裁判所が、社内下請け不法派遣の認定と正規職化を要求する現代自動車非正規職労組の送電鉄塔座り込みテントなどを撤去するための強制執行に乗り出したが労働者が荒々しく反発し30分で失敗に終わった。 裁判所は‘次回再び強制執行する’と明らかにし労働界との衝突が予想される。
蔚山(ウルサン)地方裁判所は8日午後1時頃、執行官ら裁判所職員30人余りと外注業者職員50人余りを現代車蔚山工場明村駐車場脇の送電鉄塔籠城場に送り、現代車非正規職労組と正規職労組、全国民主労働組合総連盟蔚山本部などが設置した座り込みテント10個余りと横断幕などを撤去する強制執行に乗り出した。 現代車と韓国電力が送電鉄塔籠城場のテントなどを撤去しチェ・ビョンスン、チョン・ウイボン氏が鉄塔から降りることを請求する仮処分申請を裁判所が受け入れ、決定文を告示して5日後のことだった。
現代車非正規職労組と民主労総蔚山本部組合員100人余りは裁判所の強制執行を阻むために鉄塔籠城場近隣に鉄製バリケードを張り、車両20台余りを幾重にも駐車させスクラムを組んで執行官一行と対峙した。 執行官は1時30分頃から籠城場周辺の横断幕10個余りを剥がした後30分後に執行を中断して帰った。 この日の強制執行に参加した外注業者職員の中には職業紹介所を通じてアルバイトで出てきた高校3年生2人が含まれており、労働者から「裁判所が幼い生徒たちまで撤去要員として動員している」という非難を買った。
執行官側はチェ氏など鉄塔籠城者に対する退去仮処分決定は告示後10日が過ぎて初めて強制執行ができるが、テントなどの施設撤去は決定文告示後すぐに強制執行できると明らかにした。 執行官は‘今日強制執行に着手したが労組の反発が強くこれ以上は執行できなかった。 次回また行う’と話した。 チェ氏らは昨年10月17日からこの日で84日間にわたり送電鉄塔で高空籠城を行っている。
現代車非正規職労組は「現代車が最高裁から正規職転換の法的権利を与えられた社内下請け労働者を対象に新規採用志願書を受けつけて法的問題提起をこれ以上できないよう合意を強要している。 その締め切りを翌日に控えて裁判所が座り込み場に対して強制執行に出ることによって現代車の新規採用を後押しし財閥の肩を持って自ら自らの権威を落とした。 今からでも裁判所は強制執行を中断し労使交渉で問題を解くよう調整することが望ましい」と明らかにした。
民主労総蔚山本部と蔚山人権連帯など20余りの地域市民社会団体が設けた‘蔚山不法派遣対策委員会’も記者会見を行い「蔚山地方裁判所は不法の温床である現代車とチョン・モング現代車グループ会長の肩を持ち鉄塔籠城労働者だけに刃物を突きつけた。 鉄塔籠城に対する強制的公権力動員は問題解決ではなく破局を呼び起こすだけだろう」と糾弾した。
蔚山/シン・ドンミョン記者 tms13@hani.co.kr