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[深層リポート] 韓国現代製鉄、低賃金長時間労働に加え安全装備まで差別(下)

登録:2014-10-02 23:42 修正:2014-10-03 06:14

 パク氏の8月分の給与明細書に印字された月間労働時間は290時間(正規職は平均183時間、非正規労働者は平均243時間)だ。現代製鉄社内下請労働者たちは、正規職と同じく4班3交代に変えろと要求してきた。 だが、現代製鉄側は「我々が採用したのではなく、協力業者に変えるよう言わなければならないが、そうすれば経営介入になる」と主張する。

 月間290時間労働は3班3交代のためだけではない。パク氏の時給は今年の最低賃金より250ウォン高い5460ウォン(1ウォンは約0.1円)だ。 低賃金は必然的に長時間労働を産む。 生きてゆくためには、それ以外に方法がない。 事実上、強要された選択だ。 「初めは最低賃金にも満たず、延長・休日手当てもありませんでした。 『最低賃金は当然じゃないか』と言ったら、『気に入らなければ出て行きなさい、君が来なくても来る人は多い』と言われました。 それでもクビを切られるかと思って修習期間の3か月が済んでから話したのですが…」とパク氏は語った。 12時間2交代制で運営される前の職場で一日も休めずに仕事をするのがあまりに辛くて、見つけた新しい職場は彼をいつでも交換可能な部品のように取り扱った。

 最低賃金水準の時給で長時間労働をして、手にできる金は賞与金がある月には240~270万ウォン、賞与金がない月には160万ウォン水準だ。8月に290時間働いてパク氏が受け取った金は、税引き後で261万9789ウォンだ。 金融監督院の電子公示システムに公示されている現代製鉄正規職1人の平均月給は330万ウォンだ。

 社内下請労働者の肩を押さえ付けているのは、長時間労働と低賃金ばかりではない。 危険負担も彼らの受け持ちだ。 危険な仕事はほとんど長時間労働に疲れた間接雇用労働者に押し付けられる。 昨年5月、唐津製鉄所で補修工事をしていた社内下請労働者5人がアルゴンガスで窒息して亡くなった。昨年から今年までに唐津製鉄所で仕事をして事故で亡くなった間接雇用労働者は11人に達する。 民主労総・韓国労総などが参加した「労災死亡対策準備のための共同キャンペーン団」は、現代製鉄を“2014年最悪の殺人企業”に選定した。

 パク氏も2年前に巨大な鉄のコイルを縛っていた錆ついたワイヤーが切れたせいで、25トンもあるコイルがほどけて大ケガをするところだった。 そのワイヤー管理も社内下請業者の受け持ちだ。パク氏は「粉塵マスクのような安全装備まで正規職と社内下請ではモノが違います。危険な仕事は社内下請けがしているのに、安全装備は正規職により良いものを多く与えるのです。 社内下請が危険な業務を多くしている上に、労働強度も高く、一日1~2人の割合でケガをしたりしています」と話した。

 今後10年、20年とこのように仕事をすれば、パク・ソンジェ氏にも明るい未来が来るだろうか。 斗山ガラスなどで働いて2009年に唐津製鉄所に来た職場生活20年目の社内下請労働者パク・ジョンソク氏(48)は、3班3交代がしんどくて3班2交代に変えた。休日を得るために一日8時間勤務を12時間に増やした。 彼の時給は6700ウォンで、社内下請労働者の中ではそれでも高い方だ。「長く働いても正規職には追いつけません。より多く稼ぐために24時間連続勤務をすれば、夜間・延長勤務手当てを含めて一日に36万ウォンになります。 正規職の一日分の休日勤務手当てにも満たない金額です」。いつまで経ってもアヒルは白鳥にはなれない。

唐津/文・写真 キム・ミンギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/657930.html 韓国語原文入力:2014/10/01 22:55
訳J.S(1611字)

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