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「公正放送は勤労条件」 釘を刺す…経営陣報道専横にブレーキ

登録:2014-01-17 20:47 修正:2014-09-05 18:04
‘MBCストライキ正当’判決の意味 ...裁判所 "放送製作・編成過程で
民主的な意志決定が保障されるべき"
言論学者ら "言論人に力を与えた画期的な判決 歓迎"
国民日報チョ・サンウン前労組委員長の
控訴審でも "解雇違法" 勝訴 YTNの6人は最高裁判決だけを残す
文化放送労組指導部が2012年1月30日、ソウル汝矣島(ヨイド)の本社1階でキム・ジェチョル社長の退陣を要求する全面ストライキ出征式を開き‘この間真実に目をつむり申し訳ない’という内容の対国民謝罪文を発表した後、腰を曲げて挨拶している。 キム・ジョンヒョ記者 hyopd@hani.co.kr

‘公正放送’のためにストライキを行った<文化放送>(MBC)労組員に対する会社の懲戒は無効だとした17日ソウル南部地方裁判所の判決は‘放送の公正性’を放送会社の勤労条件として認定したという点で画期的な決定と受けとめられている。 放送の公正性を問い詰める尺度が、報道機関内部の民主的な意志決定だと明らかにした点も注目に値する。

■ "公正放送のための報道機関のストライキは正当"

 裁判所は判決文で 「公正放送の義務は勤労関係の基礎を形成する原則であり、放送の公正性を実現するための制度的装置の用意とその遵守は、団体交渉での義務的交渉事項」と明らかにした。 放送の公正性が放送会社の勤労条件であると釘を刺し、一般企業と異なり放送会社など報道機関の場合には報道の客観性・公正性を保証されるための争議行為が可能だと見たわけだ。

 ややもすれば抽象的に流れかねない‘放送の公正性’についても明確な原則を出した。 "放送の公正性は、放送の結果ではなく放送の製作編成過程で構成員の自由な意見提示と参加の下に民主的に意志決定がなされたか否かにより判断されざるをえない」としたのだ。 裁判所はこれに基づいて「経営陣は放送の公正性保障のための団体協約の種々の手続き上の規定に違反して、人事権を乱用する方法で内部構成員の多様な意見を抑圧し、経営者の価値と利益に符合する放送だけを製作・編成しようとした」として、これに対する労組の争議行為は正当だと見た。

■言論学者、"法と原則に則る判決" 歓迎

 今回の判決に対して言論学者たちは歓迎する意見を出した。キム・ソジュン聖公会(ソンゴンフェ)大教授は 「言論人の勤労条件は個人の問題ではなく、社会全体の利益を考慮して判断すべき対象だという点を示した。 特に憲法が保障する‘表現の自由’が報道機関内でどんな過程を経てこそ具体的に保障されうるかを明確に判示した」と評価した。 キム教授は「この間、言論人の懲戒と関連して懲戒の過程と手続き、強度などを問い詰める判決は多かったが、今回のように勤労条件まで問い詰めた判決はなかったようだ」と話した。

 キム・チャンニョン仁済(インジェ)大教授は「単に報道行為自体だけでなく、公正な報道ができる条件を確保するための努力までもジャーナリズムの領域と見た画期的な判決」と評価した。 キム教授は「会社の懲戒脅威のために言論人自らが公正報道のために努力するケースがどんどん少なくなっているが、言論人自らが努力できるよう力を培う判決が下された」と語った。

 チェ・ジンボン聖公会(ソンゴンフェ)大教授は「法と原則にともなう当然の判決」と話した。 彼は「放送法は公正性・公共性を根拠として放送会社の設立を許可しているが、この点を明確にした判決だ。 文化放送の現経営陣は控訴をするのでなく、前経営陣が放送法に違反する不法を犯したことに対して謝るのが当然だ」と指摘した。

■ <国民日報>解職記者も‘解雇無効’判決…他の解職言論人たちは?

 一方、社主に対する批判を提起して解雇されたチョ・サンウン<国民日報>前労組委員長も、この日ソウル高裁で開かれた控訴審で "解雇は違法だ" という判決を受けた。 裁判所は "報道機関内部の経営陣に向けられた監視・牽制が必要だ" として、チョ前委員長の手をあげた。

 去る政権の時に解雇され、未だ職場に戻れずにいる言論人は文化放送解職者など、チョ前委員長を含めて計16人だ。 <韓国放送>(KBS),文化放送に先立ち2008年‘落下傘社長’反対闘争を行った<YTN>の場合、ノ・ジョンミョン前労組委員長をはじめ6人の解職者がいる。 これら解職者は、1審で全て解雇無効判決を受けたが、控訴審ではこの内3人だけが解雇無効判決を受け、現在最高裁判決を待っている。 YTN労組はこの日、文化放送関連判決が下された後 "公正放送闘争の法的正当性が再度確認された。 文化放送とYTNはこれ以上裁判所と国会の判断を無視せず、自社解職記者たちを直ちに復職させなければならない" という内容の声明を出した。

 全国言論労働組合もこの日声明書を出して "公正放送は勤労条件に該当するという裁判所判決を歓迎する" と明らかにした。 言論労組は "国会放送公正性特別委でも与野党合意の下に解職言論人の復職を促す決議文を出した。 解職言論人の復職は司法府・立法府の共通した命令だ" と指摘して "関連報道機関は解職言論人を直ちに復職させなければならない" と要求した。

チェ・ウォンヒョン記者 circle@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/media/620288.html 韓国語原文入力:2014/01/17 20:19
訳J.S(2295字)

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