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西欧ではストライキを理由に労組に損害賠償請求訴訟を起こすことはない

登録:2014-09-26 21:48 修正:2014-09-27 08:20
労働法学会“争議と責任”の学術大会
ストライキを理由に刑事処罰もしない
「韓国は憲法で保障していながら制約」
韓進重工業解雇労働者とその家族たちが、昨年末の大統領選挙直後に会社が労組に対して提起した損害賠償請求訴訟などを悲観して命を絶ったチェ・ガンソ氏の遺族と共に5日午後国会を訪れ、職員に引きずり出されている。 イ・ジョンウ先任記者 //ハンギョレ新聞社

 韓国とは異なり、英国・ドイツ・フランスなどヨーロッパ諸国ではストライキを理由に労組幹部や労働者を刑事処罰したり、使用者が巨額の民事上の損害賠償訴訟を労組に対し提起する事例が殆どないという。

 韓国労働法学会とソウル市立大学法学研究所は26日、国会図書館大講堂で「争議行為と責任」をテーマに国際学術大会を開いた。 発表者として立ったドイツ ブレーメン大学のヴォルフガング・トイブロ教授は「第2次世界大戦以後(ストライキを理由に)労働者や労働組合幹部に有罪を宣告した裁判所の判決は存在しない」と明らかにした。 刑法上の強要罪や恐喝罪などを適用することはありうるが、実際に処罰した事例はないということだ。

 英国キングスカレッジ・ロンドンのキース・ユーイング教授も「英国では争議行為に対して包括的な刑事責任を問うことは1875年に廃止されており、代わりに生命と身体に害を及ぼす争議行為だけを処罰できるようにした。この法律は今も存在するが(139年間に)適用事例がなく、事実上死文化されている」と話した。フランスのパリにあるウエストナンテール大学のエマニュエル・ドーケ教授もやはり「不法ストライキに対する刑事的制裁条項は1864年に廃止された」と説明した。

ヨーロッパではすでに約150年前に廃棄された概念が、韓国では相変らず積弊として残っているということだ。その属性上、経済的被害を伴わざるをえない単純ストライキを理由に、企業が労組に民事上の損害賠償責任を負わせる慣行も韓国以外では見出しがたい。 これらの教授たちは「判例自体が殆どない」と口をそろえた。 ユーイング教授は「使用者が(ストライキを阻むための)武器として損害賠償請求訴訟を利用する文化は英国にはない」と話した。

 韓国労働法学会の理事であるシム・ジェジン西江(ソガン)大学教授(法学専門大学院)は「フランスや英国では構造調整を理由にしたストライキや、公共サービス分野の争議行為でもほとんど制限を受けずに認められている反面、韓国では憲法に積極的団体行動権が保障されているにもかかわらず、実際にはこれを制約する法制度と判例がとても多い」と指摘した。

チョン・チョンフィ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/657067.html 韓国語原文入力:2014/09/26 21:07
訳J.S(1100字)

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