‘無労組’三星重工業で労働者たちが賃金暫定合意案を否決した。 実質的な労働組合がない三星重工業では労働者協議会が会社側と用意した合意案が否決されるケースは珍しい。 来週に夏季休暇を控えている巨済(コジェ)造船所では何が起きているのだろうか?
キム・ギョンスプ三星重工業一般労組委員長は30日 「期待に至らない賃金合意案に対する職員の失望感が大きかった。 協議会と会社に対する不満が高まり、労働者協議会で来週の休暇を控えて再協議をすると聞いた」と話した。 三星重工業はこの間、労組ではなく労働者協議会が会社と交渉してきた。 一般労組は解職者中心の労組だ。
暫定合意案の内容は基本給0.5%・定期昇級分1.3%で賃金の1.8%引き上げと、一時金510万ウォンを支給するというものだった。 正月・秋夕(チュソク)の贈り物などの選択的福利厚生制導入と創業・再就職希望時にキャリア開発センターを通じて支援するという内容も盛り込まれた。 だが、賛否投票の結果、職員5642人の内5369人が参加して、2747人(51.16%)が反対票を投じて否決された。 賛成は2609人だった。
否決の最大の理由は期待より低い賃金引き上げと見られる。 三星重工業は昨年いわゆる‘造船ビッグ3’現代重工業・大宇造船海洋の中で最も実績が良かった。 世界的に多くの造船所が廃業する不況の中でも三星重工業は2012年に売上(14兆4895億ウォン)と営業利益(1兆826億ウォン)が共に前年度に比べて増えた。 競争業者である現代重工業と大宇造船海洋は前年に比べて減少した実績を出した。 今年の前半期実績も証券会社は予想より良いだろうと予測している。 東部証券は三星重工業の今年第2四半期実績で売上3兆7730億ウォン営業利益3140億ウォンを予想して、昨年同期に比べて営業利益が9%増加すると推定している。
反面、三星重工業巨済造船所のある職員は、暫定合意案が 「到底納得できるものではなかった」と話した。 造船業界は慶南(キョンナム)に大規模に集まっていて非正規職が多い業種特性上、賃金など勤労条件が周辺造船所と比較しやすい。 労組がある他の造船所に比べて低い引き上げ率に相対的剥奪感があったという話だ。 彼はまた 「協議会に対する不信任も否決の理由だ」と話した。 会社に対抗してきちんと役割を果たせなかった労働者協議会に対する不満が反対票につながったということだ。
また、今年の賛否投票は例年とは異なり部署別に結果が集計された。 部署別に反対票がどれくらい出てきたかが全て公開された。 これについて三星重工業の労働者統制が強化されているという憂慮も出ている。 キム・ギョンスプ一般労組委員長は「部署別に賛成票がどの程度出るかが分かるようになれば、賛成比率の低い部署の管理者は人事考課などで難しくなる。 部署長がすでに事情を訴えて回っているらしい」と職場の雰囲気を伝えた。 労働界は企業内で地域・部署別に投票結果が公開される方式が進歩指向の労組が崩れたKTのように会社に有利な側に労使関係を導くと見ている。
イ・ワン記者 wani@hani.co.kr