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従北勢力のレッテルを貼り‘考えの異なる国民’を主敵と見なす

登録:2012-10-11 10:16 修正:2012-10-11 10:18

原文入力:2012/10/10 20:07(1469字)

国防部‘従北実体 標準教案’論難

野党圏・反独裁・反維新と関連づける内容は除いたが

国家保安法廃止・天安(チョナン)艦疑惑提議などは従北と連係

 10日キム・クァンジン国防部長官の指示で全軍に配布された従北勢力実体認識教育資料(標準教案)は従北勢力の実体を知らなければならない理由、従北勢力の定義、北韓と従北勢力の関連性、内部の敵を警戒しなければならない理由、従北勢力にどのように対処しなければならないかなど、5つの部分で構成されている。 国防部次元で標準教案を作り一線部隊に送るのは初めてだ。 国防部は標準教案を一線部隊と新兵訓練所だけでなく、学校などに従北教育教材として活用できるようにする方針だ。

 国防部が今回標準教案を作ったのは、各級部隊が自主的に作った教材に政治的論難の余地があるという内容が指摘されたことに伴ったものだ。 国防部は最近一線部隊の従北教育資料の製作を禁止した経緯がある。

 しかし標準教案が従北勢力と規定する根拠の一つに、国家保安法廃止主張を挙げた部分は論難が起きるものと見られる。 国家保安法廃止を主張すること自体だけで従北勢力として規定される可能性があるためだ。 国家保安法廃止などを主張する進歩団体を従北勢力と決めつけて敵に回すようなニュアンスを含んでいる。 国家保安法は思想の自由を侵害するという指摘が提起され、政界でも廃止可否が争点に浮上したことがある。 また「暴力デモ現場でプラカードを持ってスローガンを叫ぶ人は見えても、背後でそれを企画し操縦する勢力の実体は簡単には見えない」として、デモと従北勢力を巧妙に連結し集会・デモに対する軍の否定的認識をそのまま表わしている。 従北と規定する基準があいまいで、実際に各級部隊での教育過程では政治的に悪用される可能性が提起されている。

 従北勢力を国軍の主敵としてまで規定することが適当か否かについても論難が提起されそうだ。 標準教案は最高裁判決を根拠に△祖国統一汎民族青年学生連合△祖国統一汎民族連合海外本部△祖国統一汎民族連合南側本部など9団体を利敵団体に選んだ。 これら団体の活動が現行法に反するならば、それにより法的制裁を加えれば良いことであって軍の主敵としてまで規定し、あたかも武力で攻撃しなければならない対象というイメージまで与えることは行き過ぎだということだ。

 標準教案はこの他に「これらの人々は北韓によって発生した天安(チョナン)艦襲撃事件と延坪島(ヨンピョンド)砲撃挑発に対しても北韓のごり押し主張を代弁し、わが国政府の発表を無視している」として、天安艦事件に対する疑惑提議を従北勢力と連係させもした。

 今回の教案からは「従北勢力は第一野党にもいる」、「反維新・反独裁は従北勢力拡散の契機になった」、「2012年金正恩の対南命令1号が韓国大統領選挙介入」等の政治的中立性を大きく傷つける内容は消えた。

 チン・ソンジュン民主統合党議員は「思想が違うという理由で軍が国民の一部を敵とみなすことは行き過ぎだ」として「国家保安法廃止、駐韓米軍撤収、連邦制統一は進歩勢力ならば主張しうる内容だが、これを従北勢力だと規定するならば修正を要求する」と話した。

ハ・オヨン記者 haha@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/555209.html 訳J.S