見せた。

 学長候補たちは各大学の学長推薦委員会で第1、第2の順位になり、教育部に推薦された後「大統領府の司正チーム」と名乗る職員から電話で「時局宣言などに参加したか否か」といった質問を受けたという。 その他の、研究・教育実績や個人の身上と関連しては、これといった問題点が総長推薦過程で現れていないという。

 にもかかわらず教育部が具体的な事由を明らかにしないまま、学長任用提請を拒否し続けたため、「保守政権に批判的な教授たちを国立大学長として朴槿恵(パク・クネ)大統領に任命提請しないよう、大統領府が教育部に圧力を加えたのではないか」という憶測が飛び交っている。

 裁判所はこのような教育部のやり方を「不当な行政行為」とし、これを正せとする判決を相次いで出している。 国会も是正を要求しているが、教育部は頑として応じない。 教育部は最近、公州大のキム・ヒョンギュ学長候補が出した「任用提請拒否処分取り消し請求訴訟」で1審と2審で敗訴し、放送通信大のリュ・スノ学長候補が出した同じ主旨の訴訟でも敗れた。 慶北(キョンブク)大のキム・サヨル学長候補も、教育部を相手に訴訟を提起している。

 それでも、教育部は大法院(最高裁)の最終判断を受けるとして上訴を放棄していない。 教育部が大法院まで訴訟を引っ張っていく理由として掲げる内容は説得力に欠けるという指摘が多い。 教育部は「国立大学の学長任用提請は教育部長官の固有権限である」として「任用提請拒否は行政処分ではない」という主張を展開している。 しかし裁判所は3回とも、「大学の学長推薦権は憲法上の基本権である大学の自律性の中心内容であり、任用提請拒否は大学の自治権と学長候補の公務担任権を制限・侵害する行政処分である」という点を明確にした。

 教育部が国立大学の学長選出を事実上左右することは違憲的なやり方という分析も出ている。 亜洲大のオ・ドンソク教授(法学)は「教育部の学長任用提請権よりも大学の学長候補者推薦権の方が優先されるというのは憲法的常識だ」とし、「教育部の態度は憲法の権威に対する挑戦だ」と指摘した。

 このため、当該大学構成員の反発も絶えない。 放送大卒業予定者の約1万7000人は、黄祐呂(ファン・ウヨ)教育部長官の卒業式参席を阻止し、抗議の意味で後ろ向きに座って卒業式を行なう方針だ。

イ・スボム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/677456.html 韓国語原文入力:2015/02/08 21:35
訳A.K(1647字)

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