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法の上に君臨する現代車…鉄塔に上がった下請け労働者

登録:2012-10-18 21:41 修正:2012-10-19 21:03
会社、不法派遣認めず持ちこたえ
8年待った非正規職たちの怒り
解雇者ら2人 送電塔に上がる
現代自動車社内下請け労働者として仕事をし解雇されたチェ・ビョンスン(36)氏と現代車非正規職支会チョン・ウイボン(31)事務局長が18日午前、蔚山(ウルサン)、北区(プック)、楊亭洞(ヤンジョンドン)の現代車蔚山工場明村中門付近にある高さ50mの送電鉄塔にロープでからだを縛り、非正規職の正規職転換を要求して高空籠城を行っている。 蔚山/ニューシス

 ‘不法派遣’を巡る現代自動車社内下請け労働者と使用側の葛藤が極限対決に上り詰めている。 この間、社内下請け労働者の正規職転換を要求してストライキなどを繰り広げてきた非正規職労組が、今回取り出した武器は工場内の鉄塔での高空籠城だ。 籠城者らは問題が解決されるまでは降りないと明らかにしており、‘第2の韓進重工業事態’につながるのではないかという憂慮も出ている。

 現代車社内下請け労働者として仕事をし解雇されたチェ・ビョンスン(36)氏と現代車非正規職支会のチョン・ウイボン(31)事務局長は去る17日夜10時30分頃、蔚山、北区、楊亭洞の現代車蔚山工場 明村中門付近にある高さ50mの送電鉄塔に上がって高空籠城を始めた。 チェ氏は今年2月に最高裁で‘現代車正規職’であることを認める最終判決を受け取ったが、会社が再び訴訟を起こし未だに復職できない状態だ。

 チェ氏は鉄塔の高さ15m地点、チョン局長は高さ20m地点でロープでからだを鉄塔に縛りつけしがみついている。 2人は強制鎮圧に備えてシンナーまで持って上がった。 18日明け方、現代車外注警備員4人が送電塔上に上がり鎮圧しようとする過程で、チェ氏が自分のからだにシンナーを振り撒き猛烈に抵抗した。

 現代車社内下請け労働者がこのように‘極限闘争’を選択した理由は何か? 法を無視する大企業、非正規職を雇用の安全弁として見なす正規職、事態に手をこまねいた政府が社会的弱者である非正規職を鉄塔の上に追い込んだという指摘が出ている。

 現代車社内下請け労働者の要求は簡明だ。 雇用労働部、最高裁、労働委員会が判断した通り、現代車が不法派遣を認め法に則り社内下請け労働者を正規職に切り替えろということだ。 去る2004年、労働部は現代車蔚山・牙山・全州工場のすべてに対して不法派遣と判定した。 2010年7月と今年2月に最高裁はチェ氏が提起した訴訟で「現代車は不法派遣事業場であり、チェ氏はすでに現代車職員」と判決した。 準司法機関である労働委員会も蔚山・牙山・全州工場社内下請け労働者に対して不法派遣を認めた。

 それでも現代車は不法派遣を認定できないとし持ちこたえている。 現代車非正規職支会は2005年1月、8月の2度ストライキを行い、チェ氏を含めて解雇者だけで100人余りが発生した。 2010年11月には蔚山1工場を25日間占拠したが、その結果戻ってきたことは解雇100人余、懲戒1000人余など犠牲だけだった。

 去る8月に現代車が不法派遣と関連して8年ぶりに初めて持ち出した解決法が社内下請け労働者3000人を2015年までに正規職として新規採用するという案だ。 見かけ上、現代車が肝っ玉の大きな決断をしたように見えるが、不法派遣を隠蔽するための‘姑息な手’というのが労働界の大方の見解だ。

 最も大きな問題は不法派遣を認めていない点だ。 非正規職支会関係者は「会社の新規採用案を受け入れるならば、下請け労働者8000人中の3000人は正規職になるだろうが、残りの5000人は最高裁判決基準で見た時に不法派遣が明らかなのに事実上‘合法請負’になる」とし「支会自らが最高裁判決を否定する案をどうして受けいれられるか」と話した。

 また、不法派遣が認められれば、その間の正規職との賃金差額を返してもらい経歴も認められるが、新規採用の場合には不利益を甘受しなければならない。 下請け労働者中5000人余りが現代車で10年近く仕事をした。

 現代車正規職が連帯に消極的な点も下請け労働者の極限闘争を呼び起こした原因だ。 現代車正規職労組は去る4月、非正規職支会と‘すべての社内下請けを正規職に切り替える’という内容の共同要求案を確定し共闘を決議した。 だが、賃金交渉過程で正規職労組が‘3000人新規採用’案を受け入れようとして、非正規職支会は‘止むを得ざる選択’で別途交渉するとして‘孤立’を選んだ。

 労働部と検察の無責任を指摘する声も出ている。 現代車は今も不法派遣事業場なのに労働部は‘我関せず’で、検察は全国金属労組が2010年8月に現代車を不法派遣の疑いで告発した事件に対して最近2年ぶりに捜査に入った。

 このような状況で現代車は、最近パク・ヒョンジェ非正規職支会長など労組関係者26人を告発し、10億ウォンの損害賠償請求および給与仮差押さえをし圧迫を始めた。

 チェ・ビョンスン氏は18日<ハンギョレ>との通話で「8年間引っ張ってきた不法派遣問題を今こそ必ずケリをつける覚悟で鉄塔に上がった」と語った。

 しかし現代車は依然として不法派遣は認定できないという態度だ。 現代車関係者は「今年2月の最高裁判決はチェ氏個人に対する判決であり、現代車全体には適用できない」として「労組側の事情で社内下請け特別協議が遅れているのに、非正規職労組が鉄塔籠城に突入して当惑している」と話した。

キム・ソヨン記者、蔚山/シン・ドンミョン記者 dandy@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/556487.html 韓国語原文入力:2012/10/18 20:17
訳J.S(2397字)

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