フランシスコ教皇が15日、大田ワールドカップ競技場で聖母被昇天大祭ミサを奉献する直前、セウォル号犠牲者の遺族に会って慰労した。 続けて5万人が殺到して全国に生中継されたミサにはセウォル号犠牲者を追慕する黄色いリボンを胸に付けて出てきた。
教皇に面談した遺族たちは、先月8日から十字架を持って安山檀園高校を出発して、ゴルゴタの丘を歩いたイエスのように珍島ペンモク港を経由し大田まで来た。檀園高校の生徒だった故イ・スンヨン君の父親イ・ホジン氏と故キム・ウンギ君の父親キム・ハギル氏など遺族8人と檀園高校の生徒2人などの10人だった。
遺族のキム・ハギル氏が「300人の無念な霊魂が十字架とともに来ました。無念な思いで死んだ霊魂と共にミサを執典していただきたいです」と話すと、教皇は「そうします」と答えた。続いて、セウォル号事故家族対策委員会キム・ヒョンギ主席副委員長が、「今まで真実を隠してきた政府を信じることはできない。 真実が明らかになるまで、私たちのそばにいらっしゃる韓国の天主教を応援してください。 家族たちにどんな苦難が迫るか分からない。 恐ろしい。 その時は教皇様に私たちを助けていただきたい」と訴えた。 また「セウォル号家族の痛みが治癒されるよう徹底した真相究明と責任者処罰のために特別法の制定に議会と政府が乗り出せとのメッセージを伝え、光化門(クァンファムン)でハンスト中のユミンの父親を慰労して欲しい」と話すと、教皇は深く頷いた。
遺族たちは「子供たちに本島に会いたい。 死んだ子供たちを生き返らすことはできないけれど、私たちの子供たちがどうして死ななければならなかったのか、その理由を知りたい。 そのためには真相究明特別法を制定しなければならない。 そうしてこそ死んでも子供たちに堂々と会うことができる」として、「まだ帰ってこられない10人のためにも祈ってほしい」と求めた。 続けて家族たちは、セウォル号犠牲者追慕のための黄色いリボンと犠牲者の写真が含まれたアルバム、生存生徒と家族たちが書いた英語・スペイン語・韓国語の手紙などを手渡した。
遺族たちは教皇面談に先立ち、珍島から持ってきた十字架を大田教区ユ・フンシク主教を通じて教皇に手渡すことを要請した。
セウォル号遺族たちを抱擁し、頭に手をのせて祝福した教皇はその後、大田ワールドカップ競技場で開かれたミサ場に黄色いリボンを付けて登場した。 セウォル号事故が発生した後、122日間にわたり水葬された子供たちのように暗い夜を送った家族たちには、光復のような光が伝えられた瞬間だった。このミサにはセウォル号犠牲者家族36人も共にした。
教皇はこのミサの三鐘祈祷で「セウォル号沈没事件で生命を失った皆と、この国家的大災難により今も苦痛を受けている人々を聖母マリアに依託する」として、「神が亡くなった人々をあなたの平和の中に迎え入れ、泣いている人々を慰めて下さり、兄弟姉妹を助けるために喜んで乗り出した人々を激励し続けて下さることを祈る」と述べた。 教皇はさらに続けて、「この悲劇的な事件を通じてすべての韓国の人々が悲しみの中に一つになったので、共同善のために連帯して協力する彼らの献身的な姿を確認できることを願う」と話した。 教皇は「聖母マリアが、苦痛を受けている人々、特に病に罹った人々と貧しい人々、尊厳ある人間に相応しい働き口を持てなかった人々を情け深く見守って下さることを懇請する」と付け加えた。
教皇はミサのスピーチでは‘死の文化’を叱責した。 彼は「新しい形の貧困を作り出し、労働者を疎外させる非人間的な経済モデルを拒否し、生命である神と神のつくられたものを軽視して、すべての男と女と子供の尊厳を冒とくする死の文化を排斥するように祈る」と明らかにした。
教皇はミサの後、教皇訪韓準備委員会を通じて遺族から受け取った十字架をローマに持って行くと明らかにした。 セウォル号犠牲者の遺族たちは16日、光化門での列福式場にも600人が招請され再び教皇と共にする。
教皇はこの日午後、忠南(チュンナム)唐津(タンジン)のソルメ聖地で開かれたアジア青年大会でのスピーチで、アジア22か国から集まった青年たち約6000人に「私たちを苦しめている社会の貧富格差はますます広がっていて、私たちの人生に高額な代価を払わせる物質と権力、快楽崇拝の兆候等を見る」として「世界の障壁を克服して分裂を治癒し、暴力と偏見を拒否する世の中を作る役に立て」と訴えた。
チョ・ヒョン宗教専門記者、ソン・インゴル、チン・ミョンソン記者 cho@hani.co.kr