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「教学社版教科書採択、2ヶ月間ある人の顔色ばかり伺っていた」

登録:2014-01-04 10:17 修正:2014-01-04 20:09
水原東佑女子高校 歴史教師インタビュー

「さらに上の誰かの外圧を受ける校長の切な頼みに
妥協ならぬ妥協をし・・・生徒たちに恥ずかしい」

 「子供たちに恥ずかしいことをしてはいけないということだけを考えました。今後ともそのように教壇に立つつもりです。」

 親日・独裁美化論難を呼び起こしている教学社の韓国史教科書を採択した京畿道(キョンギド)水原(スウォン) 東佑(トンウ)女子高のコン・ギテク(54)歴史教師は2日午後、<ハンギョレ>との電話インタビューで「韓国史の教科書選定過程で数回外圧があった。 教科書の選定をめぐって二カ月ほどは、ある人の顔色ばかりを伺っていました」と主張した。

 コン教師は「クリスマス直前に校長先生が「教学社版教科書を推薦してほしい」と要求したが、拒絶した。しかし、26日に再び校長室に呼ばれて同じことを懇請された。学校には歴史教師が4人いるが、その先生たちと相談して教学社版教科書を3位に上げておいた」と述べた。 教科書選定は教師などで構成された教科協議会が1~3順位の推薦をした後、教科選定委員会と学校運営委員会の審議を経て、学校長が最終決定する。

 彼は「教学社版教科書の採択を阻止するために、2位となんと10点差以上の低い点数をつけて3位に教学社版教科書を学校運営委員会に推薦した。「学校運営委がまさか、そんなに点数が低い教学社版教科書を選びはしないだろう」という判断だった。校長先生の頼みもにも応え、かつ教学社版教科書採択を阻止できる方法だと思った。それが、どうしたことか3位が選ばれた」とがっくりしたように言った。

京畿道水原東佑女子高コン・ギテク(54)教諭のフェイスブック画面キャプチャー。

 コン教師は「全国教職員労働組合所属か」との問いに「どこの団体にも属していない」と答えた。

 先にコン教師は自分のフェイスブックに「東佑女子高の韓国史教科書 教学社採択撤回を要請します。 東佑女子高の韓国史教科書 教学社選択は、教師たちの意思によるものではなかったことを明らかにします。それによって、曲がりなりにも教壇に立つことができるだろうと信じるが故に、迷ったあげくこうして恥をしのんで書きます」という文を上げた。

 彼はこの文で「東佑女子高の教学社版教科書選択の過程で外圧がありました。教科書の選定をめぐって二カ月間、私たちの学校の歴史教師たちと管理者たちは、ある人の顔色ばかり伺っていました」と主張した。

 コン教師は「さらに上の誰かの外圧を受けている学校長から、数回にわたって懇請された。最後まで断り切れず、妥協ならぬ妥協をしてしまった4人の国史の先生たちは今、子供達に対してすごく恥ずかしい気持ちだ」と明らかにした。 彼はさらに、「真の人材を育成するという精神で学校を設立したのが事実なら、学校を設立した初心を失わないでほしい」と書いた。

 コン教師は「教科書選択一つのために、誰かが職を賭さなければならない この植民地のような現実を、全国民が立ち上がって阻止してほしい」と訴えもした。コン教師の主張に対して学校側は「現時点では何も言うことはない」と述べた。

水原/キム・ギソン記者 player009@hani.co.kr

【東佑女子高国史教師コン・ギテク氏の文の全文】

東佑女子高校の韓国史教科書 教学社採択の撤回を要請します

私は東佑女子高の国史の教師です。

まず無条件に申し訳ありません。

卒業生や在学生、特に今日も国史を教えてきた1年生に一層申し訳なく思います。

ひとまず、東佑女子高校の韓国史教科書教学社選択は教師たちの意思ではなかったことを明らかにしておきます。

このことを遅ればせながら敢えて明らかにする理由は、生徒たちの心に先生に対する憎しみと誤解があってはならないと思うからです。それで今書いています。そうすることによって、曲がりなりにも教壇に立つことができるのではないかと信じるが故に、迷ったあげくこうして恥をしのんで書いています。 今日も愚かな先生の安危を逆に心配してくれる生徒達に慰められながら、この文を書いています。

東佑女子高の教学社版教科書選択の過程で外圧がありました。教科書の選定をめぐって二カ月間、私たちの学校の歴史教師たちと管理者たちは、ある人の顔色ばかり伺っていました。

明らかに、より大きな誰かからの外圧を受けている学校長から、数回にわたって懇請を受けました。教師たちは、私立学校が持っている人間関係的弱点を克服できず、要求どおり教学社を候補に上げはしましたが、決定に影響を及ぼさないよう第3順位にして学校運営委員会に推薦しました。 学校運営委員会で阻止してくれることを願ったわけです。 結果は、学校運営委員会さえも第3順位に上げた教学社を採択せざるを得なかったのです。学校運営委員会も小心な私たち教師の気持ちを支持してはくれませんでした。

最後まで阻止できず、してはならない妥協をすることになった4人の国史の先生たちは今、生徒たちにすごく恥ずかしい気持ちです。

どうか、私たちの心が伝えられ、その誰かの固執が折れることを望みます。本当に真の人材を育成するという精神で学校を設立されたのなら、学校設立の初心を忘れないで下さい。財団の不正問題に関する噂に続き、こんなことで教師と生徒たちにこれ以上痛みを与えないで下さい。この国のお年を召した方々が、これからは敵対勢力ではなく尊敬される人々として、余生を全うされることを望みます。

教育を受ける子供たちに自尊心があってはじめて、教育が開始されます。子供の自尊心は教師の自尊心があってこそ可能です。教師の自尊心は、管理者の正しい自尊心があってこそ可能です。管理者が自尊心を持って学校を運営するとき、良い学校になります。私たちの学校は去る開校記念日に学校発展のための教師の提言を受けたことがあります。 私はそのように考えます。 本当に学校が発展し良い教育・創意的教育が実現されることを願われるなら、学校長の自尊心を大切にしてください。

教科書選択一つのために誰が職を賭けなければならない、この植民地のような現実を、全国民が立ち上がって阻止してください。

コメント、“共有”、「いいね!」 何でもいいです。一人一人は非力でも、私たち皆の力がどんなものであるかを見せてやらなければなりません。

甲午年は東学が起きた年です。

(訳注:今年2014年が甲午年で、120年前の甲午年である1894年に東学農民戦争=甲午農民戦争が起きた )。

https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/618154.html 韓国語原文入力:2014/01/03 09:21
訳A.K(2820字)

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