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米国とイラン戦争のバタフライ効果、朝鮮半島にとっては幸運か【コラム】

トランプ米大統領が15日(現地時間)、ソーシャルメディアへの投稿で、北朝鮮の金正恩国務委員長と2019年6月30日に板門店の共同警備区域で撮影した写真とともに、「金正恩と私は仲が良い」と記した=トランプ大統領のトゥルース・ソーシャルのアカウントより//ハンギョレ新聞社

 先月8日、トルコのアンカラ国際空港に到着したトランプ米大統領が、専用機エアフォースワンに乗って最初におこなったことは、向かい側の出口から出ていくことだった。そこには機内食を運ぶコンテナトラックが待機していた。トランプ大統領が数人の側近と共に乗り込んだコンテナトラックは、待機していた米軍の輸送機C-32Aへと積み替えられた。トランプ大統領はこの輸送機で英国を経由し帰国した。歴史に残る米国大統領の「コンテナ秘密帰国作戦」は、しばらくの間知られていなかったが、それから約1カ月後の今月初め、ワシントン・ポスト紙の単独報道によって明らかになった。イランによる暗殺の脅威を懸念していたという説明も添えられていた。

 2月末に戦争を始めたトランプ大統領は、数回にわたり勝利を宣言し、6月中旬には終戦について協議することでイランと合意した。ところが、戦争は終わらず、ついには専用機さえ自由に乗れない状況に陥った。最も好きな趣味であるゴルフを米国で楽しむ際も、移動式防空ミサイル車両を傍らに待機させている。戦争の出口を見出せないまま、緊張がさらに高まっている現実を象徴的に示している光景だ。

 イラン戦争が膠着状態に陥った理由として様々な点が挙げられているが、体系的な準備なしにその場任せの決定で戦争を始めたという点が第一に挙げられる。イラン核協議が真っ最中だった2月、トランプ大統領はイラン国内の反政府デモと軍事攻撃が組み合わされば、イラン政権を崩壊させ、核問題を解決できると判断し、戦争に踏み切った。それにイスラエルのネタニヤフ首相による執拗な説得が大きく影響したという報道もある。ホワイトハウスや軍の経験豊富な参謀たちが引き止めたが、聞き入れなかったという。

 数千年にわたる帝国の歴史を誇るイランを過小評価し、原油供給の拠点という中東の地政学的な意義を十分に考慮せず戦争を始めた結果は過酷なものだった。防空網が脆弱化した米国は、イランに対する軍事攻撃を自制しつつ、経済制裁を強化する方向へと舵を切った。1979年のイスラム革命以降、40年以上にわたって続いた経済制裁へと再び戻ったのだ。数カ月にわたる爆撃に耐え抜いたイランは、米国に勝利したという自負とともに、世界の原油海上輸送量の20%を占めるホルムズ海峡の支配権を確保できるという戦利品を得られるとの期待に沸き立っている。

 イラン戦争の泥沼に陥ったトランプ大統領は、突如として朝鮮半島に目を向けている。中東戦線が膠着した状況下で、自身の失策を挽回するとともに、迅速な外交的成果を上げられる新たな外交・安全保障プロジェクトとして、北朝鮮との会談を急いでいるのだ。失敗に近づきつつあるイラン戦争のバタフライ効果である。

 しかし、最初から不穏な兆しが見えている。トランプ大統領は、韓米合同軍事演習が始まる当日、自身のソーシャルメディアを通じて北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を称賛したかと思えば、韓米軍事演習を縮小するよう指示した。韓国政府はもちろん、米軍も事前にそのことを聞いていなかった。その後、トランプ大統領は繰り返し金委員長を称賛する一方、韓国を批判し、11月頃に金委員長に会いたいというシグナルまで送っている。イラン戦争を迷宮に追い込んだ核心的な原因だった「計画されていない、場当たり的な決定」を繰り返しているように見える。

 韓米合同演習の縮小で不意打ちを食らった韓国政府は、微動だにしない北朝鮮を動かそうとするトランプ大統領の勢いに、「ペースメーカーになる」と歓迎する立場を示した。ところが、同盟国との軍事演習の縮小を、演習当日に自身のソーシャルメディアで知らせるトランプ大統領の行動からして、その「ペース」を「メイク」するのは難しいだろうということは、韓国政府も十分に把握しているはずだ。

 2018〜19年にトランプ大統領と一度取引を行った金委員長は、有頂天になって待ち構えているだろう。トランプ大統領の発言通りなら、金委員長はその間に核兵器「57発」を製造しており、ロシアや中国との協力関係を強固に築き上げた。経験を積み、影響力を高めた42歳の政権15年目の金委員長と、解決策を見出せない戦争、11月の中間選挙の負担など、不利な「カード」を抱えて臨むトランプ大統領の一騎打ちだ。

 二転三転し、右往左往したイラン戦争において、トランプ大統領が守った数少ない原則の一つは、米国の利益を犠牲にしてまで問題の解決に乗り出さないという点だ。イラン戦争でサウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェートなど中東の米国同盟国が大きな被害を受けたが、米国は手をこまねいて眺めていた。トランプ大統領が突然朝鮮半島へと方向転換したことを手放しで歓迎できない理由はここにある。

//ハンギョレ新聞社
チェ・ヒョンジュン | 国際部長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1274438.html韓国語原文入力: 2026-08-25 07:14
訳H.J

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