“完全無限”な料金制のはずなのに
音声通話は無制限でもデータ通信は5.2ギガに制限
携帯電話でドラマを見てデータが10倍
KT 「基本提供量の告知責任はない」
昨年、育児休職を終えて仕事に復帰したイムさん(34)は、業務上の電話通話が多いことが心配になった。 そこでKT顧客センターに電話をして「料金に気を遣わなくて済むように無制限料金制に変えてほしい」と話した。 相談員は“完全無限67”料金制を推薦した。 月6万7000ウォン(1ウォンは約0.1円)を払えば音声通話をいくらしても追加料金がなく、データを5.2ギガバイト(GB)まで使える料金制であった。 当時相談員は「データ5ギガなら充分だ。余程でなければ使い切れない」と話した。
だが、料金に気を遣いたくないという彼女の願いは長くは続かなかった。 先月KTは自動振替になっている彼女の通帳から24万6000ウォンを引き出した。 驚いて料金明細書を調べると、データ通話が“料金爆弾”の犯人だった。 何と57ギガを使っていた。余程でなければ使い切れないという基本提供量5.2ギガの10倍を越える量だった。 テレビドラマに関連した文を書くために、先月からスマートフォンでドラマを視聴したことが仇となった。 来月請求される料金も同じ状況だという。
相談員は「5ギガなら余裕があると案内をしたとしても、明確に5ギガという容量を告知したので、限界があるということを(顧客が)分からなかったわけではない。 超過使用量に対して(KTの)責任はない」として「それでもKTが(追加料金に)限度を設けていたため幸いにも15万ウォンだけが追加で賦課された」と付け加えた。
5ギガがいったいどれくらいのデータ量なのかという感覚がない人には“完全無限”料金制という名前がデータ通話料爆弾を誘導する罠になったわけだ。 ところで基本料金の2倍を超える追加料金が発生しても、イムさんが何の警告も受けなかったのは、どうしてだろうか? 相談員は、イムさんが4年前の2010年6月にKTが発送する案内メールの受信を拒否したためだと説明した。
KTは説明しなかったが、2012年から「請求書ショック防止法」が施行された。 イムさんの場合のようにデータ料金爆弾による消費者被害が急増し、これを予防するために法を改正して“料金限度超過などの告知に関する基準”を作ったのだ。 これに伴い、すべての移動通信事業者は利用者が音声・メール・データ約定限度(基本提供量)を超過する場合、料金賦課前に携帯メール等を通して教えることが義務化された。
だが、KTは法が変わった時も、イムさんが昨年料金制を変更した時にも、携帯メールによるお知らせについて何も言及しなかった。 関連法と告示は、既存の携帯メール受信拒否利用者の場合にどのようにしなければならないかまでは規定していない。 KT側は「携帯メールの受信を拒否した顧客にお知らせメールを送ればクレームが発生する可能性があるので発送していない」と明らかにした。 しかし他の移動通信社関係者は「私たちの場合は請求書ショック防止法施行以後、すべての顧客に残余データ量や超過使用に対する携帯メールを発送している。 料金の発生と直結するので顧客が携帯メールの受信を拒否していても発送するようにした」と話した。
イムさんは「後になってKT相談員との通話を繰り返して、今払っている基本料金に近い料金でデータも無制限に使用できる料金制に加入できるという事実を知った」と話した。 複雑な料金制がもたらした一つの盲点である。