統一教会内部文書「大統領府に対抗する核爆弾7~8個保有」
世界日報幹部「特級情報は根拠のない話」と否定
最近になり国税庁が統一教会関連会社の税務調査に入った。同教団の統一教財団は昨年11月に「チョン・ユンフェ文書疑惑」を初めて報道した世界日報の主だ。
統一教会に対する税務調査は2013年10月に始まっていた。しかし、昨年初め景気浮揚のため税務調査を最小限にとどめる方針が決まり、税務調は中断されたという。 そこへ突然税務調査が再開されたので“標的調査”という指摘は免れない。
昨年11月28日、全国を揺るがした世界日報報道のタイトルはシンプルだった。「チョン・ユンフェの“国政介入”は事実」。 世界日報が6カ月前に大統領府の文書を入手していながら、遅れて報道したことについては諸説ある。 だが、統一教会側と事前の相談なしに出されたことだけは事実と思われる。 統一教会の内部文書の一文がこれを立証する。 「私たちの宗団と財団がそそのかした事件でもなく、私たちとしては寝ているところを不意に雷に打たれたも同然だが、世界日報の自主的な判断で事態は大きくなり、私たち統一教が大統領府に憎まれて被害を被るかと恐れているのも事実です」
ハン・ハクチャ総裁は事態の深刻さを知り
ソン・デオ氏を世界日報会長に急派
その恐れのためだろうか? 統一教会と統一グループの創始者である故文鮮明総裁の夫人ハン・ハクチャ総裁は、突然ソン・デオ鮮文大学副総長を世界日報の会長に任命する。チョン・ユンフェ報道によって起こった政権との緊張関係が、ひょっとすると教会に飛び火するかも知れないと考え、ソン・デオ会長に対政府関係の改善を要求したわけだ。
ソン会長があらゆる方策を探るなかで当時の世界日報のチョ・ミンホ審議人権委員に会うことになり、彼から多くの話を聞くことになる。その チョ・ミンホ委員が1月20日に世界日報社員に送った手紙の内容はこうだ。
「ソン会長と実に多くの話をしました。有力なチャンネルを稼動させ、統一教に関連する多くの情報を勝ち取って、これをありのままに伝え分析することが私の1次任務でした。 公開することはちょっとためらわれますが、統一教は内部に相当な悩みを抱いていました。 おそらくハン・ハクチャ総裁が事態の深刻さを感じ、ソン会長を(世界日報会長として)急派した背景は、これと無関係ではないと思います。 政治権力がよほどの馬鹿でない限り“チョン・ユンフェ文書”問題で言論弾圧や宗教弾圧をすることはあり得ません。 他でもない刑法で統治する爆弾があるということです」。手紙の文脈をよく読むと、チョ委員が現政権の有力人士と接触して雰囲気を探知した結果、世界日報に対する報復が差し迫っており、その手段としては“刑法で統治する爆弾”もあるという内容だ。チョ委員は慶尚北道の青松(チョンソン)郡出身で、政治部記者などを経て李明博(イ・ミョンバク)政権と朴槿恵(パク・クネ)政権の有力人士と緊密な関係を結んでいるという。
危機感を感じたソン会長は12月26日夜、急遽米国ラスベガス行きの飛行機に乗る。そこに滞在するハン・ハクチャ総裁を訪ね、社長をチョ・ハンギュからチョ・ミンホに交替することを建議し受諾される。 そして「29日午前6時頃に帰国したソン会長が突然私を訪ねてきて、その日休暇を出していたためようやく連絡がついた私に『ハン総裁がチョ・ミンホ氏を新任社長に任命された』と1次通知をしました」(チョ・ミンホ氏の手紙)となる。ハン・ハクチャ総裁の代理人格だったソン会長が、チョ・ミンホ委員を社長に任命し難局を突破しようとしたわけだ。 統一教内で“主和派”が優勢だった局面である。
統一教信徒対策委“一戦不辞論”を掲げる
ところがその後に反転が待っていた。 新年初日の1月1日、ハン・ハクチャ総裁の秘書室長が米国から急きょ帰国しすべての人事を保留させた。 この日、ソウル市内のホテルで統一教会の主要幹部が集まり、ソン・デオ会長の情報が信頼に値するかを巡り集中討議が行われ、その結果流れが完全に変わったという。
同じ時刻、チョ・ミンホ社長内定者は自身が社長に就任するという内容の報道資料を通信社を含む一部報道機関に配布した。しかし、世界日報記者たちがこれを“経営権奪取のための虚偽事実流布”と規定して直ちに反発した。さらに決定的だったのは、統一教会の政権対応戦略が変わり、チョ・ミンホ社長体制は“1日天下”にもならずに流産してしまった。さらに1月19日には、ソン・デオ会長が僅か50日で電撃的に交替させられてしまう。 キム・ミンハ平和大使協議会中央会名誉会長が新会長として入ってきた。 結局、チョン・ユンフェ文書を報道したチョ・ハンギュ社長体制が続くことになった。
このような翻意過程の具体的な背景は明らかでないが、統一教会内部の“主戦派”の立場が反映されたものだという。代表的な例が統一教信徒対策委員会の“一戦不辞論”だ。統一教会内部関係者に配布されたこの対策委員会の文書を読むと、その雰囲気を垣間見ることができる。
「大統領府が感動して私たちを助けると信じるなら、それは愚かなこと」
「世界日報がまだ公開していない7~8個の大統領府特級情報が公開されれば、大統領が下野する事態が発生しかねないことを大統領府はよく知っています」
「どのみち今回の事件で政権末期に現れる現象が既に広がっていることを勘案すれば、2015年を過ぎて執権4年目になり、事実上執権末期現象で大統領府が統一教を相手に報復する余裕はありません。たとえ報復のため向かってきても、国民世論と野党が許しません」
「ここに見逃してはならない重要な内容があります。大統領府に圧迫されて世界日報の社長と記者たちを解任すれば、大統領府に対抗する核兵器の7~8個は無用の長物になり、大統領府という猫の前のネズミになってしまいます。 弱肉強食のジャングルのような権力属性と現実から、私たち自ら素っ裸になるようなものです。人事措置をするからと言って、大統領府が感動して私たちを助けると信じるなら、それは真に愚かなことです」
朴槿恵大統領の下野まで言及して最後まで戦おうという強硬な態度だ。さらに信徒対策委はこの時点ですでに政府の税務調査まで予見していた。
「2015年の新年度に系列会社が一社でも特別税務調査を受けることになるなら、報復性調査として全国が騒々しくなり、大統領府は苦境に立たされることになるので、大統領府は極めて賢明な判断をするでしう」
そして、その戦いは決して不利ではないと結論を下す。
「大統領府が露骨に私たち統一教を攻めるなら、反対に私たち統一教を国民の宗教にすることになってしまいます。真実を正そうとしていた世界日報の大株主を圧迫すれば、国民的な世論は我が方につきます。 事件以後、大株主である私たち統一教に対する非難は全くなく、逆に国民世論が非常に良いことは確実です。 財物を失おうとも国民の心をつかめるなら、これより有利な商売がどこにありますか。 国民は知っています」
これについて世界日報のある幹部は、「信徒対策委が言及した核兵器とか特級情報というのは根拠のない話であり、意味ある内容ではない」と話した。
今までの流れからだけ見れば、世界日報は不退転の態度だ。 しかし、統一教会内で自身が法でもあるハン・ハクチャ総裁の態度は一進一退している。 当初は政権との関係改善のためにソン会長を世界日報に送りチョ・ハンギュ社長まで交替しようとしたが、内部反発が起きると流れを一挙に覆し戦闘体制を整えた。
チョン・ユンフェ文書問題はまだ終わっていない
ハン総裁は昨年12月1日に開かれた訓読会で“主和派”のソン会長を指名しておきながら、現政権との正面対決を暗示するような発言をする二面的な態度を見せた。 ソン・デオ会長とチョ・ハンギュ社長を含め500人ほどの牧師が参加したこの訓読会で、ハン総裁は「(世界日報は)現政権を教育する新聞になるべきだ」と話し「(それが)正義社会の実現」と強調した。 「現在の政権や外的な機関は公的ではない」とも批判した。 ハン総裁は「私たちには恐れるものはない」「世界日報も同じで、恐れることはない」 「私たちは真実を明らかにすれば良い」と督励した。さらにハン総裁は「“統一教会”の新聞? 大丈夫だ。無知には完成がないと言う。分かってこそ賢明な判断をするもの。 この民が、この政治家たちが、賢明な判断をするためには学ばなければならない。 私たちの外に教えてあげられる人はいない。そうじゃないか? だからもう一発、さらに強く出なければならない、分かりますか?」(月刊『新東亜』2月号参照) と話す。ハン総裁が言う“一発”が何かは明らかでないが、信徒対策委員会が言及した“核兵器”と関連していると見られる。
チョン・ユンフェ文書問題から始まった大統領府と世界日報の緊張関係が、今後どう展開するかは予測し難い。 これまでは両者共に慎重に探りあいを続けている。 国税庁が税務調査に着手した清心グループは統一教会の中心ではなく傍系会社程度の企業だという。 統一教会に致命傷を加えられる核心にはまだ触れずにいるわけだ。 統一教会側も懸命に税務調査の意味を縮小し大統領府内の流れを観察している。
だが、国税庁の税務調査がどこまで拡大するかにより統一教会側の対応レベルは変わるだろう。 また、1月5日に検察による捜査結果発表があったが、世界日報記者の名誉毀損疑惑は継続捜査する方針だと付け加えた。 検察の捜査により世界日報の対応も決まるだろう。 潜んでいる雷管がいつさく烈しても不思議はないわけだ。 要するにチョン・ユンフェ文書問題はまだ終わっていない。