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韓国検察、チョン・ユンフェ人事介入に触れず警官2人だけを起訴

登録:2014-12-17 21:35 修正:2014-12-18 07:18
国政介入・暗闘説の本質には手を付けず
秘書官3人組の越権論議は曖昧に
大統領府の捜査介入の疑いも
チョン・ユンフェ氏が10日午前、ソウル瑞草区のソウル中央地裁に出頭している。キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

チョン・ユンフェ氏国政介入文書をめぐる検察の捜査結果が輪郭を表わし、大統領府が検察の捜査過程で提示した“ガイドライン”がそのまま反映されるという憂慮が現実となっている。 全国を揺るがした事件の波紋の最終捜査結果は、文書の流出に関与した警察官2人に対する起訴だけであり、それすらも裁判所で有無罪を争わなければならない。 検察が犯罪容疑として指定した文書の民間流出は、死亡したチェ警衛が全て抱え込むことになった。

 チョン・ユンフェ、パク・ジマン、大統領府3人組など中心となる登場人物にはなんの責任もなく、単に“根拠のないデマ”の被害者になることになった。 捜査は終着駅に近づいたが、国民を不安にさせた“疑惑”はまったく解けていない。 そのために、国会では特別検察や聴聞会などを開かなければならないという主張が持続的に出されている。

■チョン・ユンフェ氏夫婦の人事介入疑惑には沈黙

 チョン・ユンフェ氏国政介入文書が大きな波紋を起こした理由は、朴槿恵(パク・クネ)政権スタート以後に絶えず提起されてきた“秘線人事”、“密室人事”の実体が今回の機会に確認されるか否かのためだった。今回の波紋の渦中に唯一このような人事介入の実体が明らかになった事案が、朴大統領による文化体育観光部(文体部)の局・課長左遷人事指示であった。

 大韓乗馬協会が乗馬選手であるチョン・ユンフェ氏夫婦の娘(18)に与えた特典説と関連した話題が大きくなっていた時、大統領府は直接文体部に乗馬協会を名指しで調査指示を行い、チョン氏夫婦と親しい前職乗馬協会幹部に話を聴くよう名前まで挙げた。さらには朴大統領が手帳を見て、文体部の局・課長2人の名前を直接挙げ「悪い人だそうだ」と話したというユ・ジンリョン元文体部長官の証言まで出てきた。 誰が見ても大統領の正常な統治行為とは見難いのに、大統領府は今だにまともな説明をしていない。

 大統領府は後になって「朴大統領が該当公務員たちの“消極的で安易な態度”を指摘する民政首席室の監察報告書を見て指示したこと」という趣旨の説明をした。 だが当時、該当監察に関与した大統領府の要人は「上層部から監察の指示が降りてきて、調査して上げた報告書の内容には特別なことはなかった」と明らかにした。 大統領府はその“上層部”がどこだったかは明らかにせず、チョン氏夫婦の人事関与に対するこうした具体的な疑惑は全く解消されていない。

■門番3人組、大統領庇護で帰結

 野党はもちろん与党内部からすら持続的に提起されてきた“3人組”(イ・ジェマン総務秘書官、チョン・ホソン第1付属秘書官、アン・ポングン第2付属秘書官)の役割もまともに糾明されていない。 今回の波紋の渦中に、彼ら3人組が公式的な業務以外に越権を行使したという疑惑が何度も提起された。「数年間会ったことはない」というイ・ジェマン総務秘書官とチョン・ユンフェ氏の通話事実が明らかになり、イ秘書官が文体部の人事に介入したという当時の長官の証言も出てきた。 チョン・ホソン秘書官は流出した文書を渡され、調査を公職規律秘書官室に任せる“窓口”の役割をした点も確認された。 アン・ポングン秘書官は他の首席室(民政首席室)に勤める派遣警察官の名簿を独断で通知したという疑惑が提起されもした。

 しかし朴大統領が最近これらを指して「手伝いをした秘書に過ぎない」と庇護し3人組に対する外部の指摘を色あせさせた。 検察も3人組問題に関しては捜査対象でも、事件の本質でもないとして線を引いている。

15日午後、パク・ジマンEG会長がソウル瑞草洞のソウル中央地検で国政介入疑惑と関連した参考人調査を受けるために検察に出頭し取材陣の質問に答えている。 キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

■チョン・ユンフェ-パク・ジマンの暗闘も曖昧に

 今回の事件の背景にチョン・ユンフェ氏とパク・ジマンEG会長間の諍いがあるという観測も、二人の仲が悪いという点を確認しただけで、具体的にどんな事案に介入し、どんな部分で衝突したのかは確認されていない。 チョン氏のパク会長尾行説も曖昧なまま終わる雰囲気だ。 だが、パク・ジマン会長とチョン・ユンフェ氏が悪い間柄という点は双方とも否定しなかった。 大統領府内部報告書に登場する「パク会長周辺に群がる蝿」がどのようなものだったのか、単純に3人組が親戚だという理由でパク会長を警戒したのか、それではパク会長と親しい人たちの相次ぐ没落はただの逆差別だったのかもまったく糾明されなかった。 検察に出頭したパク会長の突然の態度の変化に関連して、政界では「大統領府と事前調整を経たもの」という分析を出ている。

■キム・ギチュン 大統領府の懐柔は本当になかったのか

 検察の捜査途中にソウル警察庁所属のチェ警衛が自ら命を絶った事件と、彼が遺書に残した“民政秘書室懐柔疑惑”も明確にされなければならない点だ。 懐柔を受けた当事者として名指しされたハン警衛は口を閉ざしているが、大統領府はハン警衛が懐柔を受けた事実を打ち明けたと報道した『JTBC』に特別な対応をしていない。 検察の捜査過程で大統領府はガイドラインを提示し、いわゆる“チェ・ウンチョン グループ7人”に対する監察結果を検察に伝達するなど、絶えず捜査に介入してきた。 大統領府がどんな方法であれ懐柔と説得を試みたのではという疑惑が収まらない理由だ。 検察が懐柔疑惑に関して民政秘書官室職員を対象にした捜査に入らないならば、これは特検など別の調査機構が必要であることを後押しする主要根拠にならざるをえない。

ソク・ジンファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/669590.html 韓国語原文入力:2014/12/17 19:59
訳J.S(2642字)

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