国外公館で仕事をする情報機関職員が国内に送った書類は、国家保安法違反疑惑事件などで被疑者をしばる手段として使われてきた。 金大中 元大統領の内乱陰謀事件時はもちろん、いわゆる‘キム・チョンサ氏スパイ事件’でも日本から送った‘領事証明書’が証拠物として提出されていたことが26日確認された。 両事件当時、駐日本大使館の領事であり領事証明書を作成した中央情報部(国家情報院の前身)要員チョン・某氏は「本部の指示によって作成する」と過去事真相究明委員会で明らかにした。
金元大統領は内乱陰謀事件で1981年1月に最高裁で死刑確定判決を受けたが、救命世論が起き懲役20年に減刑された。 当時チョン氏が発行した領事証明書は国家保安法違反容疑に対する証拠として使われた。 金元大統領が死刑判決を受けた容疑は反国家団体結成および首謀であった。
<ハンギョレ>が入手した47ページにわたる領事証明書には、金元大統領が日本国内の在野団体である韓国民主回復統一促進国民会議(韓民統)結成を主導し、反国家団体活動を行ったという内容が書かれていた。 この文書には "金大中は北韓の指図を受けたペ・某らに海外同胞が総連係して闘争しようと提案し、賛同を得て韓民統日本本部を結成することに合意したという確認された諜報がある" 、 "北傀(北韓)連絡部の姓名未詳課長の話が、金日成首領が韓民統に資金をいくらでも支援するから南朝鮮解放の前進基地に拡大し果敢に闘争しろと言う話を聞いたということから見て、韓民統の資金は北傀から直接支援されたものと見られる" 等の内容が書かれている。 出処の明確でない未確認情報が領事証明書に書かれたことにより裁判で証拠資料に化けたわけだ。
1977年、在日同胞出身でソウルで留学生活をしていたキム・チョンサ氏が、スパイ容疑で起訴された事件にもチョン氏の領事証明書が登場する。 過去事委の総合報告書(2007年)を見れば、チョン氏は領事証明書の作成経緯に関して "本部(中央情報部)の指示によって作成する。情報機関から派遣で出向したので外務部の領事業務とは違う。 領事というタイトルを借りただけだ" と打ち明けた。 キム・ソンシク記者