イ・ヤンスン(仮名・57)氏は目前の3月を考えれば胸が苦しくなる。 イーマートで5年以上にわたり生鮮食品を販売してきたイ氏は、3月から一週間に25時間しか仕事ができない境遇に置かれた。 イーマートが週当り40時間以上働けるという条件で1年単位で期間制契約を更新してきた一部の社員に‘25時間 時間制働き口’契約に変更すると一方的に通知して来たためだ。
25時間に仕事が減れば月給は110万ウォンから60万ウォン程度に減ることになる。 彼女は 「他の仕事場を当たってみなければならないのではないかと思います。 夫は引退したし、息子は大学4学年なのに、生活できないでしょう」と訴えた。
■ "15時間 勤務縮小、解雇に他ならない"
13日<ハンギョレ>による取材の結果、イーマートは昨年4月週当り40時間以上働く期間制社員として入社した商品陳列・販売職職員を対象に、週当り25時間の時間制働き口契約を要求していることが確認された。 イーマート労働組合が把握した対象者は700人を越える。
昨年1~2月‘労組職員査察’疑惑が提起されたイーマートは、雇用労働部が特別勤労監督を経て不法派遣解消を指示するや昨年4月に1万人を越える下請け業者社員を正規職として直接雇用した。 ‘経済民主化’台風が盛んだった時期だ。 55才以下の職員は正規職に切り替え、55才以上は定年が60才までの期間制として雇用した。 55才以上の期間制職員が今回の時間制転換対象だ。
職員たちは 「事実上の解雇に他ならない」として反発している。 イーマートが定年規定には手を付けなかったものの、勤労時間を一方的に短縮するとして出てきたためだ。 しかも事実上の正規職化で特典を施すかに見えたイーマートの態度急変に対する背信感も大きい。
ソウルのあるイーマートで仕事をするキム・某(59)氏は「昨年4月、店舗管理職員が呼び集めて‘皆さんは特典を受けた。元気でさえいれば60才まで仕事が出来る’と話し、55才以上の職員を一ケ所に呼び集めて1年単位の期間制雇用契約書にサインさせた。 勤労時間が減れば定年を保障されてもこれ以上ここで仕事をするわけにはいかない」と打ち明けた。 イーマート労働組合関係者も「具体的な勤労条件は明らかになっていないが、賃金と福利厚生などを正規職と同じにするとしても勤労時間が減れば生計型勤労者たちは他の仕事場を探すなりして会社を出て行かなければならない状況」と説明した。
■‘時間制働き口’への呼応を政府に見せること?
これに対して、政府の政策に歩調を合わせたことを‘見せるため’ではないかという評価が出ている。 不法派遣が問題になると電撃的に正規職転換を宣言し、朴槿恵(パク・クネ)政府が‘時間選択制働き口’で雇用率を高めるという政策を出すと今度は、問題なかった勤務時間を分割して質の悪い働き口を作ろうとしているのではないかという分析だ。 実際、イーマートが属する新世界グループは、昨年11月コエックスで開かれた‘時間選択制働き口採用博覧会’で三星(サムスン)に続き二番目に多くの働き口創出計画を提示した。
キム・ジョンジン韓国労働社会研究所研究委員は「企業が一方的に勤労時間を減らすことは、社会的責任を全うする姿とは距離が遠い」と指摘した。 民主社会のための弁護士会のクォン・ヨングク労働委員長も 「強要された形の時間制働き口は賃金縮小と勤労条件悪化、生計威嚇につながりうる」と話した。
生計型労働者を対象に時間制選択を強要することは、時間制働き口の趣旨に外れるという批判も出ている。 パク・ジスン高麗(コリョ)大法学専門大学院教授は「両性保護、余暇活用などの目的を前面に出した時間制働き口が、趣旨に合わない形で運営されれば本当に必要な時に時間制働き口の導入を難しくしかねない。 オランダもワッセナー合意から定着までに20年かかっただけに、初期に時間制働き口が‘雑用する非正規職’という認識が生まれないよう管理しなければならない」と強調した。
これに対してイーマートは‘配慮’をしただけという態度だ。 イーマート関係者は「昨年定年を越えた55才以上の労働者に配慮して雇用したし、この間定年退職をむかえる職員にも時間制働き口を提供した。 会社が配慮次元で40時間以上勤務を保障してきたが、人材需要政策に合わせて25時間制働き口を提案したのであって、政府の政策とは関係ない」と明らかにした。
パク・スンホン記者 abcd@hani.co.kr