チョン・ミファさん(53)は7年間にわたり「ホームプラス」のソウル永登浦(ヨンドンポ)店の水産物売り場で働いている。この職場で働いている間、秋夕(チュソク)の連休を家族一緒で過ごしたのはたった2回だけ。
「お母さん、今度の名節はまた休めないの?」
数日前、高齢で産んだ小学校6年の息子の問いにチョン氏は心を痛めたと話した。
同じホームプラスのソウル合井(ハプチョン)店の洗濯洗剤売場で働くクォン・ヘソンさん(53)も事情は同じだ。
「私は長男の嫁なのに、秋夕の日に勤務しなければならない。数年前、午前中だけ仕事をして急いで地方の夫の実家に行くと、義理の弟が買い物をすませ、義父がジョン(お好み焼き)を焼いたり、姑が食事を作っていた。何とも申し訳なかった」
今年の秋夕(9月8日)も大多数の大型スーパーが開店する。28日、大型スーパー3社の秋夕の営業計画を見ると、「イーマート」は全国151店舗のうち120店、ホームプラスは139店舗のうち127店、「ロッテマート」は109店舗のうち96店が正常に営業を行う。 店舗別に事情は異なるが、秋夕の日に平日勤務者の半分か3分の1程度が出勤するという。 ホームプラスの場合、全国約1万3000人の従業員のうち、5000 ~6000人が秋夕の日に先祖の霊を祭る祭壇でなく、販売台とレジの前に立たなければならない。
秋夕の営業を巡り大型スーパーは‘正常営業日’だと説明する。ある大型スーパー関係者は「毎月第二・第四日曜日だけが休業日だ。光復節も営業するし、名節とは関わりなく営業する」と話した。顧客サービスがその一つの理由だという。別の大型スーパー関係者は「秋夕当日は、その日までに買い置きできなかったギフトセットを急いで買いに来るお客さまがいる。急いでいる顧客が買えるようにするのが流通業がすべき仕事」だと言った。
キム・オクチョンさん(34)も、毎年秋夕の日に大型スーパーに買い物に行く。秋夕の前の日は夫の実家で一晩過ごし、秋夕の日に「祭事」をすませてから自分の実家に行くが、いつも大型スーパーに立ち寄って果物などの手土産を買って行く。キムさんは「秋夕には多くの店が店を閉めるが、選択肢が多い大型スーパーが店を開けているので気楽に利用している」と話した。
だが、キムさんのような人はそれほど多くはない。 秋夕当日の大型スーパーは、他の日より閑散としている。売上も平日の半分程度に過ぎない。昨年のK大型スーパーの秋夕当日の売上は、平日平均の半分を少し上回る水準(55%)だった。 秋夕に大型スーパーを訪ねたお客さんも平日平均の47%程度であった。他の大型スーパーも事情は似たり寄ったりだ。 だが、大型スーパーは店頭に積み上げたギフトセットを‘減らそう’と、連休期間中に店を閉めない。
外国ではどうだろうか。 英国では‘クリスマスデー法’などがあり、大型スーパーはクリスマス当日に休まなければならない。韓国労働社会研究所のキム・ジョンジン研究委員は「この頃はデパートも名節連休に2日は休む。 大型スーパーの名節当日の営業は企業の社会的責任とも合致しない」と指摘した。彼は「“秋夕当日に正常営業をする”と宣伝しているが、仕事と暮らしのバランスを壊す“非正常営業”と見るべきだ」と語った。参与連帯のアン・ジンゴル協同事務局長も、「大型スーパーは秋夕の日くらいは休んで、従業員が名節を家族と共に過ごせるよう権利を保障しなければならない」と話した。