大統領府は14日夜、開城(ケソン)工業団地正常化のための南北実務会談妥結の便りが伝えられた後、1時間も経たずに朴槿恵(パク・クネ)大統領の歓迎メッセージを出した。 この間、政府の立場を統一部で一元化して言及を自制してきたことに照らしてみれば異例の直接的で迅速な反応だ。
大統領府のこのような態度には会談結果に対する満足感がひそんでいる。 特に大統領府は朴大統領が開城工業団地問題に言及するたびに強調してきた‘開城工業団地国際化’に対する合意に大きな意味を付与した。 朴大統領も会談妥結後 「開城工業団地の国際化のために南北韓が共に努力して行くことを期待する」とこの部分に焦点をあてて強調した。
大統領府と政府が開城工業団地の国際化に格別に精魂を込めた理由は、朴大統領の大統領選挙公約であるだけでなく、北韓の再発防止約束の真正性を判断できる‘照尺’として考えてきたためだ。 朴大統領は去る3月の統一部業務報告の際も 「外国企業が誘致され工業団地が国際化すれば、ある日突然に出入りが禁止されたり、税金を突然上げたりする、国際基準から見て容認できない行動を防止できる」と話した経緯がある。 中国をはじめとして第三者である外国企業が開城工業団地に入居すること自体が、南北間の軍事的葛藤を理由に北韓が一方的行動に出ることを制御できる一種の‘安全弁’の役割をすると見たわけだ。 政府が強調する‘新しい南北関係’や‘非正常の正常化’もやはりこのような物理的安定感を土台に実現できるというのがこれまで大統領府と政府が維持してきた態度であった。
大統領府はまた、工業団地閉鎖の長期化という政治的負担にもかかわらず‘原則’を前面に出した執拗な圧迫を通じて北韓の態度変化を引き出したとし、精一杯鼓舞された雰囲気だ。 キム・ギチュン秘書室長起用など大統領府秘書陣改編直後に意欲的に出した税法改正案が世論の‘逆風’に巻き込まれ体面丸つぶれとなった大統領府は再び国政主導権を回復できる契機となる政治的効果も享受することになったと自評している。 大統領府関係者は、会談妥結後 「将帥(チャンス)不敗」と話した。 この間、朴大統領に‘強硬な原則論’を助言してきたキム・チャンス国家安保室長が結局成果を上げたという点を表現したものと見られる。 今回の会談妥結で15日に出す朴大統領の光復節メッセージも弾みをつけることになった。
大統領府内外では北韓の7次会談提案に対する政府の迅速な受け入れと、会談妥結後に大統領府が見せたすばやい反応などを見れば、事実上核心議題が事前調整されていたのではないかとの分析も出てくる。 特に先月25日に北韓を訪問し金正恩北韓国防委員会第1委員長に会ったリ、李源潮 中国国家副主席が南北間のメッセンジャーの役割をした可能性が議論されている。 北韓は先月、開城工業団地国際化に関して「外勢を引き込んで改革・開放による‘制度統一’準備を促してみようとする犯罪的企画の産物」と非難したことがある。 李副主席の北韓訪問後、北韓の態度が明確に変わり、政府内でも会談を楽観する展望が流れていた。
ソク・ジンファン記者 soulfat@hani.co.kr