23日昼、京畿道(キョンギド)水原市(スウォンシ)長安区(チャンアング)行宮洞(ヘングンドン)の鮮経(ソンギョン)図書館入り口で電気タクシーから降りた住民チェ・ヒョンスク(65)氏は「不便でないかって? 不便に決まってるじゃない」と話した。 チェ氏は栄洞(ヨンドン)市場で買った品物を両手に持って華城行宮(ファソンヘングン)まで歩いた後、水原市が運営している電動タクシーに乗った。 普段なら市場でタクシーに乗って家までまっすぐ行く彼女は「世界祝祭だと言うから不便を我慢してみます」と話した。
チェ氏が暮らす行宮洞華城一帯で9月1日から一ヶ月間‘車のない村’を主題に‘生態交通水原2013祝祭’(emwf2013.suwon.go.kr)が開かれる。 祭りとは言っても一風変わった祭りだ。 水原市は住民や訪問客が "楽しく不便を体験する祭り" と臆面もなく広報している。 石油・石炭などの化石燃料が枯渇した状況を前提に、温室ガス排出量も減らしエネルギーも削減するための‘生態交通’だけで村で日常生活をしなければならないためということだ。
2200世帯4300人が暮らしている行宮洞の住民たちが不便を我慢する決心をしたのは、町内に変化が必要だということに共感したためだ。 20余年前まで裁判所・検察庁・警察庁が集まった水原の中心地であった行宮洞は、華城の世界文化遺産指定にともなう規制で開発が規制された。 住宅は放置され衰退の道に入り込んでいた。
9月1日の開幕を控えて‘車のない村’
化石燃料を使う交通手段 立入禁止
電気タクシーとオートバイ・自転車だけ
"人間中心 親環境交通都市のメッカに"
祝祭機関中、行宮洞の住民たちが所有する車1500台中の一部は村の外の駐車場に移された。 石油を燃料として使う車両の通行が制限されるためだ。 中華料理店もオートバイの代わりに市が貸し出す電動バイクでジャージャー麺を配達する。
この日、華城行宮で電気タクシーに乗って華西門路に着くと、見慣れない生態交通手段が色とりどりに道路を巡っていた。 充電して3輪で走る電動タクシーと電動カート、2輪で走る1人用スクーターのセグウェイ(segway)などだ。
華城行宮前の生態交通移動手段展示館と路面電車が展示された野外展示館を始め、行宮洞道をゆっくり見て回り、古の情緒を味わう面白味もなかなかよい。 村の中心である華西門路では生態交通を主題に設置芸術作品が展示されていて、映画俳優ソ・スンウォン氏の朗読など多彩な公演が催される。
世界75ヶ国1250都市で構成された自治団体国際環境協議会(ICLEI・イクルレイ)と国連住居環境改善機構である国連ハビタット、水原市が共催する今回の祝祭は、2011年に慶南(キョンナム)昌原(チャンウォン)で開かれた生態交通世界総会で水原市を最初の開催地として決めた。
水原市生態交通推進団コ・ギョンア(47)村局長は 「世界文化遺産であっても村がスラム化された。 家を売って出て行きたいという住民もいる。 しかし、若い世代もここに住みたいという人が増えましたよ。 今回の祭りは都市の未来を考える場」と話した。
水原市は祭りを契機に路面電車(トラム)導入計画に速度を上げるところだ。 自転車利用の活性化、公共交通地区新設などで都心交通体系を自動車中心から人間中心に変え、これを華城観光と旧都心の再生につなげようという腹案だ。 ヨム・テヨン水原市長は「生態交通を通じて水原が人間中心の親環境交通都市のメッカとして跳躍する契機になると期待する」と話した。
水原/ホン・ヨンドク記者 ydhong@hani.co.kr