「日本がWTO提訴を推進中」
国内世論悪化の憂慮に
進退窮まり苦悩中
国民的不信が完全に解消されていない日本産水産物の輸入再開を巡り政府の苦悩が深まっている。事実上の全面禁止状態にある韓国政府の国内措置に対し日本の圧力が強まっているが、食卓の安全に敏感な世論の動きも見定めなくてはならないためだ。
韓国では政府と与党の一部に輸入再開が必要だという雰囲気が感知されている。 政府消息筋は22日「原則的には(禁止措置を)解除しなければならない。 適切に対応しなければ、世界貿易機構(WTO)提訴の段階に行かざるをえない」と話した。
日本側は実際にWTOへの提訴を含む強力な対応を推進中とみられる。食品医薬品安全処関係者は「日本は韓国の措置を世界貿易機構に提訴する立場を示したと理解している」と話した。西川公也農林水産相は今月13日に福島県を訪問し、「最も苦痛なのは風評による被害だ。 韓国や中国の輸入制限が行き過ぎている状況」であるとし、「正しい科学的根拠に基づいて可能なものから輸入制限から外されるように努力する」と話した。
問題は食品医薬品安全処が昨年9月初めに福島周辺8県の水産物輸入を禁止すると発表した臨時特別措置が、多分に“国内用”の性格が濃厚な対策であったという点にある。 秋夕(チュソク)を控えて日本産水産物に対する国民的憂慮が高まり、韓国産水産物の消費まで減ったため窮余の策として出したわけだ。
WTOの「衛生および植物衛生措置の適用に関する協定(SPS協定)」により、輸入国は科学的根拠が不充分な場合にも臨時特別措置を下すことができる。 しかし合理的な期間(通常6か月)以内にその妥当性を検討しなければならないという条件がついている。 すなわち、韓国政府が6か月以内に日本産水産物が危険だという科学的根拠を提示できなければならなかったが、1年が過ぎた今でも何も出しえず国際問題に飛び火したわけだ。
政府は今月15日、食品医薬品安全処や外交部などの関係部署が日本がこれまでに提供した資料を公開するなどの措置を取ったが、韓国内世論の悪化を憂慮して公式な“輸入再開”意見を出せずにいる。 食品医薬品安全処関係者は「輸入禁止措置などは科学的安全性と国民の安心を最優先するという方針にも変化はない」と明らかにした。
しかし韓日局長級協議で日本が持続的に水産物輸入再開を要求するなど、外交的問題に飛び火することに対する憂慮の声も出ている。 外交部関係者は「我々は慰安婦問題について日本に法的責任を全うしろと要求しているが、そうするためには我々も法的にすべきことは尽くして対応しなければならない」と話した。