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路上に‘段ボール箱’の家…貧困大国 日本

原文入力:2012/01/18 15:32(3221字)

6人に1人が貧困層…OECD 34ヶ国中 6番目
1億総中流は‘昔話’…両極化のドロ沼で‘アップアップ’

←日本、新宿付近で野宿している日本人. 写真キム・ドヒョン記者

 昨年12月末、日本、東京の代表的な都心 新宿駅周辺。1年ぶりに新宿を訪ねたが一日300万人の流動人口という都心の繁華さと煩雑さには変わりがない。 闇が訪れれば通りのあちこちのネオンサインが闇を照らし人々の足を誘惑する。 日本の代表的な遊郭である歌舞伎町も長期不況の影を見つけられないほど浮かれている。 しかし記者の目を引いた変わらない姿はこのようなものではなかった。 新宿通りのあちこちの路上生活者。 避けるのが容易でないほど目にしばしばついた。 見えない裏路地にくつろぎの場所を展げた人はもちろん、最初から道路に段ボールで四角い家をつくり風餐露宿する人も少なくなかった。

 1990年代後半からいかなる共産主義国家より平等社会だった日本を根本から揺るがした格差社会がますます進行される姿だった。

 一時‘1億総中流’を謳歌した日本社会が例外なく両極化のドロ沼に深く陥っていることは客観的数値にもそのままあらわれている。

■1億総中流は昔話…相対的貧困率 OECD国家中 6位

 日本は可処分所得中央値の半分に達しない国民の比率を現わす‘相対的貧困率’が2010年調査の結果16.0%と現れたと<読売新聞>が18日報道した。日本国民の6人に1人が貧困層だという話だ。 3年前の調査時より0.3%高まり最悪を記録した。 経済協力開発機構(OECD)の2000年代後半調査結果と比較してみれば、日本は加盟34ヶ国中でメキシコ、イスラエル、チリ、米国、トルコに続き6番目に相対的貧困率が高い国家だ。

 日本がこのように相対的貧困率が高い国に変化したのは1990年代後半以後、新自由主義政策を持続的に推進した結果だというのが日本の学者の大方の見解だ。 当時執権勢力であった自民党政権は、バブル崩壊以後の長期不況から脱離するために製造業にまで派遣労働者を許容するなど非正規職を大幅に拡大する法案を新たに作って富裕層に対する大々的減税政策を繰り広げた結果、企業の収益は大幅に拡大した反面、労働者の収入は減って‘持てる者’と‘持たざる者’の経済所得格差は日増しに広がったということだ。

 実際、財務省の‘法人企業統計調査’を見れば、1997年から2007年まで企業の経常利益は28兆ウォンから53兆円に2倍近く増加した反面、従業員給与は147兆円から125兆円に減少したことが分かった。

 小泉純一郎政権(2001年~2006年)は歴代の自民党政権より日本国民に人気が高かったが、経済政策面では経済格差を拡大させる政策を展開したという評価を受けている。 執権した5年間‘企業フレンドリー’政策を展開した結果、正規職雇用は190万人減り、非正規雇用は330万人増加し、全体雇用形態の中の非正規職比率が3分の1を越えた。

■途方もない財政赤字と所得格差解消という二重課題を抱えた民主党政権

 民主党は2009年8月衆議院総選挙で児童手当て支給など直接的な所得補填政策を持ち出し‘自民党55年体制’を崩壊させ執権に成功したが、1000兆円を越える途方もない国家負債によりすでに児童手当て支給公約は守れないと宣言した。 日本国家の負債規模は来年には国内総生産(GDP)の230%に肉迫するほどで、ヨーロッパ財政危機を誘発したギリシャ(167%),イタリア(123%)よりもはるかに深刻な状態だ。

 もちろん日本政府が発行した国債の95%を銀行、保険、会社などの金融機関が保有していて、これら国債を持ち出して売る理由がないために財政危機につながる可能性はギリシャやイタリアよりははるかに低い。

 だが政権を取った民主党としては国家財政健全化を実行しながら、所得格差を減らすための‘至難な’二重課題を解決しなければならない状況に置かれている。 更に昨年日本を襲った未曾有の3・11大地震と未だ解決されていない福島原子力発電所災害をむかえ天文学的な復旧費用準備も容易ならざる課題だ。

■消費税・金持ち増税カード 大きな効果があるだろうか?

 これに対して野田佳彦総理は人気のない消費税引き上げカード(現在5%である消費税を2014年までに8%、2015年10月までに10%へ引き上げる)を持ち出したが、それは政権の運命を短縮するもろ刃の剣となる可能性が大きいという指摘も出ていて、実行可能性が疑問視される。 これに伴い、民主党政権が持ち出したまた別のカードは金持ち増税だ。 しかし金持ち増税税率が期待に至らないという指摘も多く両極化解消に不十分だという指摘が多い。

 日本の進歩メディアである<東京新聞>は去る5日、政府与党が昨年末出した税制改革案に対して「消費者団体などは富裕層増税案は‘不充分な内容’と不満を示している」と指摘した。

 <東京新聞>報道を見れば、日本は20余年間にわたり国際競争力と市場活力を重視する経済団体などの声により消費税をはじめとして企業および富裕層優遇政策をとってきた。 大富豪に最も友好的な政策は証券優遇税だ。 株式配当と株式売買時の譲渡所得などには他の所得とは別の待遇をしてきたということだ。 税率は所得税7%、住民税3%など合計10%だ。 当初20%だったが小泉政権時である2003年度に始まった証券優遇税制措置で10%に引き下げられた以後、適用期限が何度も延長された。

 現在、通常所得に対する所得税最高税率は40%だが、富裕層は金融資産所得が多いのでこの優遇税制により最高所得層の税負担は低くなったと新聞は指摘した。 実際、財務省が政府税制調査会に提出した‘2008年分申告納税者所得税負担’によれば通常所得と有価証券関係などの合計所得に対する所得税比率(所得税負担率)は年収800万~1千万階層は10.6%、5千万~1億円は28.3%が最高と現れた。

 ところがこれより所得が多い階層の負担率はむしろ低い。 50億~100億円の大富豪は13.5%だ。 この階層は所得に占める株式などの譲渡所得比率が90%と非常に高いので所得税負担率が低くなっている。

 民主党政権の改革案はこのような証券優遇税制を2013年末に廃止すると明記している。

 所得税率引き下げ措置もこの間、富裕層には大きな恩恵だった。 所得税税率は課税所得が多くなるにつれ高まる累進税率だ。 1986年税率が異なる課税所得階層が15ヶに細分化され所得が8千万円を越える階層には70%の最高税率が課税されていた。 その後、段階的に累進税率が低くなり所得1800万円を越える階層の最高税率が40%に一律化された。

 財務省資料によれば税率40%の階層の対象課税者数は約30万人で、税収が約1兆4千億円程度だ。 税率を1%高めれば約360億円の増税につながるという。 税率を10%高めれば単純計算で3600億円の増税だ。

 しかし改革案では「課税所得5千万円を越える税率を2015年から45%にする」と変更するにとどまった。 この最高税率対象も約3万人に過ぎない。

 消費者団体などは「この程度の引き上げでは高額所得者の負担を増やすというフリに終わるしかない」とし批判の声を高めている。

 <東京新聞>は「所得税は累進税率を高めれば富裕層の負担が増え、格差縮小につながるだろう」と指摘した。

文・写真キム・ドヒョン先任記者 aip209@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/515287.html 訳J.S