北韓が8日、開城工業団地で働く北側労働者全員を撤収させるともに、南側企業らにも事実上の撤収を要求したことにより韓半島の危機が新しい局面に入り込んだ。 すでに最高潮に達した緊張局面が、どこへ跳ねるか誰も計ることはできない不確実性が精一杯に高まった。
韓半島で軍事的葛藤・対立が激しくなったことはこれまでに何度もあった。 それでも、開城工業団地だけは生き残った。 北韓は2009年にも開城工業団地の出入りを統制したことがあるが、韓-米連合‘キーリゾルブ’訓練が終わると通行を再開した。 南北協力の象徴だった開城工業団地閉鎖には、南北双方が相当な政治的負担が伴うためだ。
北韓の今回の措置が開城工業団地の完全閉鎖まで進むかは不透明だ。 北韓が南側職員の残留を一部許容したのを見れば、直ちに全面閉鎖という極端措置まで念頭に置いたわけではなく見える。 緊張高揚の手順を順次踏んで行くという戦略である公算が大きい。 しかし状況によって閉鎖の可能性も開けておいたと見なければならない。
北韓が開城工業団地職員撤収という超強手を用いたのは、この間‘敵視政策放棄’要求が米国から敬遠されてきた状況を一挙に打開しようとする意図と解釈される。 政府当局者は最近の北韓の危機高調と関連して「韓国の尻を刺して米国を動かそうとする戦略」と話した。 北韓のこのような戦略はある程度通じたと見られる。 最近米国高位当局者らと会った外交部高位当局者は 「米国が北韓問題を以前よりはるかに真剣で深刻に扱っているという印象を受けた。 言論も韓半島状況を過去よりはるかに多く深く報道している」と雰囲気を伝えた。
北韓は今後も継続して緊張高揚の手綱をつかむ可能性が高い。 注目される部分は北韓が先立って平壌駐在外国公館の撤収計画を10日まで提出しろと要請したことだ。 また、金正恩朝鮮労働党第1秘書は11日に第1秘書就任1周年、13日に国防委第1委員長就任1周年を相次いで迎えることになる。 15日は金日成主席の誕生日だ。 北韓が最高権力者と関連した日を前後してロケット発射などで‘政治的祝砲’を打ち上げた過去の事例に照らして、追加挑発が差し迫っているという観測が出ている。
韓・米軍当局は北韓の動きを鋭意注視しているという。 チョン・スンジョ合同参謀議長は16日に予定された韓-米軍事委員会出席のための米国出張を延期し、ジェームズ サーマン駐韓米軍司令官も上・下院軍事委聴聞会出席日程を遅らせた。 軍当局は北韓の挑発と関連して最近になって東海側に移動配備した射距離3000~4000kmのムスダンミサイルに注目している。 ムスダンミサイルはエンジン試験は何回かしたが、まだ試験発射されたことのない機種だ。 第4次核実験を行なう可能性も排除できない。 国防部当局者は「北韓は去る第3次核実験で使わなかった南側坑道でも核実験準備を終えた。 いつでも核実験ができる状況にある」と話した。 また、西海(ソヘ)北方境界線(NLL)周辺海域での挑発の可能性も考えられる。
米軍は北韓の動きに備えて日本近海の西太平洋にイージス艦とエックスバンド レーダーをすでに投じた。 米軍基地があるグァムにはミサイル高高度迎撃システムを配置した。 北韓のミサイルを迎撃する‘破壊措置命令’を発令した日本は、迎撃ミサイル(SM3)を搭載した海上自衛隊イージス艦2隻を東海に派遣したと<共同通信>などが8日報道した。 <ニューヨーク タイムズ>は韓・米は北韓が挑発すれば、過去より一層強力に対応するものの、全面戦争には拡大しないよう制限的範囲で反撃する計画を用意していると7日(現地時間)報道した。
問題は北韓の挑発が韓半島の緊張を一層激化させるという点だ。 政府高位当局者は「北韓がミサイルを撃つなり核実験を行なえば‘核実験と弾道ミサイル技術を利用したいかなる発射’も禁止した国連決議により追加制裁が議論されざるをえない」と話した。 国連の追加制裁は再び北韓の反発を呼び、韓半島が‘挑発-制裁-反発’と連鎖する危機の悪循環に陥る。
事態が悪化する中で対話を摸索しなければならないという主張が再び出てきている。 2000年10月に金正日国防委員長に会ったことのあるマデレーン・オルブライト前米国国務長官は7日(現地時間) (CBS)放送に出演し 「北韓と対話することが重要だ。 北韓が2005年に作った(6者会談9・19共同声明)合意に復帰するならば、私たちは喜んで彼らと対話しなければならない」と語った。
パク・ビョンス先任記者、ワシントン、東京/パク・ヒョン、チョン・ナムグ特派員 suh@hani.co.kr