朴槿恵(パク・クネ)大統領の当選2周年に当たる19日に憲法裁判所が統合進歩党の解散決定を下した瞬間、多くの人は李正姫(イ・ジョンヒ)当時進歩党候補が「朴槿恵候補を落選させるために出てきた」と話していた2012年12月4日の大統領候補討論会を思い出していた。朴大統領が20日、憲法裁判所の統合進歩党解散決定について「自由民主主義を確実に守った歴史的決定」と賛辞を送った瞬間にも、多くの人がその場面を思い出した。 偶然にも当選2周年を迎えるその日、支持率が就任以後最低水準となる37%に下落した朴大統領にとり、憲法裁判所の決定は度重なる失政による守勢局面を反転させうる「政治的救命ロープ」のようだった。その反面、李正姫元統合進歩党代表にとり、自身が身を置いた政治結社に対する“政治的死亡宣告”であり、自身に対する司法処理につながるやも知れない不吉の前兆でもあった。
二人は2012年の大統領選挙を控えてテレビ討論で激突した。「私は朴槿恵候補を落選させるために出馬した」という李代表の大胆な発言に朴大統領は討論会を通して困惑感を隠すことができなかった。 だが、そのような李代表の姿は、朴大統領の政治スタイルを知る政界内外の人々には一抹の不安と憂慮を植え付けたのも事実だった。 討論会直後、インターネット掲示板などには“政治家 李正姫の将来”を心配する反応が続いた。 概して「朴槿恵が大統領になれば李正姫は無事ではすまないだろう」とか「政権が党そのものをなくすため力を入れるかも知れない」という内容だった。
昨年の秋、法務部が統合進歩党に対して政党解散審判請求訴訟を起こした直後、「来るべきものが来た」という反応が出たのはこのような経緯から自然な帰結だった。 当時ユーチューブとSNSでは、李代表が朴大統領の父親である朴正煕元大統領の創氏名「高木政雄」に言及して攻撃すると、朴大統領が俗に“レーザー光線”と呼ばれる敵対的視線を李代表に送る場面が放映された。
当時の討論会場面は、憲法裁判所の統合進歩党解散決定後に改めて人々の視線を集めている。 ツイッターとフェースブック利用者は当時の動画をリンクした後、「先の討論で雑仕女(李正姫)の挑発に怒った王女(朴槿恵)がこれで終わりじゃない」という冷笑的反応を浴びせている。 進歩党解散審判請求の直接的契機となったいわゆるアールオー(RO)事件と関連して、2審裁判所が内乱陰謀疑惑について無罪を宣告した状況という点も、憲法裁判所決定の無理加減を批判する論拠になっている。
進歩党に批判的なある野党圏関係者は「統合進歩党に対する解散決定は、最高司法機関である憲法裁判所さえも“憎悪の政治”の手段として活用されているのではないかという憂慮を招いている」と指摘した。