原文入力:2012/05/06 21:18(2645字)
←キム・サンゴン京畿道(キョンギド)教育長
[ハンギョレが会った人]‘京畿道の学校革命’をリードしたキム・サンゴン教育長
3年前まで無名と言ってよかったある私立大の経営学教授が問題だらけの韓国教育に静かな革命を起こしている。 2009年京畿道教育長補欠選挙に予想を裏切って当選するや、1年後には「しばし留まり去って行く左派」という皮肉が面目を失うように40%を越える高い支持率で再信任されたキム・サンゴン京畿道教育長が就任3年目を迎えた。 この間に京畿道初中等教育現場で起きている変化に対して、一部では"革命的" とまで評する。
教師たちは‘雑務ゼロ’時代を迎えているかと思えば、自発的な教科研修がブームとなっている。 生徒たちが自ら学則を作り、自治法廷を開くかと思えば、父母たちが学校に入るために転入までしてきて、それにより住居価格が上がるという信じられないことが実際に起きた。 2012年現在、世界最大の教育自治組織と言われる京畿道で、ことによると世界が驚くほどの教育革新がすでに加速段階に入っているのかも知れない。 教育問題だけは進歩とか保守とかいう枠組みを越えて心を開いて‘キム・サンゴンの教育革新’を眺めてみたい。
-京畿道教育長に就任して満3年だ。 多くの変化があった。
“我が国の初中等教育があまりに問題が多い状況で突然教育長になったが、京畿教育家族はもちろん国民まで高い関心を示し、推進しようと思った政策が今は具体的に定着している。 感謝と感動を感じる。”
-ほとんど一人で京畿道教育庁に入ってきて革新を起こしている。何か特別な秘訣でもあるのか?
“京畿道教育庁は我が国で最も大きな組織だ。 教師だけで数万、幼稚園を除いても8万7千人余りだ。 この方々と目の高さを共にしながら尊重と配慮で疎通しなければならないと考えた。 2009年の選挙で3大公約、20大主要課題を提起したが、イシューの一つ一つを全て現場教師、専門家たちと開放的に討論した。 その過程で自然に私と専門家たちの経験と高貴な人格が結合しながら相互信頼に至ったのでないかと思う。”
教育が苦痛ではなく幸せを生産すべき
革新学校は特別目的高校のようなものではない
競争の代わりに協同・協力の教育を重視する
-来てみたら京畿教育のモットーが‘幸せな教育共和国’だ。その意味を解説してほしい。
“国民が望むのは幸福だ。 今までの教育は苦痛を再生産する役割をしたが、これからは教育が幸福を再生産し最大化する役割を回復する時だ。 我が国が今までやっとの思いで育ててきた民主主義の価値、連帯と統合という共同体の価値を教育を通じて訓練し成熟させなければならない。その道を進むにあたって京畿教育が先頭に立とうと思い作ったスローガンが‘幸せな教育共和国’だ。”
-学生人権条例を巡って教育科学技術部と葛藤を生じさせた。 教科部は学生人権条例施行を無力化させるため、初中等教育法施行令改正案を通過させ学校現場に混乱を引き起こしている。
“今まで学生人権条例に関し政府がとってきた措置や言及を見れば残念なことこの上ない。 現政権の平和と人権に対する意識水準はほとんど時代錯誤的だ。 教権と一緒に生徒の人権も共に尊重されなければならないということは時代の要求であり民主主義が進展していく過程だ。 中央政府が先頭に立って児童人権法とか学生人権基本法を作り、地方教育機関を促してもまだ足りない時に、逆に足首を掴むのは理解し難い。 学生人権条例を施行する初期段階で困難や副作用がないはずがなかろう。 しかし、それはそれなりに対処しながら、学校現場で教権と生徒の人権が共に保護され尊重される学校文化をどのように作っていくのかを悩むことが未来指向的な教育ではないのか?”
-全国に先がけて学生人権条例を制定した京畿道の実際の状況は?
“一部の方々は中央政府の初中等教育法、初中等教育法施行令と各地方教育自治機関の学生人権条例が相反するかのように話しているが、それは誤解であり歪曲だ。 京畿道の場合、すでに学生人権条例に教師、生徒、父母の3者協議で学則を制・改正できるよう明示していて、各級学校の学則には頭髪、服装、持ち物検査など生徒の人権と関連した事項を具体的に記載してある。 法と条例、学則間に論理的矛盾はない。 ただし一部地域では教科部の措置によって混乱が発生しうる点が憂慮される。”
-学校暴力問題が最も大きな懸案に浮上している。 なぜ学校暴力が根絶されず、逆に構造化されていると見るか?
“学校暴力の構造化は学校が深刻な競争社会になったことに本質的な原因がある。 <3 Idiots(3人のおバカ)>という映画を見れば、主人公が歌う歌の中に‘友人が落第すれば涙、友人が1等になれば血の涙’という歌詞が出てくる。 これがこの頃の生徒たちの感性を代弁している。 寂しい生存競争、弱肉強食の学校文化を変えない限り、生徒たちが相互に尊重し配慮する心を自然に育てられるように学校文化を変えない限り、構造的な暴力は解消し難い。”
-学校暴力を根絶するためにしていることがあるならば?
“2009年から私たちがしてきた仕事を紹介する。先ずは教権が正しく樹立されなければならない。 次いで生徒の人権だ。 生徒の人権が尊重されれば生徒たちが教師を尊重し尊敬する雰囲気が自然に作られる。 3番目はそれを土台に平和な学校の雰囲気を定着させる。 このような構想の下、2010年4月全国に先がけて‘教権保護憲章’を制定し、教権保護支援団を設けた。 支援センターも設置して運営している。 2010年10月には学生人権条例を公表し昨年3月施行に入った。 現場では生活人権センターを作り生徒の人権、学校暴力だけでなく家庭暴力問題まで扱っている。 昨年には‘平和教育憲章’を制定し生活の中で具体的に平和を体験し生活化する教育を幅広く実施している。 教権と生徒の人権が同時に尊重される平和な学校の雰囲気が定着すれば少なくとも構造的な学校暴力は自然に減る方向に進むだろう。”
(以下省略)
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/531497.html 訳J.S