米国のトランプ大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との首脳会談の再開に改めて強い意欲を示している。韓米合同軍事演習の縮小を突如指示したのに続き、金委員長が自身の接触の呼びかけに「答えた」と主張しており、早ければ11月に中国の深センで行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)などのアジア訪問を機とする会談を推進中であるとも18日(現地時間)に報道されている。
11月の米国の中間選挙を前に、イラン戦争で明確な外交的成果を上げられていないため、政権1期目に自ら開拓した朝米首脳外交を新たな突破口にしようとしていると分析される。ただし、北朝鮮もロシアや中国との関係強化によって米国との交渉の切迫感が弱まっているため、首脳会談の実現の可能性は予断できない。
トランプ大統領が改めて「金正恩カード」を切った背景には、何よりこう着状態に陥っているイラン戦争がある。出口が見えない中、北朝鮮との首脳外交は新たな外交的成果を生み出す舞台となりうる。11月の中間選挙を前に、「戦争を繰り広げる大統領」ではなく朝鮮半島の緊張を和らげる「平和の仲裁者」というイメージを強調したいとの思惑もある。戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長は17日のCSISのポッドキャストで、韓米演習の縮小を「金正恩を引き入れるための最初の具体的な行動」と評価しつつ、イラン戦争から関心を逸らそうという側面もあると分析した。
北朝鮮が対話そのものを拒んではいないことを示す兆候もある。ウォール・ストリート・ジャーナルはこの日、複数の米当局者の発言を引用し、トランプ大統領が昨年10月のアジア歴訪で金委員長との対面を試みた際、北朝鮮側も水面下で対面に前向きなシグナルを送ってきたものの、日程が詰まっていたため実現しなかったと報じた。トランプ大統領は前日、金委員長が自分の対話提案に「答えた」と語っている。
北朝鮮の置かれた地政学的状況の変化がむしろ会談の可能性を高めているとの主張もある。2018年から2019年にかけては制裁解除が切実だったが、現在はロシアとの軍事・経済協力を拡大し、中国との関係も強めている。ブルッキングス研究所のアンドリュー・ヨー研究員は17日のCSISのポッドキャストで、「金正恩氏にはロシアと中国があるため、トランプ氏に会っても失うものはない」と述べ、首脳会談は金委員長にとって「評判と地位」の問題でもあると指摘した。米国をあまり必要としなくなったことが、逆に失敗の負担を軽減し、金委員長の交渉力を高めたというのだ。
北朝鮮が会談で狙う目標もかつてとは異なる可能性がある。核の放棄と制裁解除の交換ではなく、米国大統領と核を保有した状態で対面し、核保有国としての地位を事実上認めさせること、韓米演習のさらなる縮小や平和協定、敵対関係の終結宣言といった安全保障上の譲歩を引き出そうとする可能性がある。
ただし、その実現を楽観するにはまだ早い。朝鮮労働党のキム・ヨジョン総務部長は19日夜のメッセージで、韓米合同演習の縮小には興味がなく、朝米首脳間のコミュニケーションについても知らないと述べ、冷淡な反応を示した。北朝鮮はすでに中国とロシアという味方を確保しており、急ぐ必要がないため、成果に対する十分な確信もなしに会談の場にやって来る可能性は高くないという見方を裏付ける発言だ。ただし、中国の役割は変数となりうる。9月末に米国を訪問する中国の習近平国家主席が、トランプ大統領との会談で朝米対話を含む朝鮮半島情勢を議論することで、会談の実現に重要な役割を果たす可能性がある。