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[社説]米国の対北朝鮮追加制裁と南北関係の将来

登録:2015-01-05 09:03 修正:2015-01-05 10:54

 オバマ米大統領は2日、北朝鮮に対する制裁を拡大する内容の行政命令に署名した。金正恩・北朝鮮国防委員会第1書記について映画化したソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが映画の封切り前に大規模なハッキングにあったことに対する対応だ。これに伴って米財務部は人民武力部偵察総局、朝鮮鉱業開発貿易会社、朝鮮檀君貿易会社の三機関とイラン・シリア・中国などに駐在する北朝鮮関係者10人に対して米国内の資産を凍結して米国企業との取り引きを封じ込める措置を取った。

 今後北朝鮮と米国の間の対応を引き続き見守るべきだが、新年早々からの米国の対北朝鮮強硬策で、北朝鮮と米国の関係だけでなく南北関係も悪影響を受ける可能性が強い。特に新年を迎えて南北ともに関係改善の意思を公けに確固として明らかにしたところなので、北朝鮮に対する米国の突然の追加制裁措置の発動は衝撃だったに違いない。

 米国の追加制裁をめぐっては強弱両面の解釈が出てきている。まず同社がハッキングにあった後にオバマ大統領が「比例的な対応」をするとすでに明らかにしたことに続く行動であり、今回の制裁対象にされた三団体はすでにミサイル・核問題で制裁を受けているという点から、実質的な効果よりは象徴的な点に重きを置いているという分析がある。しかし今回の行政命令が北朝鮮の政府および労働党関連の人物の不法行為の摘発時には随時追加制裁できるようにしていることや人権問題を制裁対象にしているという点は、北朝鮮に強力な圧力を加えるという意思と解釈される。米国が米企業に対するサイバー攻撃と人権問題を初めて制裁対象にしたということも注目に値する要素だ。

今回の制裁は色々な面で2005年9月の6者協議の当事国の間に北朝鮮問題の解決のための包括的かつ段階的接近に合意した9・19共同宣言採択と、当時米財務部が提起して6者協議を2年近く破綻させているバンコデルタアジア(BDA)マネーロンダリング事件に似ている面がある。特に米国の対応により朝鮮半島問題、南北問題が彼らの思惑によっていくらでもコントロールされるという点からしてそうだ。

 わが国(韓国)政府は米国の措置に対して外交部スポークスマン論評を通じて「適切な対応」という反応を求めた。反面で北朝鮮は外務省のスポークスマンの問答を通じて同社のハッキングを否定し、「米国の制裁は我々に対する体質的な拒否感と敵対感から抜け出せないでいる旧態依然とした措置」と非難した。南北ともに反応せざるを得ない事であるが、発言者の格や内容から問題拡大を望まない抑制の姿勢がうかがえる。しかしそれで片付くことではない。南北が今年を真に南北関係改善の転機にする意思があるならば、米国の対北朝鮮追加制裁の網をくぐってでも前進する果敢な行動を示す必要がある。南北が主導的、創意的に行動しないと強国に引きずられて行くしかないのが国際政治の冷徹な現実である。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/01/04 18:35  

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/672008.html 訳T.W(1345字)

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