「一部参加者が懐疑的発言までしており
参加者の考えが皆同じと断定はできない
暴力行為を準備したと見る証拠はない
内乱実行に関する確定的意志合致できず」
内乱扇動・陰謀罪の成立要件を
具体的に明らかにした初めての判決
イ・ソクキ前統合進歩党議員ら7人の内乱陰謀・扇動事件に対する大法院(最高裁)宣告を最後に、1年5カ月に及んだ統合進歩党関連主要事件が全て終えられた。 2013年9月、国家情報院と検察がイ前議員らを拘束・起訴し、その年11月に政府はこの事件を口実に進歩党解散審判を請求した。 憲法裁判所が昨年12月に進歩党を解散させ、22日に大法院がイ前議員らに重刑を宣告した原審を確定したことにより“統合進歩党事態”は政府の完勝で終わったわけだ。
大法院が検察とイ前議員側の上告を全て棄却して原審を確定したのは、論議が大きな事件を早く終えようとする“政策的判断”もある程度作用した結果と解釈される。 大法院が種々の争点の中で、法理的判断に誤りがあるとか審理が生ぬるいと感じる部分があるとして原審を破棄し高裁に差し戻せば論議が続くことになる。
大法院が先月進歩党の解散を決めた憲法裁判所を意識して“差別性”を意識的に示したという解釈もある。 この事件は内容上の争点がほとんど同じだ。 憲法裁判所は内乱陰謀事件に対して「党の主導勢力が国憲を紊乱する目的で暴力革命を動員した」と判断し党の解散を決める根拠に活用した。 2013年5月ソウル合井(ハプチョン)洞の集いの主導者であるイ前議員とキム・ホンヨル前進歩党京畿道党委員長が参加者に内乱を扇動し、参加者がこれに呼応して共に内乱を謀議したという検察の論理をそのまま受け入れたわけだ。
一方大法院は内乱陰謀と内乱扇動の法律的意味を具体的に明らかにし、被告人の責任も分離した。 ソウル高裁に続き大法院はイ前議員とキム前委員長が内乱を扇動したと判断した。 大法院は「130人余りの集いは、上の命令に服従する秩序の下で頂点にイ・ソクキがいて、キム・ホンヨルも上部に属する。 二人の発言は参席者の行動に実質的影響を与えることができ、この行為自体で危険性のある内乱扇動に該当する」と明らかにした。
しかし、被告人7人が全員内乱行為をするための具体的陰謀を整えたという内容の内乱陰謀罪は認めなかった。 検察は被告人が全員内乱陰謀罪を犯したとして起訴し、1審ではこの罪が認められた。 大法院は内乱陰謀に対して△単純な意見交換までを犯罪実行の合意と見るならば、陰謀罪が過度に拡大し基本権が侵害される恐れがあり△個別犯罪行為に関する細部的合意がある必要はないが、攻撃の対象・目標が設定され実行計画の主要事項を共通して認識するに足る合意がなければならず△実行行為に出るという確定的意味を持ったものでなければならないと規定した。
大法院はこれを基に「検察が提出した資料は参加者の個別発言ではなく、討論の中で出た意見を要約した内容だった。 一部参加者が懐疑的な発言までしているという点を考慮すれば、個別参加者の考えが全て同じだと断定することはできない」とした。 また、参席者が該当の集いの他に、暴力行為を準備したと見る証拠はなく、内乱の実行行為に進むという確定的な意志の合致に達したと見ることはできないと見た。
今回の宣告は大法院が内乱扇動罪と内乱陰謀罪の成立要件を具体的に明らかにした事実上初めての判決だ。 1974年の人民革命党再建委員会事件と80年の金大中内乱陰謀事件で内乱陰謀罪が適用されたが、再審で全て無罪が宣告されているため有意な判例として残っていなかった。
今回の判決は内乱陰謀・内乱扇動の法的意味を規定した意味があるが、適用が妥当だったか否かは今後も議論になる展望だ。 憲法裁判所の進歩党解散決定も解散要件は厳格に説明しておきながら、進歩党がこれに該当するとし容易に解散決定を下したという批判を受けている。