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「増税なき福祉は嘘」セヌリ党2トップが大統領府を批判

登録:2015-02-03 22:41 修正:2015-02-04 08:11
キム・ムソン代表「政治家がそのような言葉で国民を欺いてはならない」
ユ・スンミン院内代表「増税は金持ちにもっと賦課しなければ」
増税・福祉をめぐる議論、党と大統領府との関係再確立の最初の試験台
新院内代表に選出されたユ・スンミンセヌリ党議員(右)が2日午前、国会で開かれた議員総会でキム・ムソン代表に祝福された後、議員たちを見回している。キム・ギョンホ先任記者 //ハンギョレ新聞社

 セヌリ党指導部が政府方針の「増税なき福祉」を”嘘”と規定し、増税議論に火をつけた。朴槿恵(パク・クネ)大統領と距離を置いてきたユ・スンミン院内代表の選出をきっかけに与党が独自の声を出したことで、党と大統領府との関係再確立に向け増税・福祉論争が最初の試験台として浮上した。

 セヌリ党のキム・ムソン代表は3日、国会交渉団体代表演説で、政府が掲げる増税なき福祉の政策基調について「増税のない福祉は不可能であり、政治家がそのような言葉で国民を欺くのは良くない」と強く批判した。たばこの値上げと年末調整をめぐる議論が沸き起こった時にも、これは増税だと反発する世論に対し大統領府と政府が「増税ではない」「増税なき福祉は可能である」と強調してきたことを正面から叱咤したのだ。キム代表は「低い福祉水準を受け入れる低負担・低福祉の方向に進むのか、税金をより多く納め福祉水準を高める高負担・高福祉の方向に進むのかは国民的な合意が必要だ」とし増税なき福祉の基調を修正することを主張した。

 前日選出されたユ・スンミン院内代表も同日ラジオ番組に出演し「増税なき福祉は可能ではない」とし「率直にこれからさらに税金を賦課して福祉をより充実化するのか、それとも税金をこれ以上賦課しない代わりに福祉は現在の水準で凍結ないし縮小するのか、与野党が合意し、国民の同意を得て政策を補完しなければならない」と話した。ユ院内代表は年末調整問題について、「これは明らかに増税だったのに『増税ではない』と偽り国民の皆様の怒りを買った」と指摘した。ユ院内代表は、増税・福祉の問題を議論する党内機構を作ると明らかにした。

 当初「元祖朴槿恵系」だったが、朴大統領から離れ「非朴槿恵系」に分類されるキム代表とユ院内代表が一斉に「増税なき福祉」基調の修正を主張したのは、大統領府と衝突しても増税・福祉論争をこの機会に党主導で決めなければ、来年4月の総選挙で勝算がないと判断をしたためと見られる。これにより、大統領府と政府も悩まざるを得なくなった。与党の中でも議論は予想される。キム代表は「福祉支出の重複と非効率を無くしてから、増税を推進しなければならない」と”福祉縮小”に、ユ院内代表は「福祉の拡大傾向には逆らえない」とし”増税不可避”に重点を置いているからである。ユ院内代表は「もし増税することになれば、当然金持ちにより多くの税金を賦課する増税でなければならないだろう」と語り、”金持ち増税”や法人税引き上げの可能性に含みを持たせている。

 キム・ムソンとユ・スンミンの「非朴2トップ」は、増税・福祉のほか、他の政策でも政府を叱咤し、変化を強調した。キム代表は演説で、政府が高所得者の負担を高める健康保険料改編案推進方針を明らかにしながら、決定を翻したことについて「十分な検討なしで政策を打ち出し、朝令暮改する態度を見せては絶対にならない」と指摘した。ユ院内代表は「経済、労働、福祉、教育などの民生全般にわたって苦しむ国民の側に確実に立っていることを見せてあげる変化と革新が必要だ」と述べた。大統領府も時間が経つにつれて、このような党の主張を受け入れざるを得ない状況に追い込まれると思われる。

ファン・ジュンボム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.02.03 19:39

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/676660.html  訳H.J

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