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福祉でOECD最下位の韓国で“教育福祉”削減の危機

登録:2014-11-07 20:34 修正:2014-11-08 06:22
韓国はGDPに占める福祉の比重はわずか9.3%
OECD平均は22%で2倍以上
国民負担率で常に最下位圏にとどまる
児童福祉予算は3分の1水準
「増税など社会的議論が必要」とする指摘

 韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、福祉に財政を最も使わない国だ。 それでもヌリ課程(満3~5歳の児童保育)費用支援と無償給食のための財源不足が過度な福祉政策のためだというとんでもない主張が広がっている。 セヌリ党キム・ムソン代表は「無償福祉の再調整が必要だ」と主張し、「無償給食予算を中断する」と宣言したホン・ジュンピョ慶尚南道知事は“無償パーティー”を止めろと声を高めている。

 国会立法調査処が今年9月に発刊した「国民負担率と公共社会福祉支出現況」によると、2012年の韓国の国民負担率(年間国内総生産GDPに対して租税と社会保険が占める比重)は26.8%で、調査対象となるOECDの20加盟国平均の34.1%に比べ大幅に下回る最下位だ。 租税および社会保険料負担額のうち、公共社会福祉支出に使う金の比重は34.7%に過ぎず、OECD加盟国平均の63.9%の半分に過ぎない。

 国民負担率が低いうえに、租税と社会保険料のうち福祉に使われる金の比重がさらに低いので、GDPに福祉支出が占める比重では韓国は9.3%とみすぼらしい水準だ。OECD加盟国平均は韓国の2倍の21.8%で、日本の22.3%など先進国はほとんど20%を超えている。無償医療・無償給食・無償教育・無償保育など最高の福祉国家に選ばれるスウェーデンの場合、国民負担率(44.3%)が高く福祉政策(63.5%)にも国家財政を多く使う代表的な「高負担-高福祉」国家で、国内総生産の28.1%を福祉支出に使う。反面、韓国は相変らず税金を少なくかける代わりに、福祉政策に極度に金を使わない「低負担-低福祉」政策を実施している状況だ。

 無償保育・無償給食など今回争点になっている児童福祉に対する予算についても韓国は思わしくない水準だ。 国策研究機関である韓国保健社会研究院が出した「OECD国家と韓国の児童家族福祉支出比較」という報告書(2013年)によると、OECD34加盟国のうち32位に留まった。 韓国の児童福祉予算はGDP対比0.8%で、OECD平均の2.3%の3分の1水準だ。 児童手当てがない国は、OECD加盟国のうち韓国、トルコ、メキシコ、米国の4か国だけだ。 これに伴い人々が出産を忌避し、2013年の韓国合計出産率は超低出産水準といえる1.19人で、OECD加盟国の中で最も低い。

 福祉水準が低さは別の数値からも確認が可能だ。 家計の可処分所得に“社会賃金”が占める比重は、韓国が12.9%でOECD加盟国中で最下位だ。 社会賃金とは、個人に提供される福祉恩恵を全て金銭に換算して加えた数値で、先進国では家計所得の重要な一軸を担当している。 社会賃金が安いということは、個人が生きていく上で政府の支援が非常に脆弱なことを意味する。

 貧弱な福祉政策による社会的弊害は深刻だ。韓国の65歳以上の高齢者の貧困率は48.6%で、OECD平均(12.4%)より3倍以上多く、不動の1位を守っている。 韓国の高齢化速度はOECD加盟国のうち二番目に速く、多様な福祉政策が後押ししなければ高齢者貧困は拡大せざるをえない。 高齢化が最も深刻な日本の高齢者貧困率は19.4%だ。

 イ・マンウ国会立法調査処保健福祉女性チーム チーム長は「福祉拡大のために直接的な増税、非課税・減免縮小、社会保険料引き上げなどの方案を検討しなければならない」として「さらに韓国社会がどんな福祉モデルに進むかに対する社会的議論も必ず必要だ」と話した。

世宗/キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/663519.html 韓国語原文入力:2014/11/07 19:47
訳J.S(1713字)

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