‘物議’とは‘人や団体の処置に対して多くの人々がああだこうだと論評する状態’(標準国語大辞典)を指す言葉だ。 国家情報院は休日である去る9日夜9時頃‘発表文’を出し "最近のスパイ事件証拠偽造疑惑と関連して世間に物議を醸して国民に心配をかけたことについて心より申し訳なく思う" と述べた。 国家最高の情報機関が‘対国民公開謝罪’をする世界情報史に記録される珍らしい場面でもあるが、民主主義の根幹である司法体系を否定した証拠偽造事件をせいぜい‘世間に物議’程度と理解する認識水準にも驚くべきだ。 "非常に遺憾に考える" という10日の朴槿恵(パク・クネ)大統領の発言についても国家情報院は‘人々がああだこうだ’という水準と受けとめているのかも知れない。
国家情報院がなぜこうなのかを尋ねた。 国家情報院に最近まで身を置いていたある要人はこのように説明した。 「国家情報院内部では国益のために(証拠偽造も)許されうることではないかと悔しがっているだろう。 ウォン・セフン前国家情報院長のようにコメントのような無駄な仕事をさせたわけでもないではないか。 最初から無いものを作り出したわけでもなく(容疑を立証する証拠を作る)その程度は補強できるのではないかという雰囲気が強いだろう。 外から見れば大変なことと考えるものも、内部の組織文化はそうではない。
その上、こうしたことが一朝一夕で起きたわけでなく、昔からそうやって来たではないか。」 国家情報院の話のように‘物議を惹起’という程度で公職から退いた方もいる。 2008年1月15日キム・マンボク前国家情報院長は 「最近一部の言論に国家情報院長である私と北韓のキム・ヤンゴン統一戦線部長との面談録が報道され物議を惹起したことに対して国家最高の情報機関長として責任を痛感し辞意を表明すると同時に国民に謝罪申し上げる」と話した。 この程度の‘物議’でも退かなければならない席がまさに国家情報院長の席だ。 ナム・ジェジュン国家情報院長も既に物議を認め、国民に謝罪までしたなら、席にしがみつく理由はないように見える。
キム・ナムイル記者 namfic@hani.co.kr