教師の政治活動を禁止した韓国の制度が再び国際社会の批判の俎上に上がることになった。 国連の専門機構である国際労働機構(ILO)は昨年、初中等学校教師の政治活動だけを禁止するのは差別であるとし改善を要求したが、韓国政府がこれを履行しないため今年も履行有無を点検することを決めた。
国際労働機構第103次総会に参加している民主労総リュ・ミギョン国際局長は2日「韓国政府がILOのすべての勧告を無視している状況を憂慮する労働者グループの提案により、今年も個別事例審議国家に選ばれた」と明らかにした。 ‘個別事例審議’は185の会員国の協約履行を全て確認することはできない現実を考慮して、労働者グループと使用者グループの合意により特定会員国を対象に協約履行有無を審議する手続きだ。 今年は25の会員国が個別事例審議対象になったが、アジアでは韓国と共にマレーシア・バングラデシュ・カザフスタン・カンボジア・パキスタンなど6か国が選ばれた。 これにより韓国は、昨年に続き2年連続で‘雇用および職業における差別待遇に関する協約’(ILO協約111号)履行有無の審議を受けることになった。 韓国政府が国際労働基準を一貫して無視しているという‘汚名’を避け難くなった。
昨年ILOは韓国政府に対し△政治的見解にともなう初・中等教員に対する差別の防止△移住労働者の事業場変更に関する柔軟性の保障などを促した。 去る3月にも全教組と全国公務員労働組合(公務員労組)の法的地位を保障するよう勧告した。 しかし、韓国政府は昨年政治活動などを理由に解雇された組合員が含まれているとして全教組の労働組合登録を取り消した。 同じく解雇組合員の存在を理由に公務員労組の組合設立申告も差し戻した。 憲法裁判所も教師・公務員の政党加入などを禁止した法律を合憲だと決めた。
労働界は大学教授とは異なり、初・中等学校教師の政治活動だけを禁止するのは差別だと批判してきたが、国際労働機構も同じ見解であるわけだ。 スイス、ジュネーブ現地時間で3日夕方に開かれる韓国に対する個別審議では、政治的意思表現を理由とした教師の差別以外にも、移住労働者の事業場移動制限と帰国後の退職金受領制度、女性非正規職労働者差別などが議論される予定だ。 ファン・ヒョンス全教組国際局長は「韓国は経済協力開発機構(OECD)会員国であり、ILOにも1991年に加入して28の協約を批准したが、政府が‘グローバル スタンダード’に反して国の品格を毀損している」と話した。
これと関連して雇用労働部チャン・クンソプ国際協力担当官は「ILO協約111号を履行して制度も改善したのに、なぜこのようになったのか疑問だ。昨年行った内容を会議で説明する」と話した。
キム・ミンギョン記者 salmat@hani.co.kr