北朝鮮が米国の「敵対政策」と脱北者団体の対北朝鮮ビラ散布を糾弾し、金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記が見守る中、次々と戦闘訓練を行っている。最近韓国側に向けて「断固たる懲罰」に言及したのに加え、北朝鮮が南北対話の雰囲気作りを促して韓国に対する圧迫の強度を高めると同時に、「武力行動」カードをちらつかせながら名分づくりに乗り出したものと懸念されだしている。
北朝鮮の労働党機関紙である労働新聞は27日、金正恩第1書記が北朝鮮軍西部戦線機械化部隊の冬の渡河攻撃訓練を指導したと報じた。異例的にも軍序列1、2位のフォン・ビョンソ総政治局長とヒョン・ヨンチョル人民武力部長が自走砲(移動式砲)や装甲車に直接乗り込み、先頭で訓練を指揮した。金第1書記は「恐ろしい攻撃能力を備えていれば、敵が私たちの目の前で軽挙に出られない」と督励した。
北朝鮮の官営朝鮮中央通信は、今回の訓練が最近オバマ大統領の「北朝鮮崩壊」発言と韓国の脱北者団体の対北朝鮮ビラ散布に照準を合わせたものであることを示唆した。同通信は、「米帝と特大型挑発者たちが私たちの警告を無視して引き続きいい加減なことを言うならば、警告や事前通告なしに無慈悲な正義の打撃を開始するだろう」と威嚇した。25日、「私たちの歴史的措置に挑戦し続ける場合は、断固たる懲罰として対応する」と警告した国防委員会政策局声明の延長線上にある。北朝鮮のメディアは24日にも、金第1書記が見守る中、追撃機・爆撃機部隊の飛行戦闘訓練が行われたと報じるとともに、訓練の趣旨として対北朝鮮ビラ散布とこれを傍観した韓国当局に対する不満を提示した。
政府は北朝鮮の対南圧迫が連日高強度の武力示威につながる背景を注視している。政府関係者は、「懲罰のような言葉と軍事訓練が同時に出てくるのは良くない信号」だとし、「挑発に向けての名分作りの可能性がある」と話した。ただし北朝鮮が中国とロシア等との関係改善を進めている中、大規模な「武力行動」に出る可能性は低いとの見方もある。他の政府関係者は「対話の前提条件の解消に乗り出すよう、韓国側への圧迫を強める意味が大きいが、対北朝鮮ビラ散布の時に銃撃や砲撃を仕掛けるなど、低強度挑発の可能性もある」と述べた。低強度ながらも武力行使が行われると、南北関係の改善への転機作りはますます困難になる見込みだ。さらに武力の使用が双方の間の衝突に飛び火し、朝鮮半島情勢が再びこじれる可能性も大きい。
韓国語原文入力:2015.01.27 20:38