ソウル地域の多くの中・高校がソウル学生人権条例が禁じている頭髪制限規定を学則に含めていることが明らかになった。 学生人権条例を制定したクァク・ノヒョン前ソウル市教育長が最高裁の確定判決で退いた中で、頭髪取り締まりも強化されている。
ソウル市教育庁は30日、教育科学技術部の指示によりソウル地域の小・中・高1292校を対象に学則の制・改定現況を調査した結果、53.5%に当たる691校の学則に頭髪制限規定があると集計されたと明らかにした。 調査結果を見れば、中学校は379校中88%に当たる333校が、高等学校は317校の89%に当たる282校が頭髪制限規定を設けていることが明らかになった。 小学校も596校中71校が学則に頭髪制限規定を含めていることが調査された。
去る1月に公布されたソウル学生(訳注:対象は児童・生徒)人権条例は生徒が服装・頭髪など容貌において自身の個性を実現する権利を認めているが、一線学校では条例が全く守られていないということだ。
ソウル地域では反対にイ・デヨン副教育長が教育長権限代行を務めることになった去る9月末以後‘校門指導’が強化され、生徒たちの頭髪が規定に外れる場合にその場で切る‘頭髪強制カット’が復活している。 去る8日午前ソウル城北区(ソンブクク)のS中ではこの学校の生活指導部長教師が登校時間に校門で生徒20人を摘発し、頭髪を直接はさみで切った。 学校に嘆願を提起したある父母は「生活指導部長が頭髪を‘強制カット’してきたが、今年初めに人権条例が公布された後は自制していた。しかし9月末以後から頭髪取り締まりも強化され強制カットも再開された」と話した。
ソウル龍山区(ヨンサング)○高もやはり最近校門指導が強化された。 この学校のある生徒は去る8日ソウル市教育庁人権教育センターに電話して「イ・デヨン権限代行が言論インタビューで‘学則制・改定を学校の自律に任せる’と話した以後、先生が‘薄汚い頭はもう駄目だ’‘今後、長い髪をしてくれば分かっているな?’と話して校門指導を厳格にし始めた」として「既に学生人権条例が終わったのか」と訴えた。
このように一線学校で人権条例が無力化されたのにはイ・デヨン権限代行の責任が大きいという指摘が出ている。 教科部が去る8日、改正初中等教育法施行令により学則が制・改定されたかどうかを把握するよう17市・道教育庁に送った公文書をソウル市教育庁はそのまま学校に送った。 この公文書は‘頭髪関連事項’‘服装関連事項’等が学則にあるかを調査させ、一線学校では事実上頭髪・服装規制の有無を確認するという意として受けとめられた。
市教育庁傘下の人権教育センターは「学校現場で紛らわしいという声があり‘学則は学生人権条例に合うよう制・改定しなければならない’という教育庁の説明を付け加えよう」と要求したが、イ権限代行はこれを握りつぶした。 市教育庁学生人権委員会も去る18日「市教育庁の公文書発送は学生人権条例を無力化させる違法行為」として抗議書簡を送ったが、イ権限代行は態度を変えなかった。 それどころか去る23日には記者たちとの懇談会で‘学則制・改定の時、学生人権条例に合わせなければならないか’という質問に「上位法である施行令に従うのが正しい」と明らかにした。
ハン・サンヒ学生人権委員会委員長(建国(コングク)大教授)は「学生人権条例はすでに公布され施行されていて、教科部が出した‘学生人権条例無効訴訟’はまだ判決前であるので、教育長は市議会の命令に該当する条例が現場でまともに施行されているかを確認し指導・監督しなければならない」として「一線学校の大部分が条例に反しているのに教育長が手をこまねいているならばこれは明白な職務遺棄」と指摘した。
パク・スジン記者 jin21@hani.co.kr