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"キム氏が死ぬ理由がありません"他の国で生まれたならば…

登録:2012-10-31 20:30 修正:2012-11-01 00:08
外国人障害者がみたキム・ジュヨン氏の死
カナダでは警察・消防署・病院など
地域社会が障害者情報を共有し
アラーム装置を押せばいつでも駆けつける
ニュージーランドでは障害等級などない

"キム氏が死ななければならない理由がありません。虚しく亡くなったようで悲しくてしかたありません。"

 30日午前ソウル世宗路(セジョンノ)光化門(クァンファムン)広場で開かれた故キム・ジュヨン(33)氏の路祭に参加したニュージーランド人ターニャ ブラック(39・写真)は沈痛な表情を隠せずに "悲しい" という言葉を繰り返した。 ブラックは脊髄障害で下半身が動かず車椅子に乗る障害者だ。

 彼女は29日から仁川(インチョン)松島(ソンド)で開かれる‘2012アジア太平洋障害フォーラム カンファレンス(APDF)’に参加するため去る25日に入国した。 彼女が入国した翌日の明け方、キム氏は小さな火事から逃げられずに息をひきとった。 ブラックはこの日、同じ行事に参加した30人余りの別の外国人障害者と共に路祭に参加した。

 「ニュージーランドは障害者の自立を支援するシステムがよく整備されています。 他の国と比較してみれば私は運が良かったと思います。」 ニュージーランドには障害等級というもの自体がない。 障害状態が強度でないからと支援から脱落することもない。 無料で活動補助者を利用できる資格を得ることも難しくなく、支援時間にも制限がない。 両手を使えるブラックは一日4時間の清掃と洗濯などを行う活動補助者の支援を受けている。 彼女が韓国に生まれたとすれば活動補助サービスを利用できる資格さえ得られなかっただろう。

 レストランを営んでいたブラックは6年前に階段から転落して障害者になった。 今は障害者のための放送を製作するプロデューサーとして仕事をしており、一人で暮らしている。 去る6年間、ブラックは障害者の自立のためにニュージーランド政府が支援する多様な福祉恩恵を享受した。

 「政府が障害者用に改造された車両を無償でくれました。 車椅子が通えるように家の内部はもちろん家に通じる進入路なども全て直してくれましたし。 障害者が就職すれば1年間は政府が賃金の80%を補助するので就職にも大きな困難はありませんでした。」

 29日から仁川(インチョン)松島(ソンド)で開かれている仁川世界障害大会に参加した多くの国の障害者も自国でならキム氏のような不幸な犠牲はなかった筈と口をそろえた。 世界リハビリ協会(RI)総会で会ったカナダ人パトリック ポジェロラス(61)は「カナダの場合、障害者が自身の障害に関する情報を提供すれば、地域社会にある消防署、病院、警察などがその情報を共有する」として「障害者がアラーム装置を身につけておき、ボタンを押せばいつでも助けに来る」と話した。

 他の国では障害者の自立を支援するだけでなく、優待する政策も展開している。 台湾では下半身を使えない障害者に電動車椅子を政府が無償提供している。 1才の時、小児麻痺を患い、両脚を使用できない台湾人アブラハム シエ(44)は「公共住宅を安い家賃で借りられ、大学まで学費を20%だけ納めればよい」として「公共病院を無料で利用できるなど、住居・交通・医療・教育など多様な恩恵を受けられる」と自身に対する台湾社会の支援内容を紹介した。

 米国で40年以上居住し、発達障害者の娘を育てているチョン・ヒョンイル(68)氏は「娘は公教育を受ける過程で、お金を一銭も払わなかった」として「発達障害者は4年ほど就職や社会生活に対する訓練を受けられる公教育を追加提供されている」と話した。 そのような米国で育ったチョン氏の娘は市立図書館で本の整理をする立派な職業人になった。

キム・キュナム記者 3strings@hani.co.kr

写真 イ・ジョンア記者 leej@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/558237.html 韓国語原文入力:2012/10/31 18:55
訳J.S(1752字)

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