警察が22日、全国民主労働組合総連盟(民主労総)本部に強制進入したのに続き、朴槿恵(パク・クネ)大統領が23日、労働界と妥協する考えがないことを明確にした。民主労総に比べて相対的に政権と角を立てることが少なかった韓国労働組合総連盟(韓国労総)までもが政府を糾弾し、対話断絶を宣言して民主労総の全面スト支持を打ち出した。労働界・市民社会と政権の対立がいよいよ激化している。
朴大統領は23日午前、大統領府で開かれた首席秘書官会議で、鉄道労組のストと公権力投入などについて「今困難だからと無原則的に適当に妥協して済ませば、韓国の経済・社会の未来を約束することはできない」と明らかにした。朴大統領は「今我が国は、いつ挑発してくるか分からない北の問題、鉄道スト問題、世界的な不況、政治圏の対立などで、国民がいろいろと心配していると思う。困難な時ほど原則を守って、すべての問題を国民中心に考えて解いていかなければならない」と話した。労働界の要求に対し、一歩も退かずに強硬対応していくという方針を予告したものである。
朴大統領は同時に、通常賃金と労働時間短縮、定年延長など労使関係の問題については「大妥協を通して解決すべきだ」と述べた。
しかし、朴大統領が言及した“大妥協”はすぐに壁にぶつかった。韓国労総は同日、緊急組合代表者会議を開き、「今回の民主労総に対する侵奪は労働界に対する挑発である。政府の謝罪と責任者処罰、再発防止を強く要求し、可視的な政府の反応があるまで全ての労政対話への参加を拒否する」と表明した。カン・フンジュン韓国労総スポークスマンは「大きくは労使政委員会から、小さくは雇用労働部との実務チャンネルまで、全ての労政対話への参加を拒否するという意味だ」と話した。韓国労総は28日に開かれる民主労総の全面ストライキ決起大会にも、連帯の意味で参席することにした。
韓国労総は2009年12月、勤労時間免除制度導入問題で労使政委員会への不参加を宣言し、再び復帰した経緯がある。韓国労総の今回の決定によって、4年ぶりに政府と労働界のすべての対話が断絶することになった。民主労総は1999年に労使政委員会を脱退した。チョン・ホヒ民主労総スポークスマンは「前日に民主労総を廃墟にしておいて、大妥協を口にするとはつじつまが合わない。対話の断絶は、朴大統領が自ら招いたものだ。大統領が変わらなければ何も変わらない」と批判した。
前日、民主労総が中央執行委員会を開いて "政権退陣"を要求したのに続き、市民社会からも朴大統領の退陣を要求する声が上がっている。韓国進歩連帯は警察による民主労総への強制進入を強く批判し、「民意に対する朴槿恵政府の態度がこのようなものならば、この政府は任期を終える必要はなく、退陣するのが当然だ」と主張した。曹渓宗労働委員会、参加連帯、経済正義実践市民連合などの市民・宗教団体をはじめ国際労働界の糾弾声明も続いた。
国際労働組合総連盟(ITCU)と国際運輸労連(ITF)は同日、声明を通して「驚いたことにも韓国政府は、鉄道労組の属する民主労総に対して多くの警察力を配置し、過度な攻撃を行なった。これは、国際労働基準だけでなく市民権までも侵害した事件という点で、さらに深刻だ。韓国政府とコレールは反労組戦術を中断し、対話に応じるよう促す」と明らかにした。
カン・シンジュン東亜(トンア)大学教授(経済学)は「民主労総に対する公権力投入の件で、公共分野の組合員が多い韓国労総も不安を感じざるを得なかっただろう。当分の間、政府と労働界の総体的対立状況が続くものとみられる」と述べた。
イ・ジョングク、ソク・チンファン記者 jglee@hani.co.kr