朴槿恵(パク・クネ)大統領は12日、年頭記者会見で南北関係の画期的な改善を目指すための北朝鮮に対する破格な提案は行わなかった。ただし分断70周年を迎え、南北関係改善の意志を数回にわたって強調し、北朝鮮の人権問題に言及しないなど、北朝鮮を刺激しないような態度も示した。
朴大統領は冒頭発言で、旧正月(2月19日)を契機に南北離散家族再会行事と今年の光復70周年を記念する南北共同行事を開くことを北朝鮮に提案した。昨年の年頭記者会見に続き再び離散家族の再会を提案することで、今後の南北会談で離散家族問題の解決を最優先課題として推進するという意思を明らかにしたものと見られる。政府はまた、昨年12月29日に統一準備委員会の名義で南北対話を提案した際にも、離散家族問題の解決と光復70周年南北共同行事推進を重要な議題として提示している。
朴大統領は、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党第1書記が新年の挨拶で可能性に言及した南北首脳会談について、「前提条件はない」としながら「非核化などが何も解決してないのに、平和統一は話し合えない。南北関係でも多国間協議を通じて対話でこの問題も解決しなければならないという立場を持っている」と述べた。南北会談を通じた信頼構築と6カ国協議などを通じた北朝鮮の核問題の進展などの条件が成熟してからでないと、首脳会談には進めないという意味に解釈される。
朴大統領は5·24措置についても、「南北が当局者レベルで会って、その部分の話を共有しなければ接点を見つけることはできない」とし、会談で議論できるという政府の従来の立場を再確認するにとどまった。それとともに「対話に積極的に応えてもらいたい」と重ねて北朝鮮に求めることで、会話のボールを再び北に投げ返すなど、当初の見通しとは異なり前向きな対北朝鮮の提案が全く見られなかった。
ただし朴大統領は、対話に向けての雰囲気づくりのため北朝鮮に送るメッセージの選択には比較的に気を使う姿勢を見せた。北朝鮮の人権問題を言及しておらず、北朝鮮が中断を要求してきビラ撒き問題について「表現の自由という基本権の問題と地域住民の安全性の問題を調整している」と述べた。北朝鮮の核問題と関連して「非核化と南北関係の改善の好循環を図っていくつもり」だと述べたのも、非核化を南北対話の前提とみなした李明博(イ・ミョンバク)政権の時とは違う態度だ。さらに朴大統領はソニー・ピクチャーズハッキング事件に関連した米国の対北朝鮮制裁措置とは別に、南北対話は引き続き進めるという意思も明らかにした。
ヤン・ムジン北朝鮮大学院大学教授は「南北関係を先制的に導くという代案の提示がないという点は残念だが、北朝鮮体制を刺激する発言がなかったし、対北朝鮮ビラ問題について前向きな立場の余地を残したのは、北朝鮮の評価に値する部分」だと指摘した。
一方、朴大統領は過去の歴史問題における対立で政権発足後の2年間に一度も開かれていない韓日首脳会談に関連し「できない理由はない」としつつ、「国民にとっても国際社会にとっても受け入れられる軍慰安婦解決法を日本がまず提示しなければならない」という前提条件を再確認した。
韓国語原文入力:2015/01/12 20:41