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“治癒専門家”チョン・へシン博士「安山に住んで痛みを抱きしめ記録します」

登録:2014-05-29 14:18 修正:2014-05-29 23:57
“痛みの治癒”安山市民になろうとする人たち
韓国社会初の“共同体復元運動”本格化
心理治癒専門家チョン・へシン博士

 セウォル号惨事で絶望と失意に陥った遺族らが人生の意味と幸せを取り戻すことができるよう手助けをしようとする市民社会の自発的な動きが本格化している。セウォル号惨事に関連する記録を体系的に集める一方、安山(アンサン)地域に5年以上とどまって、遺族や住民との緊密な疎通を通して彼らの日常復帰を助けようという“共同体復元”運動だ。韓国では今まで見られなかった初めての試みだ。

 この運動の提案者の一人であるキム・イクハン明知大学記録情報科学大学院長は26日<ハンギョレ>との電話で「市民社会の一部の人たちが、安山に住まいを移して市民と共にセウォル号の遺族や地域住民の助けになる様々なプログラムを準備している」と明らかにした。キム院長は「自ら隣人となって長期に亘り疎通していけば、彼らが再び笑いを取り戻す日がはるかに近くなると思う」とその趣旨を説明した。

 精神健康医学科専門医のチョン・へシン氏と夫のイ・ミョンス氏、キム院長など、数人が5年以上安山にとどまる覚悟で、住む家を準備中だ。彼らは現地で“事故関連記録収集”、“心理治療”、“文化公演”などの活動を行なう計画だ。募金や慰めの手紙を送るなど、市民参加プログラムも用意している。多数の文化界関係者も参加の意思を明らかにしたという。

 彼らは政府とは距離をおくつもりだ。加害者に他ならない政府が介入すれば、2次~3次のトラウマが生じかねないという理由からだ。チョン・へシン氏は「政府が主導するトラウマセンターができたが、被害者たちは政府に対する不信のために、心を許したり開いたりしようとしない」として「民間主導の治癒システムが必要だ」と現場の雰囲気を伝えた。

セウォル号沈没事故で犠牲になった安山檀園高2年生チョン・ヒョンタク君の母親が運営するクリーニング店に、無事帰還を祈願する人たちが書いたメモが貼られている。安山/シン・ソヨン記者 viator@hani.co.kr

 先ずは“記録を介した治癒活動”から始める。<セウォル号市民アーカイブネットワーク>は、事故発生初期から犠牲者と家族たちが残した記録、ボランティアたちが現場で撮った写真と動画などを集めている。近いうちに20余りの団体がさらに参加して<セウォル号記憶貯蔵所>(仮称)を立ち上げ、市民からの記録寄贈も受ける計画だ。これらの記録を真相究明だけでなく、治癒にも活用する計画だ。

 市民の募金で珍島(チンド)ペンモク港に追悼展示館を建て、美術・建築を通しての治癒にも乗り出す予定だ。長期的には協同組合を立ち上げ、非正規職の多い安山地域の経済に役立てる方案を構想している。

 セウォル号家族対策委のキム・ヒョンドン氏は「市民が近くから長い間遺族と共にして地域共同体に活気を吹き込むという構想に、遺族たちの反応もとても良い」と述べた。

イ・ジェミョン記者 miso@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/639225.html 韓国語原文入力:2014/05/27 10:57
訳A.K(1399字)

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