"朴槿恵(パク・クネ)大統領がチリのピノチェトのような独裁者にならないと言うなら国民の声を聞かなければならない"
手長ダコが好きなチリの宣教師パトリシア(仮名)は30日、ソウル中区(チュング)の大漢門前から密陽に向かう‘希望のバス’に乗った。 韓国政府が密陽送電塔建設を強行する姿が、チリにいる時に見たピノチェト独裁政権の横暴と全く同じだと感じたためだ。 外国人の身分なので密陽で警察に捕まれば追放されるかも知れないという心配で事実恐い。 だが、パトリシアは 「独裁の時代は終わって久しい。 民主主義を守るために同じ考えを持つ人どうしが連合しなければならない」として参加理由を説明した。
ソウルの600人余をはじめとして全国26地域から2000人余の参加者を乗せた50台余りのバスが、30日密陽へ向かった。 彼らは1泊2日の日程で密陽で送電塔建設反対文化祭や集会などの多様な行事を行う計画だ。 密陽では去る10月から丹場面(タンジャンミョン)、上東面(サンドンミョン)など4地域で765kV送電塔を建てる工事が進行中であり、住民たちはこの工事に強く反対している。 希望のバスにはペク・キワン統一問題研究所長、ホン・セファ '言葉と弓' 発行人、キム・セギュン ソウル大名誉教授、チャン・ハナ民主党議員らが共に乗った。 また、宗教人、双龍(サンヨン)自動車・韓進重工業の労働者、代案学校の学生など一般市民が多数参加した。
希望のバスに乗ったハン・某(14)君は「11月初めに学校で密陽に奉仕活動を行ってきた。 その時、警察官たちと対峙しているおばあさんたちを見て、祖母を思い出した。 祖母にこういう事があったらどうしたらいいか、しばらく考えて希望のバスに乗って再び密陽を訪れなくてはならないと決心した」と話した。 小さなビデオカメラを手に固く握ったハン君は「おばあさんが体験している心痛むすべての話を撮ってきたい、そして、この間のしんどかったことを忘れられるように、肩を揉んであげたい」と付け加えた。
密陽(ミリャン)を初めて訪れる会社員ユン・ホンヨル(45)氏は「以前から密陽のお年寄りにお目にかかりたかったが、今回時間が取れて希望のバスに乗った。 心でいくら応援してみても結局一度お目にかかることが大切と考えた」と話した。 ユン氏は 「政府が何か仕事をしようとする時は、たった一人の被害者がいても真剣に考えなければならない。 だが、かなり以前から我が国では小さな声に対しては真剣に考えようとしないようだ」と付け加えた。
警察はこの日、希望のバスに備えて慶南密陽地域に50個中隊4000人余りの警察力を配置した。 一時、警察が希望のバスの密陽進入を阻むという予測が出たりもしたが、各地域から出発した50台のバスは30日午後4時頃、送電塔工事が進行されている村に無事到着した。 希望のバス参加者たちは各村に旅装を解いた後、村の住民たちと密陽の状況に関する話を交わして午後7時から密陽駅で開かれる文化祭に参加する計画だ。
チョン・ファンボン記者、密陽/キム・ミヒャン、イ・ジェウク、キム・ソングァン記者 bonge@hani.co.kr